兄ちゃん、今度は何?

智春

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呪いの人形?

「お前にコレをやろう」

部屋に入ってきた兄ちゃんは、両手にぬいぐるみを持っていた。

「何コレ?買ったの?」

1個が5センチくらいの編みぐるみで、某ネズミキャラクターとその仲間たちだった。

「作った」

「え、兄ちゃんが?」

「そうだ」

答えながら、スラックスのポケットからもゴソゴソ出している。
何、いくつ持ってるの?
テーブルの上に山のように積まれた編みぐるみ。これを全部くれるって?

「編みぐるみが流行っていると聞き、体験がてら工作してみた」

例によって何事も探究しないと気が済まない兄ちゃんは、職場で休憩中にせっせと作り続けたそうだ。手先は器用だから、馴れてくると1日1個は完成できるまでに上達したらしい。

「こんなファンシーなものは職場の女の人たちにあげればいいじゃん。なんで俺に持ってきたの?」

「それが、女性陣には断られた」

「なんで?」

「皆、口をそろえて『怖い』と言う」

と、不満そうに1個取り上げた。

「確かに、野郎の手作りの人形ってキモいかもね」

「いや、そういうことではない。最初は喜んでくれるが、これの顔を見た途端返されるのだ」

「顔を見て?」

俺は編みぐるみの山から1個取り上げて顔を見た。カラーリングやフォルムは確かに某有名キャラクターだけど、なんか違和感がある。何となく怨念を発しているような雰囲気に思わず手放した。

「工程通り作ったはずなのに、なぜ完成形に差が出るのか。一目も狂いなく編んだはずなのに」

マジか!テキスト通り編んでいって、どうやったらこんなホラー映画に出てきそうな表情になるんだよ?もはや才能じゃない?

「もう作んない方がいいよ」

「そうだな。お前にまで拒否されるなら仕方ない」

しょんぼり背を丸めて編みぐるみを回収する姿が不憫すぎた。弱いんだよな、兄ちゃんのそういう姿って。

「いいよ。俺全部もらうよ」

「本当か?」

嬉しそうに微笑む兄ちゃんは、その夜はおとなしく自室に帰っていった。テーブルの上には、呪いがかけてあるようなドロドロした何かを漂わせるネズミと仲間たち・・・

「明日、人形供養のできる神社に持って行こうかな」

バスタオルをテーブルにかぶせて寝ることにした。
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