【完結】好きになったイケメンは、とてつもなくハイスペックでとんでもなくドジっ子でした

金色葵

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第二章 世話焼きツンデレな俺の天使

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「いや~大変だったけど無事に論文出せてよかったよ」
食堂でお茶をしながら満足げに遼が話すのを佐々木は聞いていた。
論文を提出して数日が経ち、すっかり遼も大河も落ち着いた生活に戻っていた。今度の休みはどこかにでかけようと話していて、遼は楽しみでここのところずっとご機嫌だ。
「確かに遼大活躍だったもんな、神崎もかなり助かったんじゃないか」
「ふふ」
大活躍、と言われて満更でもない様子で遼が笑う。何より大河の助けになったというのが嬉しくて、さっきから遼はにやけ続けていた。
「神崎って、ほんとすごいよな」
佐々木の言葉に遼は深々と頷く。
「......そうなんだよな、運動神経悪いのかと思ったら廊下から落ちた俺のこと易々と受け止めたし、細いかと思ったらけっこう筋肉ついてて俺を平気で抱えるし」
中庭でお姫様抱っこをされたのを思い出して赤くなる。あの時の神崎かっこよかったな......と遼はうっとりと瞳を蕩けさせる。
「いやそれもすごいけどさ、知ってるかあいつの研究論文、内容がすごいらしくて今度学会で発表されるって話だぜ。あいつまだ学生なのにな......さすがこの大学始まって以来、初の入試満点合格者は違うな~」
「え......」
佐々木の言葉に、うっとりと大河のかっこよさに浸っていた遼が目を覚ますように佐々木を見た。
「今......なんて、学会発表......といか満点合格!?」
情報量が多すぎて、一度では理解できない。
「お前知らなかったのか、次世代を担う天才って言われてるんだぞ神崎は」
この大学にいる人間ならみんな知ってるぞ~と笑う佐々木の声が遠くに聞こえる。
「え、え......えぇっ!!......だってあいつ、コーヒーに砂糖と間違えて塩を入れようとするし、ビショビショのまま風呂から上がってくるし、いい匂いするって俺の脱いだ服嗅ごうとするし、寝てるとき俺のことずっと離さないような、そんな奴なんだぞ!」
最後の方惚気になってると思ったが佐々木はそのまま何も言わなかった。
「天才って......」
その時入口の方が騒がしくなった。その声につられて遼はそちらの方に顔を向けて息を飲んだ。
「青木......」
大河が遼を見つけて、パッと嬉しそうに顔を輝やかせる。大河は黒のタートルネックに白衣を羽織っていた。
その麗しい姿に周りにいる学生たちから黄色い声援が上がる。
(は、白衣......!!)
遼は思わずガタリと立ち上がる。イケメンに白衣という最強アイテム、あまりのかっこよさに遼は言葉を失った。
「カ、カメラ......」
遼がかろうじて零した言葉に、佐々木はスマホを構えると任せとけと頷いた。
「青木見つけた」
大河はにこにこしながら遼をギュッと抱きしめる。当たり前のように抱きしめられて、ようやく遼は我に返った。
「神崎お前!その顔面だけでもすごいのに......こんな超ハイスペックあとから付け足してくるなよ!」
(俺はすっかり、ただのドジっ子イケメンだと思ってたぞ!なんだよ満点合格って、ほんといちいちときめかせてきやがって‼)
「何のことか分からないけど......俺すごいの?」
うんうんと遼は強く頷く。
「へぇ......ほんと?じゃあもっと好きになった俺のこと?」
「っ......」
耳元で囁かれて息を飲む。
「ばか......」
もともと大好きだよ、そう心で言いながら大河の頬つねる。全然痛くない強さでつねる遼が可愛くて大河はますます笑顔になった。
「この前の論文ね、学会で発表することになった」
「すごいなお前」
遼のストレートな誉め言葉に大河がくすぐったそうにはにかむ。
「実は今まで、参考文献がどこにいったか分からなくなったり、資料が見つからなくなったりして全力を出せなかったんだけど......」
うん、失くしたんだな、あんなに本と紙を山積みにして、至るところで資料をぶちまけてたらそりゃそうなるだろうと遼は思った。
「今回は青木が色々サポートしてくれたから初めて全力を出せたんだ。それに青木が応援してくれてるって思ったらいつもより気合が入って......だから全部青木のおかげ。ありがとう」
「神崎......」
心を込めて伝えてくれる大河の言葉に遼はジーンと感動する。大河の役に立ちたくて勝手にやっていたことだけど、こうやって大河の口から力になったと言われるとすごく嬉しい。
遼が照れていると、大河が遼の手を取った。
「さすが俺の天使」
そう言って大河は遼の手の甲にキスをした。その仕草はまさに物語に出てくる王子様そのもので。あまりの麗しさに、見ていたギャラリーが騒然となる。
そのかっこよさを正面から受け止めた遼は、あっという間につま先から頭のてっぺんまで真っ赤になった。
大河は微笑むとそのまま遼を両腕の中に閉じ込めた。
「これからも色々サポートしてくれる?」
甘い甘い大河の声に。
「おう......まかせとけ......」
メロメロになりながら遼はうんと頷いた。


「馬鹿と天才は紙一重って、本当だったんだな」
佐々木は二人に聞こえないようにそう呟いた。
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