【R18】美少年との出会いはご先祖様のお導き⁈童貞を奪ったらイケメンに成長して翻弄されました

とらやよい

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元カノ

 

「ああ、この前は迷惑をかけてしまって申し訳なかったね」

 フェリクスは表情を崩すこともなく平然と答える。

「いいの。私はあなたと話が出来て楽しかったし…また楽しい時間を過ごしたいわ」

 彼女はフェリクスの肩に置いた手を腕へと滑らせる。

「申し訳ない。マダム、今日は彼女と一緒なんだ」

「あら。彼女って…恋人はいないんじゃなかったの?それに…この子…」

 私がミスを謝罪に来た人物だとわかったようで、途端に見下した目になる。

 仕方なく会釈をするとマダムからナイフのような鋭い視線を向けられる。その視線を受けて意外にも委縮するどころか逆に反骨心が芽生えた。彼とデートしているのは私だ。遠慮するのはマダムの方だろう。視線を外すことなく背筋を正す。

「マダム、今は彼女との時間を誰にも邪魔されたくない。すまないが、もし話があるのであればオフィスに連絡してアポイントを取って欲しい」

 フェリクスがプライベートで会うことはないという態度を示すとマダムは一瞬悔しそうな顔をした。

「…また、連絡するわ」

 取り繕うように微笑んで意外にあっさりと去って行った。

「ごめん、リディ。気分を害したよね」

「……フェリクスのせいじゃないから。元はと言えば私の仕事のミスが原因で彼女と関わることになったんだし……でも…フェリクスは以前から彼女と知り合いだったの?…その…元カノとか?」

 どう見たってただの知り合いといった感じではなかった。

 フェリクスは言葉を探すように開きかけた口を一文字に結んだ。持っていたティーカップをゆっくり置くと私の目をじっと見つめる。

「……とても短い期間だけど彼女が独身の時にね…もう過去のことだよ。実は彼女…別居中でご主人と離婚話が出ているらしい。住まいを探すためにお子さんとデュボアに長期滞在中なんだ。寂しいんだろうね…それで僕なんかにちょっかいを出しているだけさ。本気になんてしていないよ…僕にはリディしかいないから信じて」

「元カノ…離婚て…そっか…」

 童顔美青年がイケメン紳士になるまでには恋人がいたって不思議じゃない…寧ろ自然だ。
 
 でも、彼女と私は誰が見たって全く違うタイプだ。見た目も多分性格も似ているところなんて何一つないように思う。何故か…もの凄くモヤモヤする。
 
 しかも、寂しさを紛らわすだけなら私に…あんな挑発的な態度はとらないだろう。離婚することになったらタイミングよく元カレのフェリクスが登場し気持ちが再燃したとか?モヤモヤに加えてジュクジュクとした黒い感情が滲む。

 次の言葉が見つからず場の空気を変えたくて席を立ち化粧室へ向かった。戻ったら自然に、この後どうするかを確認しよう。まだ時間はたっぷりあるしフェリクスだってランチ後のプランを考えているかもしれない。せっかくのデートだ…どうにか気持ちを切り替えよう。

 化粧室に入る私のすぐ後に一人の女性が入ってくる。

 不意に振り返ると険しい表情のマダムだった。

「ちょっと話をしましょうよ」

 腕を組み私を見据える居丈高な態度に屈してなるものかと私も彼女を睨み返す。

「私は話すことなんてないです」

「あなたにはなくても私にはあるのよ!ねぇ、彼と付き合っているの?」

「関係ないでしょ。元カノだか何だか知らないけれど!フェリクスからしてみれば過去の話でしょ。関わらないでもらえますか?」

「なによ……あなたみたいなパッとしない女がフェリクスの恋人だなんて、あり得ないでしょう?釣り合うとでも思っているの?笑わせないでよ」

 一番気にしていることを言われ唇を噛むと彼女の赤く彩られた口元がニヤリと弧を描く。

「まだ恋人じゃないけれど…でも、彼からは…五年前のあの時から…やり直したいって…」

 悔しいが呟くような小さな声で言い返すのが精一杯で何の反撃にもなっていない。
 
 けれど彼女は目を見開いて私の顔を凝視した。

「五年前?…もしかして…あなたが彼の初めての女?」

 何故、彼女がそれを知っているのか…フェリクスが話したのだろうか?モヤモヤがより一層大きくなる。

「なるほどねぇ、それなら納得がいくわ。まだ女を知らない彼にとっては…こんな地味女でもそれなりに見えたんでしょう。フェリクスも初めての女だから特別視して美化してしまっているのね。暫くすれば彼も気がつくでしょう。私のことを過去の話なんてよく言えたものね、あなたの方こそ思い出レベルに過ぎないんじゃないの?」

 ハッと小馬鹿にしたように笑う。

 これもまた自分の一番の不安要素を言い当てられて私は遂に彼女から視線を外してしまった。

 化粧室の扉が開き人が入ってくる。何事もなかったかのようにマダムは微笑むと勝ち誇ったように出ていった。




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