ナニープレイ、ヤー!

エンドクルス

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男と喫茶店

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雀が外でチュンチュン鳴いているのを俺は、いや、出仲間燈朴(でなかま とうぼく)はいつからか逢引している最中なんじゃないかと疑うようになった。あれだけ忙しく飛び回り、さえずるならそれぐらい彼らには必要なプロセスに違いないと思ったからだ。その鳴き声に起こされた気分は可もなく不可もなくなのだが少しだけ俺もチュンチュン鳴いてメスの取り合いに混ぜてもらうなら面白いのかもしれないと思った。

3月は過ごしづらい季節だ。早朝は夜とかわらず暗いままで、寒い、明るくなるまで寝ていたい気持ちが強くなる。
しかしそうこう言ってはいられない。
今日は喫茶店に行くと決めているのだ、異論を認める気はない。この日曜日のためにあらゆる言い訳の芽を摘んできた。週末の買い物は昨日済ませたし、見たい番組がないか月曜にチェックして、その度に録画予約を済ませている。友達や家族の予定は無いに等しいので勘定に入れていない。まぁ要するにだ、今日は午前中に喫茶店に行くことを俺の予定は避けることは出来ないということだ。

どうしてたかが喫茶店に行くというだけで成人男性がここまで張り切らねばならないかというと…俺は、じゃなくて出仲間という男はこれまでの人生経験の中で喫茶店に1人で入ったことがないからだ。初めての経験というのはとても緊張するし、期待や不安がちらついて仕方ないと思うのだ。
別に1人で喫茶店に入らないくらいなんだという方々もいるかもしれない、それにこれから先にふらっとナチュラルにひとりで喫茶店に入る機会があるかもしれないのだからわざわざこんなことのために休日を割く必要あるのって思われるのかもしれない。
でも、この男は違うのだ。そう、出仲間という男は1人で喫茶店を満喫できる男になりたくてこの機会をわざわざ作った。

「だってかっこいいんだもん」

ことたりただろうか?他人からすれば疑問に思われても当然だと思うくらい内容がスカスカな気がしなくもない、それが大人がただかっこいいからなどという理由で貴重な休日をコーヒーや紅茶を喫する施設に足を運ぶことだけに費やすのはどうなんだろうか?

でも出仲間は憧れているのだ、1人で喫茶店に入り、そこで知り合ったであろう、渋かっこいいおじさん、いつも伏し目がちな憂いある若いポニーテイルのすらっとしたパンツスタイルの若い女性店員、入り口から正面にカウンターがあり、そこでタバコをくゆらせるは様々な経験豊富そうな店主。そんな彼らに軽く挨拶を交わし、いつもの席に座り、店主から「いつものかい、そらモーニングだ」なんて言われるまで妄想していまっているのだ。

なんなら、若造と徒党を組んで看板娘の気をどう引いてやろうかと浅はかな企みに騒ぐくだらないけどそれがいいシリーズまで建設中である。

喫茶店でなにか起きるじゃないのか、刺激的で、しかしそれでいて小さくまとまるくらいに扱いやすい何か。おまけにコーヒーが口の寂しさをいやしてくれるまであるならそれからの不足はむしろ愉しむに等しいことくらいしかない。

彼は迷うのだ、車で行くべきか、歩いて行くべきか。道中にドラマはいるか?坂の上にある、全国チェーン店の1店舗に過ぎない喫茶店に入る前から喫する楽しみをえていることに気づかないままに。
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