48 / 255
第一巻『この幻想が 薔薇色の誇りに なると信じて。』(RoGD Ch.2)
Verse 3-14
しおりを挟む
薄暗い階段を下がっていくと、巨大な書庫が現れる。アーサーは手をつけよう、とその膨大な資料を前に一度気合の為に柏手を打った。
「探してるのは皇族についての最近の歴史と、あと基礎の書の該当部分だ。フランシス帝が即位してから。」
アーサーの声に従って、ジークフリートは的確に歩みを進めた。思い当たる本を山のように積み上げて、アーサーの座っている席の横に置いていく。
「おーあったあった。ここからだ。」
全て積み終わって、ジークフリートはアーサーの隣に座った。アーサーが指さす部分に目をやる。
「ほらこれだ。皇位継承者だったレイ皇太子が死んでる。ここからだ。」
「死んでる?なぜ。」
口笛を吹きながら続きを読み始めたアーサーに、ジークフリートはそっと問うた。アーサーは指をぽんぽんと箇所に当てながら読み進め、区切りがいい所でそれをやめる。
「お前も聞いた事くらいあるんじゃねぇの?薄暮の瞳……皇族だけが持ち得る七つの大罪に由来した特別な力。今のフランシス帝は、その暴走で両親二人を殺した。」
「皇太子にも暴走した事件があったな。レイ皇太子は暴走で死んだ……そういう事か?」
頷いたアーサーは、読み進めた箇所を指でなぞる。ジークフリートも納得したように頷いた。しかし、アーサーはそこでにやりと笑う。
「だが俺の憶測が合ってるなら、皇太子殿下は死んでない。そいつは皇帝の兄に引き取られてるはずだ。つまり……俺達の元帥に。」
本から目を離して、ジークフリートは首を傾げる。アーサーも上体を起こした。そして、両手の人差し指を立てる。
「俺の所に一つの確かな情報がある。分家は、薄暮の瞳の力を狙ってるって事だ。目的までは不明だけどな。そして、俺達が士官学校に入学、ROZENに入ってから前代未聞の事件が起きてる。士官学校襲撃事件、基礎の書強奪事件。全て分家が関わってる。それに、この基礎の書の記述見てみろよ。皇族の歴史を書いたその本が合ってるなら、レイ皇太子が死んだこの日。この日付に、基礎の書ではバスカヴィル元帥が息子を引き取ってる。名前はレイだ。偶然にしちゃあ、出来過ぎじゃねぇのか?」
示された記述を見ながら、ジークフリートは顔をしかめる。
「あのな、レイなんて名前どこにでもあるし、これだけ膨大な数のレイが同じこの日に産まれてるんだぞ。」
言い聞かせるようして小さく怒鳴ったジークフリートは、それに更に付け加える。
「それに、レイは元帥の嫡子だと聞いてる。」
アーサーは驚いた顔でジークフリートを見た。
「はぁ?レイは養子だろ?元帥の家に実子はいねぇ。」
寂しげな顔でジークフリートはアーサーを見つめる。基礎の書は嘘をつかない。だからジークフリートも、それが真実である事を十分承知した。アーサーは彼の表情を見て絶句する。
「もしかしてレイの奴が、自分から言ってんのか?まさかなんも知らねぇなんて事は……。」
頭にみるみる蘇るバスカヴィルのレイへの態度に、ジークフリートは首を振った。
「レイは、なにも言われてない。元帥の息子だと思い込んでる、思い込まされてる。もしレイが、それを知ってたらきっと……皇太子に復帰してる筈だ。」
分厚い本を閉じて、アーサーは驚愕の表情を浮かべる。
「おい馬鹿言えよ。あの年頃で何も伝えられてねぇって……マジなのか?」
ジークフリートは沈黙を守ったままだった。
* * *
「探してるのは皇族についての最近の歴史と、あと基礎の書の該当部分だ。フランシス帝が即位してから。」
アーサーの声に従って、ジークフリートは的確に歩みを進めた。思い当たる本を山のように積み上げて、アーサーの座っている席の横に置いていく。
「おーあったあった。ここからだ。」
全て積み終わって、ジークフリートはアーサーの隣に座った。アーサーが指さす部分に目をやる。
「ほらこれだ。皇位継承者だったレイ皇太子が死んでる。ここからだ。」
「死んでる?なぜ。」
口笛を吹きながら続きを読み始めたアーサーに、ジークフリートはそっと問うた。アーサーは指をぽんぽんと箇所に当てながら読み進め、区切りがいい所でそれをやめる。
「お前も聞いた事くらいあるんじゃねぇの?薄暮の瞳……皇族だけが持ち得る七つの大罪に由来した特別な力。今のフランシス帝は、その暴走で両親二人を殺した。」
「皇太子にも暴走した事件があったな。レイ皇太子は暴走で死んだ……そういう事か?」
頷いたアーサーは、読み進めた箇所を指でなぞる。ジークフリートも納得したように頷いた。しかし、アーサーはそこでにやりと笑う。
「だが俺の憶測が合ってるなら、皇太子殿下は死んでない。そいつは皇帝の兄に引き取られてるはずだ。つまり……俺達の元帥に。」
本から目を離して、ジークフリートは首を傾げる。アーサーも上体を起こした。そして、両手の人差し指を立てる。
「俺の所に一つの確かな情報がある。分家は、薄暮の瞳の力を狙ってるって事だ。目的までは不明だけどな。そして、俺達が士官学校に入学、ROZENに入ってから前代未聞の事件が起きてる。士官学校襲撃事件、基礎の書強奪事件。全て分家が関わってる。それに、この基礎の書の記述見てみろよ。皇族の歴史を書いたその本が合ってるなら、レイ皇太子が死んだこの日。この日付に、基礎の書ではバスカヴィル元帥が息子を引き取ってる。名前はレイだ。偶然にしちゃあ、出来過ぎじゃねぇのか?」
示された記述を見ながら、ジークフリートは顔をしかめる。
「あのな、レイなんて名前どこにでもあるし、これだけ膨大な数のレイが同じこの日に産まれてるんだぞ。」
言い聞かせるようして小さく怒鳴ったジークフリートは、それに更に付け加える。
「それに、レイは元帥の嫡子だと聞いてる。」
アーサーは驚いた顔でジークフリートを見た。
「はぁ?レイは養子だろ?元帥の家に実子はいねぇ。」
寂しげな顔でジークフリートはアーサーを見つめる。基礎の書は嘘をつかない。だからジークフリートも、それが真実である事を十分承知した。アーサーは彼の表情を見て絶句する。
「もしかしてレイの奴が、自分から言ってんのか?まさかなんも知らねぇなんて事は……。」
頭にみるみる蘇るバスカヴィルのレイへの態度に、ジークフリートは首を振った。
「レイは、なにも言われてない。元帥の息子だと思い込んでる、思い込まされてる。もしレイが、それを知ってたらきっと……皇太子に復帰してる筈だ。」
分厚い本を閉じて、アーサーは驚愕の表情を浮かべる。
「おい馬鹿言えよ。あの年頃で何も伝えられてねぇって……マジなのか?」
ジークフリートは沈黙を守ったままだった。
* * *
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
世界最弱と呼ばれた少年、気づけば伝説級勇者でした ~追放されたので気ままに旅してたら、全種族の姫たちに囲まれていました~
fuwamofu
ファンタジー
魔力量ゼロの落ちこぼれとして勇者パーティを追放された少年リアン。
絶望の果てに始めた自由な旅の中で、偶然助けた少女たちが次々と彼に惹かれていく。
だが誰も知らない。彼こそが古代勇者の血を継ぎ、世界を滅ぼす運命の「真なる勇者」だということを──。
無自覚最強の少年が、世界を変える奇跡を紡ぐ異世界ファンタジー!
【読切短編】処刑前夜、地下牢に現れた王女は言った。「お前でなければ駄目なんだ」滅びの未来を覆す、騎士との契約
Lihito
ファンタジー
王国騎士団の副長ヴェルドは、無実の罪で投獄され、明日処刑される運命にあった。
腐敗した国に絶望し、静かに死を待つ夜。
地下牢に現れたのは、実権を持たない「傀儡」と噂されるイゾルデ王女。
彼女はヴェルドに仮死毒を渡し、こう告げた。
「死んで、私の影になれ」
彼女は知っていた。
この国が三年後に滅ぶこと。誰が裏切り者か。
そして——ヴェルドこそが、国を救うための唯一の「切り札」であることを。
これは、滅びの未来を知る孤独な王女と、一度死んで生まれ変わった騎士が、裏から国を救う「共犯」の物語。
転生の水神様ーー使える魔法は水属性のみだが最強ですーー
芍薬甘草湯
ファンタジー
水道局職員が異世界に転生、水神様の加護を受けて活躍する異世界転生テンプレ的なストーリーです。
42歳のパッとしない水道局職員が死亡したのち水神様から加護を約束される。
下級貴族の三男ネロ=ヴァッサーに転生し12歳の祝福の儀で水神様に再会する。
約束通り祝福をもらったが使えるのは水属性魔法のみ。
それでもネロは水魔法を工夫しながら活躍していく。
一話当たりは短いです。
通勤通学の合間などにどうぞ。
あまり深く考えずに、気楽に読んでいただければ幸いです。
完結しました。
「俺が勇者一行に?嫌です」
東稔 雨紗霧
ファンタジー
異世界に転生したけれども特にチートも無く前世の知識を生かせる訳でも無く凡庸な人間として過ごしていたある日、魔王が現れたらしい。
物見遊山がてら勇者のお披露目式に行ってみると勇者と目が合った。
は?無理
母は何処? 父はだぁれ?
穂村満月
ファンタジー
うちは、父3人母2人妹1人の7人家族だ。
産みの母は誰だかわかるが、実父は誰だかわからない。
妹も、実妹なのか不明だ。
そんなよくわからない家族の中で暮らしていたが、ある日突然、実母がいなくなってしまった。
父たちに聞いても、母のことを教えてはくれない。
母は、どこへ行ってしまったんだろう!
というところからスタートする、
さて、実父は誰でしょう? というクイズ小説です。
変な家族に揉まれて、主人公が成長する物語でもなく、
家族とのふれあいを描くヒューマンドラマでもありません。
意味のわからない展開から、誰の子なのか想像してもらえたらいいなぁ、と思っております。
前作「死んでないのに異世界転生? 三重苦だけど頑張ります」の完結記念ssの「誰の子産むの?」のアンサーストーリーになります。
もう伏線は回収しきっているので、変なことは起きても謎は何もありません。
単体でも楽しめるように書けたらいいな、と思っておりますが、前作の設定とキャラクターが意味不明すぎて、説明するのが難しすぎました。嫁の夫をお父さんお母さん呼びするのを諦めたり、いろんな変更を行っております。設定全ては持ってこれないことを先にお詫びします。
また、先にこちらを読むと、1話目から前作のネタバレが大量に飛び出すことも、お詫び致します。
「小説家になろう」で連載していたものです。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる