兄ちゃん、今度は何?

智春

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最強は誰だ

「なぜアメコミヒーローは、全員で協力しないのだ」

そろそろ寝ようかと思っているところに兄ちゃんがやって来た。ベッドの脇に腰かけて腕組みしている。

「いつもながら意味不明な発言だね。なんで急にそんなこと思ったの?」

俺が起き上がると、兄ちゃんは「これを見ろ」と持参した映画雑誌を開いた。

そこには『アベンジャーズ』と『ジャスティスリーグ』の特集が載っていた。どちらも人気アメコミヒーローのユニットが悪に挑むストーリーだ。

「どうせ手を組むなら、すべてのヒーローが集結すれば最強だろう?なぜ、人類に危機的な状況下で、別々のチームが存在するのか」

「訊きたいのはその理由?それならすぐ答えられるよ」

「なに!?」

兄ちゃんは真剣な顔で俺の言葉を待った。

「単純に出版社が違うからだよ」

「!?」

『アベンジャーズ』はマーベルコミック、『ジャスティスリーグ』はDCコミック、掲載されてる出版社が違うから、映画でもユニットを組むことはないんだよ。もしも出版社の垣根を越える作品ができたとしたら、熱狂的なアメコミファンは卒倒するかもしれないね。

「ジャンプとマガジンのようなものだと思えば納得できるな」

「う、うん?まぁ、そんなものかな」

それで兄ちゃんが理解したならいいか。今日は早めに解決したから、ゆっくり眠れるな。
いそいそと布団に潜ろうとしていたら兄ちゃんが「では」と続けた。

「お前はどのヒーローが最強だと思う?洋画に詳しいなら贔屓のヒーローもいるだろう?」

「まぁね。アメコミ映画はスゴく好きだよ。スピンオフも観てるくらい」

映画だけじゃなく、最近はドラマでもクロスオーバーしてて面白いんだよね。
その中でも最強っていったら誰かな・・・

「うーん。やっぱり一番は『X-MEN』だな」

それを聞いた兄ちゃんは、雑誌からガバッと顔を上げた。なぜかその表情がくもってる。

「その者達、ユニットに参加していないではないか。洋画好きが選んだ最強のヒーローなのに、人類の危機には他人任せにするという非協力的なスタンスだな」

心底残念そうな兄ちゃんに、俺は一言だけ返して布団をかぶった。

「大人の事情ってやつだよ」

そう、「大人の事情」にはヒーローもラスボスも勝てない。一番強いのは、権利ってものを持っている人なんだって。

だから、早く寝てよ。兄ちゃん。
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