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「えっと、旦那様?大丈夫ですか?」

「……ふ、」

「ふ?」

「ふざけるなーーッ!!私が必死に借金を返しているのを傍目に自分は呑気に経営ごっこをしていただと!?しかも私の許可無く私の名義を勝手に使って私の許可無くこの屋敷を担保にして……!ゆ、許せん!このクソ女がぁあああーーッ!!」


 公爵は激昂し、目の前にいる妻に掴み掛かった。が、それは叶わなかった。なぜならば部屋にいた使用人達に取り押さえられたからである。


「お止めください!旦那様!」

「何をする!?は、離せ!このっ……!使用人の分際でこんな事をしてただで済むと思っているのか!?」

「どうか落ち着いてください旦那様!!」

「奥様は今大事な……妊娠四ヶ月目なんです!!」

「……へっ?」


 使用人達の言葉に公爵は気の抜けた声を出す。そして……恐る恐る妻の腹部を見てみれば確かにそのお腹は少し膨らんでいるように見えた。
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