兄ちゃん、今度は何?

智春

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呪い殺される?

「俺は呪い殺されるだろ」

真っ青な顔で部屋に入ってきた兄ちゃんは、意味不明なことを言いながらガクリと床に倒れ込んだ。

「どういうこと?何かしたの?」

突っ伏した兄ちゃんを抱き起こした。

「コレだ。コレに殺されるんだ」

スーツの内ポケットから出されたのは、数枚の紙切れだ。

「オカルト系月刊誌の付録で、人を呪い殺せる力が宿っているという札だ」

「付録?見せて」

一枚貸してもらおうと手を伸ばすと「ダメだ!」と払いのけられた。

「触ってはいけない。呪われてしまう」

オカルト雑誌によれば、この札を恨んでいる相手に触らせると死ぬほどの災厄に遭わせることができるそうだ。そんな危険な代物を付録にしてばらまくって大丈夫なの?

って言うか、そんな物騒なモノなんで持って帰ってきたんだよ。

「返本の際、差し込んだ付録をうっかり落としてしまい、拾ったらコレだった」

付録は包装のビニールが破られていて、直に雑誌に挟んであったらしい。10枚組の呪符は、1枚抜き取られていたそうだ。

「それって万引きじゃない?」

「今はそれどころではない」

付録破損より呪いの方が最重要らしい。
そもそも触っただけで呪われるような呪符なら、付録を取り出しだしただけでアウトじゃない?

不運にも直接触ってしまった兄ちゃんは、すぐに出版社に電話したらしい。

「呪いを無効にする方法を問い合わせたが、何度かけ直しても担当者不在という回答しか返ってこなかった」

担当者の苦笑いが目に浮かぶよ。付録ごときでそこまで取り乱す人はいないと思う。
ただの付録だし、それっぽい雰囲気を味わえればいいくらいのノリじゃないかな、出版社も。

「捨てちゃえばいいじゃん。深く考えないでポイってさ」

「ダメだ!もしゴミ回収者が触ったらどうする?清掃局の作業員が触ったらどうする?責任取れるのか?」

「大丈夫だって。そもそも付録を印刷・封入する段階で何人もの人が触ってるだろうし・・・」

紙切れを握り締める兄ちゃんは全然話を聞いてない。きっと付録を盗んだ人も、兄ちゃんみたいにめちゃくちゃ信じ込む性格なのかもしれないな。

「俺が死んだらこの札も一緒に燃やしてくれ」

「はいはい」

床に丸まって小さくなっている兄ちゃんの背中を撫でながら、オカルト雑誌もよく考えて付録作ってくれよ、と思った夜だった。
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