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レット編
俺の婚約者は何かおかしい1
しおりを挟む俺の名前はドー。...本名はあまり言いたくないんだ、愛称で我慢してくれ。
俺はエム公爵家の末っ子五男で、家族からは猫可愛がりされている。...特に母様からな...
そんな俺は小さい頃から自分の事を褒めて可愛がってくれる奴らしかいなかったせいからか、小さい頃は俺が1番だと自分から世界は回っている自動説を唱えるアホみてえな考え方をしていた。そんな俺が変わるきっかけとなったのが...
「ドー。ここにいたのですか、探しましたよ。」
今目の前にいる俺の婚約者のレットだ。背筋はピンと伸ばしており髪は令嬢にしては異例の短さ、背は俺よりも高くすらっとしており凛としている。
読書が趣味で窓際で本を読む姿や、剣の指南役相手に互角の勝負をする姿や、ミステリアスで中性的な綺麗な見た目でファンになる生徒がとても多い、と噂に聞いた。
頭も2年飛び級しているにも関わらず学年一位を我が物にしている程いい、才色兼備も行き過ぎるとここまで来たかというものがある。
「...、ドー...ドー?聞いていない悪い子にはお仕置が必要ですかね」
ちゅ
慣れた手つきで俺の額にキスをすると周りからはきゃー!!と黄色い悲鳴が聞こえる。最初は真っ赤になっていた俺も流石に慣れてき...てはいない。
「...話聞いてた、あとそれやめろ」
少し火照る顔を冷ましながらレットを見つめる。にっこりしながら
「聞いていたのですね。ドーはとてもいい子です、ご褒美もあげなくてはいけませんね」
ちゅ
ほっぺたに柔らかい感触が触れて離れていった。人がいる中で堂々とよくできるもんだ、色んな恥を一身に受けているような気がして俺はボーっとしてしまった。
「...という訳なので...ご両親からも...あとは...ドー、貴方はどう思いますか?」
「...?父様達がいいって言ったんならいいと思うぞ」
やっべ話を聞いていなかった、幸いレットには気が付かれていないようだ。適当に答えるとレットは満面の笑みを振りまく...周囲の奴らはそんなレットを見た事が無いからかざわついていた。
「良いという事ですね!!ドーからも了承が得られてとても嬉しいです、それでは学校が終わり次第また。」
「...おう、?またな」
ずっとにこにこのレットに違和感を感じながら去ろうとすると
「...あ、忘れていました、今日はなるべく多くのご友人方に会われた方がいいかと。」
「?なんでまた」
俺が聞こうとするとすぐに行ってしまった。...いつもなら俺の教室まで送っていくと言って駄々をこねるのに。謎に思いながらも友達と過ごしながら学校は終わった。
「ドー!!来ましたよ~」
レットが迎えに来た、俺とレットはクラスも学年も違うのに必ず迎えに来る。いらんと言ったこともあるが...その時は酷い目にあったので受け入れる他ない。
「レット嬢、こんにちは。...やりすぎないでくださいね」
「スト様、ご無沙汰しております。はい、私もまだまだ学生なもので未熟な部分もあると思いますが…貴方様が心配する事はしませんのでご安心を。」
「...どーだかwま、2人で楽しんできてよな~」
...こいつは俺の友達のスト、唯一腹を割って話せる相手でレットともそこそこ仲がいい。...何だか共通している所があるようで、今回も何か企んでいるようだ...
「じゃあまた明日...」
「ドー。...また話を聞いていなかったようですね?...行きますよ」
少し不機嫌そうになったレットは俺をお姫様だったした。...え?
「ちょっ!?レット何して」
「それでは皆様御機嫌よう。」
「.......レット...?下ろして...?」
離してくれる気配が微塵も感じられない。こうなったレットは俺には止められないので、周囲の視線を痛いほど感じながら馬車まで辿り着いた。
...ん?うちの馬車じゃなくバイオ家...レットの家の馬車だ。
「レット、馬車間違えてるぞ...あとそろそろ下ろせ」
「間違ってませんよ。...本当に何も聞いていなかったんですね…」
「...ごめん。...何を話したんだ?」
聞くとレットがにっこりとしながら言い放った言葉が俺をあんな事にさせるなんてこの頃は思いもよらなかった。
「私とドーの同棲生活を始める承諾の件ですよ。今日から早速一緒ですよ~」
「......え!?」
これから俺はどうなるのだろうか...
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