26 / 29
仕事仲間の奥さん
しおりを挟む
「仕事仲間が結婚したと聞いたので、お祝いを届けに行ったのだが・・・」
帰ってくるなり俺の部屋に入ってきた兄ちゃんは、なんとも言えない複雑な顔をしていた。
「誰が結婚したの?俺の知ってる店員さん?」
「あぁ、スラッと背が高く、笑顔が爽やかなフリーターの青年だ」
「その人なら知ってる。ホビー系にめっちゃ詳しい人だよね」
その仕事仲間は、おっとりした癒やし系イケメンで、ハスキーな低音の声もセクシーだし、絶対モテるだろうと思ってたよ。奥さんもきっと超絶美人なんだろうな。
あれ?でも、この前話した時は独り暮らしって言ってたけど・・・
「日頃、趣味の分野で博学な彼には世話になっているので、ぜひ奥方にもご挨拶をしたいと、帰宅時にお邪魔したのだ。しかし、その奥方というのは・・・」
そこまで言って兄ちゃんは、困惑した目で俺を見つめた。
「人間ではなかったのだ」
「は?」
きょとんとする俺に、怪談でも語るみたいに兄ちゃんは「人間ではない」ともう一度言った。
「信じがたいことだが、彼の奥方は『フィギュア』という種類の人形だったのだよ」
・・・え、フィギュア?
「ちょっと待って、状況確認させて?その仕事仲間はさ、兄ちゃんに何て言ったの?『結婚した』って言ったの?」
「いいや」
兄ちゃんは首を振った。
「彼は先日、『予約していた嫁がやっと入荷した』と言っていた」
「あ~!そういうことね。理解したよ」
「何をだ?」
「あれだけプラモ、フィギュアに精通してる人ならやっぱそうだよね。それなら分かるわ」
「だから、何をだ?」
「兄ちゃんにはまだちょっと理解できない世界かな」
「どういうことだ!俺にもその世界とやらを説明しろ・・・あ、コラ!なぜ追い出すのだ!?」
完全に消化不良な兄ちゃんを居座られる前に部屋から追い出した。
あの癒やし系イケメンがオタクだと知って、世の中って案外バランスとれてるなぁ、と一人納得した夜だった。
帰ってくるなり俺の部屋に入ってきた兄ちゃんは、なんとも言えない複雑な顔をしていた。
「誰が結婚したの?俺の知ってる店員さん?」
「あぁ、スラッと背が高く、笑顔が爽やかなフリーターの青年だ」
「その人なら知ってる。ホビー系にめっちゃ詳しい人だよね」
その仕事仲間は、おっとりした癒やし系イケメンで、ハスキーな低音の声もセクシーだし、絶対モテるだろうと思ってたよ。奥さんもきっと超絶美人なんだろうな。
あれ?でも、この前話した時は独り暮らしって言ってたけど・・・
「日頃、趣味の分野で博学な彼には世話になっているので、ぜひ奥方にもご挨拶をしたいと、帰宅時にお邪魔したのだ。しかし、その奥方というのは・・・」
そこまで言って兄ちゃんは、困惑した目で俺を見つめた。
「人間ではなかったのだ」
「は?」
きょとんとする俺に、怪談でも語るみたいに兄ちゃんは「人間ではない」ともう一度言った。
「信じがたいことだが、彼の奥方は『フィギュア』という種類の人形だったのだよ」
・・・え、フィギュア?
「ちょっと待って、状況確認させて?その仕事仲間はさ、兄ちゃんに何て言ったの?『結婚した』って言ったの?」
「いいや」
兄ちゃんは首を振った。
「彼は先日、『予約していた嫁がやっと入荷した』と言っていた」
「あ~!そういうことね。理解したよ」
「何をだ?」
「あれだけプラモ、フィギュアに精通してる人ならやっぱそうだよね。それなら分かるわ」
「だから、何をだ?」
「兄ちゃんにはまだちょっと理解できない世界かな」
「どういうことだ!俺にもその世界とやらを説明しろ・・・あ、コラ!なぜ追い出すのだ!?」
完全に消化不良な兄ちゃんを居座られる前に部屋から追い出した。
あの癒やし系イケメンがオタクだと知って、世の中って案外バランスとれてるなぁ、と一人納得した夜だった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
13
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる