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ビバ!夏休み!!
「「だー、暑い。」」
例外もなく、消しゴムのカスのようなやつと声が被ってしまった。もう怒鳴り散らかす元気もない。
「太陽消滅しねえかな。」
あの誘拐事件から時間は流れ今は夏の真っ只中である。
特にこれといって出来事はなかった。恵ちゃんを除いてだが。
一番痺れたのはラクダに乗って登校してきたことだよなー、どこの石油王だよ。
なんか授業中たまに制服がういーんって変形することもあるし。
『それじゃあ明日から夏休みに入から、みんな事故がないようにな』
今日は今学期最後のホームルーム。先生の言った通り明日から夏休みなのだ。
(待てよ、夏休みということは恵ちゃんと2人きりで遊ぶチャンスなんじゃないか)
そうと決まれば、俺の足は自然と恵ちゃんの机に向かっていた。
「「恵ちゃん!夏休みだしプールに遊びにいかない?」」
あれ、幻聴かな?そんなわけがない。
せわしく鳴くセミの声の中、恵ちゃんとのデートの計画は終わりを告げた。
「なんでお前と一緒にいかなきゃならねーんだよ!このゴミが!」
「それは僕の台詞さ!せっかくのデートが」
セミの声と熱気がイライラを加速させる。
俺らは今、新しくできたプール遊園地という施設の入り口で恵ちゃんを待っていた。
(こうなったらこいつをどうにかして、恵ちゃんと2人きりになるしかねえ)
とりあえず釘バットがあるが、念のためピアノ線も用意しとこう。
俺がそんなことを考えていると、待ちに待った彼女が到着した。 馬で。
「なんでだよー!!」
おかしい、道路を走る乗り物の概念がこの子には欠落してるとしか思えない。
「こんにちは恵ちゃん!相変わらず綺麗だね!結婚してください」
こいつ完全に馬を視界から外してやがる。現実を見ろ!これはどう考えてもおかしい。それにちゃっかりプロポーズもしやがった。
「ご機嫌よう。それじゃあ馬を止めるから、もう少しお時間をいただいていいかしら?」
馬なんかどこに止めるっていうんだよ。
ガガガガガ、ん?あれ、なんだこの音?
まさか!?今、馬用の駐車場作ってるの?本当めちゃくちゃだなこの子!!
恵ちゃんは馬を駐馬?すると、やっと俺らと会話を始めた。
「最高の馬日和だったわ」
馬日和ってなんだよ。
「ところであなた達は何に乗って来たの?」
え、そうゆう感じですか?一応お金持ちという設定だしすごいの言わないとだよな。
隣を見ると左京も明らかに答えをひねり出そうと、頑張っていた。
「僕はね!44マグナムに乗って来たんだ!」
「それ、拳銃の名前でしてよ?」
こいつとんでもないアホだ。
恵ちゃんも相当あきれた表情をしていた。
「まあいいわ。じゃあ右京さんは?」
おっと、俺か。正直高い車の名前なんて思いつかないし、みんなが知っていてすごい車といえばなんだ?うーん。
「まさか、自転車や徒歩なんて言わないわよね?」
うっ、やばい早く何か言わないと。
「俺はあれだよ、あれ!真紅の塗装の超かっこいいやつ!」
なんか出てこい!俺のひらめき!
「そう!マリ◯カート!!」
おー、マンマミーア。
「「すごい憂鬱」」
なんだったんだあの顔。あんな顔本当に人間に向けていい顔なのかあのお嬢様。
「別に怒んなくたっていいじゃんかよ」
あの後からかった罰として、今こうして人気のウォタースライダーに並ばされている。
「右京君、あの顔なんか、なんか妙にくるものがあったよね~」
隣のミジンコはなにか新しい扉を見つけたのかすごいハァハァ言っていた。
「ご苦労様、ちゃんと並んでいてえらいわ」
恵ちゃんは着替えを終えたらしく、こちらに歩いてきた。って、ぶー!!
「ど、どうしましたの右京君!?」
やばい、破壊力がすごい。歩いてきているのに揺れるビキニからはち切れんばかりの爆弾二つが俺を襲う。
「やばい、動悸がでてきた」
焦って恵ちゃんが走ってこっちに近づいてくる。やめろ!走るな、これ以上はやばい。
「これ以上はやめろぉぉぉお!」
トンッ
あれ、急に後ろから衝撃が。意識がトぶ。
後ろを見ると左京が最高の笑みで俺に手刀をしていた。
「こ、、のやろ、う。」
左京は俺を受け止めると、騒ぐと周りの人に迷惑だよと呟いた。
「ちょっと!右京君は大丈夫なの?」
かすれていく意識の中、恵ちゃんが俺らと合流したことが分かった。
「うん!なんか右京君、幼女見て興奮しちゃっただけらしいから大丈夫だと思う。」
俺がロリコンの変態野郎だというレッテルを貼られた後、静かに意識を失った。
気がついた頃には俺はウォタースライダーの列の一番前にいた。
「あ、次俺ら番か」
みんなも俺に気づいたようだった。
「あら目が覚めたのね、ロリコンさん」
ん?
「もう子供で興奮したらダメだよ右京君」
ん?ん?おかしい、目が覚めたらなんかロリコン野郎になってるんだけど。
『次の方どうぞー』
「あら、なら私から行くわね」
理由を聞こうとしたが順番が来てしまった。
「はっ!?」
そうだこのスライダーで恵ちゃんの次に行けば追いついてボディタッチなんてことも。
「左京!ここは次に行く人を公平にじゃんけんで決めないか?」
「右京君、鼻血また出てるよ」
しまった、欲求のコントロールとは難しいものだな。
「じーっ、あやしいな」
しまった、気づかれてしまいそうだ。
「ま、まあ、いいじゃん!じゃあ行くぞー!」
「「最初はグーじゃんけん!」」
(かかったな!)
「グー」←左京の顔面にグー
「チョキ」←右京君の目にチョキ
「「ぐぁぁあぁぁあ!!」」
この野郎、じゃんけんをなんだと思ってるんだ!
俺らのじゃんけんはもう、あの頃の純粋な気持ちでは出来ないのか?
「くそ、僕が先に行く!」
こいつ感づいていやがったか!
「くそ、目が見えない。集中しろ!あいつの足音を感じるんだ!!」
ぱちゃぱちゃ、ハァハァ
「見えたぞ!チェストー!!」
俺は左京を捕まえるとそのまま、もつれるようにスライダーにピットインした。
「おお!やれば人間なんでもできるな!」
テッテレー右京はスキル心眼を手に入れた。
「なんでじゃまするのさ!僕は恵ちゃんのあのたわわに実ったあれを触りたかったのに」
こいつも俺と同じ考えだったのか。
「あわよくばそのあと、罵倒されて殴られたい、ハァハァ」
前言撤回、こいつやばすぎる。新しい扉もう開いてしまっている。
「この変態が!俺の邪魔すんじゃねーよ」
「鼻血ダラダラの君には言われたくない!」
スライダーの上で殴り合いが始まった。
ダメだ、こいつだけは恵ちゃんに近づけてはいけない。
「うおおぉぉおぉお!!」
乾いた打撃音がプール内にこだましていた。
「きゃ~」
ザブーン。
「とっても、楽しかったわ~。あの2人も滑り終えるし、早くどかなくちゃね」
そそくさとプールサイドに向かう恵ちゃん。
「ん?いやぁああぁ!」
プールはいつの間にか澄んだ水色からバラのように真っ赤な色に変わっていた。
そこに血だらけの俺らが遅れてスプラッシュした。
「なんでそんなボロボロになってるの!?」
身体中アザだらけになってる俺らを見たら、その反応は当然だと思う。
「いや~まあじゃれててたらこうなった」
「右京君たら僕を巻き込んではしゃぎすぎ」
エヘヘ。と笑う俺らを見る恵ちゃんの目は、ゴミを見るような目をしていた。
「そろそろ昼食の時間ですわね」
もうそんな時間か楽しい時間は過ぎていくのが早いものだな。
「みんなで弁当を持ってきあうなんて言ってたからちゃんと作ってきたわよ」
そうそう!女の子の手料理が食えるなんてなんて俺はなんて幸せなんだろう。
「じゃあみんなであそこの机で食べようか!食べ比べでもして誰が一番美味いか勝負しようぜ!」
恵ちゃんの手料理かー、グヘヘ。
「右京さん!何してるの早く来なさいよ」
いけない、いけない。最近は妄想癖が止まんなくなって来てるからな。
「やっと来た、じゃあみんなで一緒にお弁当を見せ合いましょうか」
それはいい案だ、さすが俺の将来の嫁。
「じゃあ行くわよ!せーの!」
「「「オープン!!」」」
みんなそれぞれ、今日のためにがんばったと感じとれる弁当が並んでいた。
「左京君の弁当すごいわね!」
恵ちゃんの言うとおり、生ゴミのくせにとても美味しそうな食材が、たくさんつまっていた。正直とても美味しそうだった。
「そんなことないよ~、右京君の弁当は。なんか普通だね、、」
その通り、なんか平々凡々な弁当である。
「うるせーな、別に味は悪くないしいいじゃねえかよ!まあそろそろ食べようぜ!」
早くこの流れを断ち切らないと。
「ちょっと。」
うっ、やっぱ無理か。
「私のお弁当の感想がまだなんだけど。」
やだ、見たくない。怖い。
「そうだよ右京君、えーっと恵ちゃんのお弁当はどんなのかなー。!?」
左京もやっと気づいたようだ。そう!恵ちゃんの弁当はなんというかとても黒い!
「ウワースゴイ!ナンテオイシソウナンダ」
野菜とかもあると思われるが、黒すぎてなにがなにやら。まるでこの世の終わりを再現したかのような弁当だ。
「なんでそんな片言なのよ。」
食べ比べしようなんて言うじゃなかった。
「うわーすごい!こんなの食べたらどうなっちゃうのかな。ハァハァ」
お前は幸せそうだな。漫画でも大抵すごいかわいい子って料理下手だけど、まさか現実にそんな子がいるとは思わなかった。
「ほら食べ比べ!私のからでいいわよ!」
え、これって食べ物だったの?細菌兵器とかじゃなくて食べれるの?
「じゃあ、僕が最初にもらうね!ウヘヘヘ」
パクっ
「すごい美味しい!!」
今までやってきた悪い事懺悔しとこ。って美味しいのそれ!?
「本当!?嬉しいわ!右京君も食べてよ!」
さすがに、これは食わなきゃならない流れだよな。
「じゃあいただきまーす!」
とても美味しい。今まで食べて来た物の中でも上位に入る美味しさだ。
「美味しいぜ!恵ちゃん」
なんだこれ、いくらでもいけるぞ。
「本当ありがと!じゃあ次は右京君の食べましょうよ」
次は俺の番か。
「よーし!好きなのとってもいいぜ!」
みんなに食べてもらうのは照れるな。
「なんか普通の弁当ね」
え?
「特徴もなにもない弁当だね」
は?
「え、つまり俺の弁当どういう評価なの?」
「「つまらない弁当」」
グサッ。
「はうっ!」
俺のガラスのハートが粉々に砕け散った音が聞こえてきた。
「気を取り直して最後に、左京君の弁当食べましょうよ」
なんかもうどうでもいいや、どうせこんな綺麗な弁当美味しいに決まってる。
「「いただきまーす」」
俺と恵ちゃんは同時に憎たらしいほど完璧なクソ野郎の作った弁当を口にした。
「「!?」」
ありえないほど、まずかった。なんでお前が料理下手くそキャラなんだよ。
「オロロロロロロ」
隣で恵ちゃんが吐いているのが分かる。
ああ、この子は吐く時ですら優雅なんだな。
俺たちは駆けつけたプールの職員に連れられそのまま病院に搬送された。
俺と恵ちゃんは緊急入院することになった。
当の本人は
「吐くほど美味しかったなんて嬉しい!また作ってくるね」
と、とんでもない勘違いをしているのが恐怖でしかなかった。
「今年の夏はやけに涼しいぜ」
寒気がする体はきっと病院がクーラーを下げすぎてるからに違いない。
吐き気が止まらない俺はそう言い聞かせながら、固い病院のベッドで眠った。
例外もなく、消しゴムのカスのようなやつと声が被ってしまった。もう怒鳴り散らかす元気もない。
「太陽消滅しねえかな。」
あの誘拐事件から時間は流れ今は夏の真っ只中である。
特にこれといって出来事はなかった。恵ちゃんを除いてだが。
一番痺れたのはラクダに乗って登校してきたことだよなー、どこの石油王だよ。
なんか授業中たまに制服がういーんって変形することもあるし。
『それじゃあ明日から夏休みに入から、みんな事故がないようにな』
今日は今学期最後のホームルーム。先生の言った通り明日から夏休みなのだ。
(待てよ、夏休みということは恵ちゃんと2人きりで遊ぶチャンスなんじゃないか)
そうと決まれば、俺の足は自然と恵ちゃんの机に向かっていた。
「「恵ちゃん!夏休みだしプールに遊びにいかない?」」
あれ、幻聴かな?そんなわけがない。
せわしく鳴くセミの声の中、恵ちゃんとのデートの計画は終わりを告げた。
「なんでお前と一緒にいかなきゃならねーんだよ!このゴミが!」
「それは僕の台詞さ!せっかくのデートが」
セミの声と熱気がイライラを加速させる。
俺らは今、新しくできたプール遊園地という施設の入り口で恵ちゃんを待っていた。
(こうなったらこいつをどうにかして、恵ちゃんと2人きりになるしかねえ)
とりあえず釘バットがあるが、念のためピアノ線も用意しとこう。
俺がそんなことを考えていると、待ちに待った彼女が到着した。 馬で。
「なんでだよー!!」
おかしい、道路を走る乗り物の概念がこの子には欠落してるとしか思えない。
「こんにちは恵ちゃん!相変わらず綺麗だね!結婚してください」
こいつ完全に馬を視界から外してやがる。現実を見ろ!これはどう考えてもおかしい。それにちゃっかりプロポーズもしやがった。
「ご機嫌よう。それじゃあ馬を止めるから、もう少しお時間をいただいていいかしら?」
馬なんかどこに止めるっていうんだよ。
ガガガガガ、ん?あれ、なんだこの音?
まさか!?今、馬用の駐車場作ってるの?本当めちゃくちゃだなこの子!!
恵ちゃんは馬を駐馬?すると、やっと俺らと会話を始めた。
「最高の馬日和だったわ」
馬日和ってなんだよ。
「ところであなた達は何に乗って来たの?」
え、そうゆう感じですか?一応お金持ちという設定だしすごいの言わないとだよな。
隣を見ると左京も明らかに答えをひねり出そうと、頑張っていた。
「僕はね!44マグナムに乗って来たんだ!」
「それ、拳銃の名前でしてよ?」
こいつとんでもないアホだ。
恵ちゃんも相当あきれた表情をしていた。
「まあいいわ。じゃあ右京さんは?」
おっと、俺か。正直高い車の名前なんて思いつかないし、みんなが知っていてすごい車といえばなんだ?うーん。
「まさか、自転車や徒歩なんて言わないわよね?」
うっ、やばい早く何か言わないと。
「俺はあれだよ、あれ!真紅の塗装の超かっこいいやつ!」
なんか出てこい!俺のひらめき!
「そう!マリ◯カート!!」
おー、マンマミーア。
「「すごい憂鬱」」
なんだったんだあの顔。あんな顔本当に人間に向けていい顔なのかあのお嬢様。
「別に怒んなくたっていいじゃんかよ」
あの後からかった罰として、今こうして人気のウォタースライダーに並ばされている。
「右京君、あの顔なんか、なんか妙にくるものがあったよね~」
隣のミジンコはなにか新しい扉を見つけたのかすごいハァハァ言っていた。
「ご苦労様、ちゃんと並んでいてえらいわ」
恵ちゃんは着替えを終えたらしく、こちらに歩いてきた。って、ぶー!!
「ど、どうしましたの右京君!?」
やばい、破壊力がすごい。歩いてきているのに揺れるビキニからはち切れんばかりの爆弾二つが俺を襲う。
「やばい、動悸がでてきた」
焦って恵ちゃんが走ってこっちに近づいてくる。やめろ!走るな、これ以上はやばい。
「これ以上はやめろぉぉぉお!」
トンッ
あれ、急に後ろから衝撃が。意識がトぶ。
後ろを見ると左京が最高の笑みで俺に手刀をしていた。
「こ、、のやろ、う。」
左京は俺を受け止めると、騒ぐと周りの人に迷惑だよと呟いた。
「ちょっと!右京君は大丈夫なの?」
かすれていく意識の中、恵ちゃんが俺らと合流したことが分かった。
「うん!なんか右京君、幼女見て興奮しちゃっただけらしいから大丈夫だと思う。」
俺がロリコンの変態野郎だというレッテルを貼られた後、静かに意識を失った。
気がついた頃には俺はウォタースライダーの列の一番前にいた。
「あ、次俺ら番か」
みんなも俺に気づいたようだった。
「あら目が覚めたのね、ロリコンさん」
ん?
「もう子供で興奮したらダメだよ右京君」
ん?ん?おかしい、目が覚めたらなんかロリコン野郎になってるんだけど。
『次の方どうぞー』
「あら、なら私から行くわね」
理由を聞こうとしたが順番が来てしまった。
「はっ!?」
そうだこのスライダーで恵ちゃんの次に行けば追いついてボディタッチなんてことも。
「左京!ここは次に行く人を公平にじゃんけんで決めないか?」
「右京君、鼻血また出てるよ」
しまった、欲求のコントロールとは難しいものだな。
「じーっ、あやしいな」
しまった、気づかれてしまいそうだ。
「ま、まあ、いいじゃん!じゃあ行くぞー!」
「「最初はグーじゃんけん!」」
(かかったな!)
「グー」←左京の顔面にグー
「チョキ」←右京君の目にチョキ
「「ぐぁぁあぁぁあ!!」」
この野郎、じゃんけんをなんだと思ってるんだ!
俺らのじゃんけんはもう、あの頃の純粋な気持ちでは出来ないのか?
「くそ、僕が先に行く!」
こいつ感づいていやがったか!
「くそ、目が見えない。集中しろ!あいつの足音を感じるんだ!!」
ぱちゃぱちゃ、ハァハァ
「見えたぞ!チェストー!!」
俺は左京を捕まえるとそのまま、もつれるようにスライダーにピットインした。
「おお!やれば人間なんでもできるな!」
テッテレー右京はスキル心眼を手に入れた。
「なんでじゃまするのさ!僕は恵ちゃんのあのたわわに実ったあれを触りたかったのに」
こいつも俺と同じ考えだったのか。
「あわよくばそのあと、罵倒されて殴られたい、ハァハァ」
前言撤回、こいつやばすぎる。新しい扉もう開いてしまっている。
「この変態が!俺の邪魔すんじゃねーよ」
「鼻血ダラダラの君には言われたくない!」
スライダーの上で殴り合いが始まった。
ダメだ、こいつだけは恵ちゃんに近づけてはいけない。
「うおおぉぉおぉお!!」
乾いた打撃音がプール内にこだましていた。
「きゃ~」
ザブーン。
「とっても、楽しかったわ~。あの2人も滑り終えるし、早くどかなくちゃね」
そそくさとプールサイドに向かう恵ちゃん。
「ん?いやぁああぁ!」
プールはいつの間にか澄んだ水色からバラのように真っ赤な色に変わっていた。
そこに血だらけの俺らが遅れてスプラッシュした。
「なんでそんなボロボロになってるの!?」
身体中アザだらけになってる俺らを見たら、その反応は当然だと思う。
「いや~まあじゃれててたらこうなった」
「右京君たら僕を巻き込んではしゃぎすぎ」
エヘヘ。と笑う俺らを見る恵ちゃんの目は、ゴミを見るような目をしていた。
「そろそろ昼食の時間ですわね」
もうそんな時間か楽しい時間は過ぎていくのが早いものだな。
「みんなで弁当を持ってきあうなんて言ってたからちゃんと作ってきたわよ」
そうそう!女の子の手料理が食えるなんてなんて俺はなんて幸せなんだろう。
「じゃあみんなであそこの机で食べようか!食べ比べでもして誰が一番美味いか勝負しようぜ!」
恵ちゃんの手料理かー、グヘヘ。
「右京さん!何してるの早く来なさいよ」
いけない、いけない。最近は妄想癖が止まんなくなって来てるからな。
「やっと来た、じゃあみんなで一緒にお弁当を見せ合いましょうか」
それはいい案だ、さすが俺の将来の嫁。
「じゃあ行くわよ!せーの!」
「「「オープン!!」」」
みんなそれぞれ、今日のためにがんばったと感じとれる弁当が並んでいた。
「左京君の弁当すごいわね!」
恵ちゃんの言うとおり、生ゴミのくせにとても美味しそうな食材が、たくさんつまっていた。正直とても美味しそうだった。
「そんなことないよ~、右京君の弁当は。なんか普通だね、、」
その通り、なんか平々凡々な弁当である。
「うるせーな、別に味は悪くないしいいじゃねえかよ!まあそろそろ食べようぜ!」
早くこの流れを断ち切らないと。
「ちょっと。」
うっ、やっぱ無理か。
「私のお弁当の感想がまだなんだけど。」
やだ、見たくない。怖い。
「そうだよ右京君、えーっと恵ちゃんのお弁当はどんなのかなー。!?」
左京もやっと気づいたようだ。そう!恵ちゃんの弁当はなんというかとても黒い!
「ウワースゴイ!ナンテオイシソウナンダ」
野菜とかもあると思われるが、黒すぎてなにがなにやら。まるでこの世の終わりを再現したかのような弁当だ。
「なんでそんな片言なのよ。」
食べ比べしようなんて言うじゃなかった。
「うわーすごい!こんなの食べたらどうなっちゃうのかな。ハァハァ」
お前は幸せそうだな。漫画でも大抵すごいかわいい子って料理下手だけど、まさか現実にそんな子がいるとは思わなかった。
「ほら食べ比べ!私のからでいいわよ!」
え、これって食べ物だったの?細菌兵器とかじゃなくて食べれるの?
「じゃあ、僕が最初にもらうね!ウヘヘヘ」
パクっ
「すごい美味しい!!」
今までやってきた悪い事懺悔しとこ。って美味しいのそれ!?
「本当!?嬉しいわ!右京君も食べてよ!」
さすがに、これは食わなきゃならない流れだよな。
「じゃあいただきまーす!」
とても美味しい。今まで食べて来た物の中でも上位に入る美味しさだ。
「美味しいぜ!恵ちゃん」
なんだこれ、いくらでもいけるぞ。
「本当ありがと!じゃあ次は右京君の食べましょうよ」
次は俺の番か。
「よーし!好きなのとってもいいぜ!」
みんなに食べてもらうのは照れるな。
「なんか普通の弁当ね」
え?
「特徴もなにもない弁当だね」
は?
「え、つまり俺の弁当どういう評価なの?」
「「つまらない弁当」」
グサッ。
「はうっ!」
俺のガラスのハートが粉々に砕け散った音が聞こえてきた。
「気を取り直して最後に、左京君の弁当食べましょうよ」
なんかもうどうでもいいや、どうせこんな綺麗な弁当美味しいに決まってる。
「「いただきまーす」」
俺と恵ちゃんは同時に憎たらしいほど完璧なクソ野郎の作った弁当を口にした。
「「!?」」
ありえないほど、まずかった。なんでお前が料理下手くそキャラなんだよ。
「オロロロロロロ」
隣で恵ちゃんが吐いているのが分かる。
ああ、この子は吐く時ですら優雅なんだな。
俺たちは駆けつけたプールの職員に連れられそのまま病院に搬送された。
俺と恵ちゃんは緊急入院することになった。
当の本人は
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