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カリカリの真相
7月9日夜
「狸とあんご爺様に会ったのか」
夕食を作っている最中に起きてきた松姫ちゃんに、作業の不手際がきっかけで彼らに出会ったと報告した。
彼女は嬉しそうに笑った。
「大希もだいぶこの家に馴染んできたのじゃな。この地に住んで、この家の物を食うて、中身から染まったのじゃろう」
「え、なんか怖いな。そういうのって」
「なぜ怖ろしいのじゃ?」
「だって、その土地の物を食べたら元の世界へ帰れない・・・みたいな、神話のアレじゃん」
黄泉戸喫みたいって思ったけど、口には出さなかった。そうだとしたら、僕は二度とこの山間の田舎から出て行けなくなるってことでしょう?
首をかしげている松姫ちゃんに「その話はまた今度」と言って、茄子が入った鍋の火加減を見た。
「そうじゃ。あの狸たち、人語を話したであろう?気づいたか?」
「あれ、やっぱりしゃべれるの?あの狸って」
「そうらしい。だが、妾はよく知らぬ」
実際に狸たちとは会ったことがないらしい。餌をくれる者にだけ懐くことはわかっているという。
「じゃ、あんご爺ちゃんのこと教えてよ。父さんがどうとか言ってたから、蟒蛇みたいに仲良いのかな?」
「仲が良い?」
渋い顔をした松姫ちゃんは、キレイな黒髪を振って「戯けたことを申すな」と言った。
「あんご爺様は、大昔からこの地に棲む守り神じゃ。土地神様じゃよ。馴れ合うようなことは無礼じゃ。敬意を払い、尊ばねばならぬ」
「え、あの蛙って偉いの?」
「並の蛙があのような隆々とした瘤を持つ巨体となり、人語を語ることが数多あると思うのか?虚け者め」
言われてみればそうだな。と言うことは、僕は今日、2種の妖怪とコンタクトをとれたことになるのか。
やった!これで昼間の作業も面白くなりそうだ。
「そう言えば、あんごさんが父さんは悪さばかりするって言ってたけど、ホントなの?」
何気なく質問した僕に、松姫ちゃんの目つきが変わった。
「彼奴はいくつになっても悪童のままじゃ。こんな大きな息子がいるとは思えぬ幼さよ」
「へぇ、松姫ちゃんも何かされたんだ?」
僕は味噌を鍋にときながら、「何されたの?」と訊いた。
「閉じ込められた」
「え?」
「納戸に閉じ込められたのじゃ!かくれんぼすると誘っておいて、妾をあの暗闇から出られぬように細工して逃げたのじゃ」
「マジで?」
僕はうっかり鍋をひっくり返しそうになった。
夜な夜な松姫ちゃんが納戸の扉のをカリカリしていたのは、父さんが閉じ込めたからっだったようだ。
「久志め、次に顔を出した時は覚えておれ・・・」
「あはは」
父さんが里帰りしたがらない理由は、イタズラしたせいで恨まれているせいか?なんて思いつつ、夕飯の支度を続けた。
「狸とあんご爺様に会ったのか」
夕食を作っている最中に起きてきた松姫ちゃんに、作業の不手際がきっかけで彼らに出会ったと報告した。
彼女は嬉しそうに笑った。
「大希もだいぶこの家に馴染んできたのじゃな。この地に住んで、この家の物を食うて、中身から染まったのじゃろう」
「え、なんか怖いな。そういうのって」
「なぜ怖ろしいのじゃ?」
「だって、その土地の物を食べたら元の世界へ帰れない・・・みたいな、神話のアレじゃん」
黄泉戸喫みたいって思ったけど、口には出さなかった。そうだとしたら、僕は二度とこの山間の田舎から出て行けなくなるってことでしょう?
首をかしげている松姫ちゃんに「その話はまた今度」と言って、茄子が入った鍋の火加減を見た。
「そうじゃ。あの狸たち、人語を話したであろう?気づいたか?」
「あれ、やっぱりしゃべれるの?あの狸って」
「そうらしい。だが、妾はよく知らぬ」
実際に狸たちとは会ったことがないらしい。餌をくれる者にだけ懐くことはわかっているという。
「じゃ、あんご爺ちゃんのこと教えてよ。父さんがどうとか言ってたから、蟒蛇みたいに仲良いのかな?」
「仲が良い?」
渋い顔をした松姫ちゃんは、キレイな黒髪を振って「戯けたことを申すな」と言った。
「あんご爺様は、大昔からこの地に棲む守り神じゃ。土地神様じゃよ。馴れ合うようなことは無礼じゃ。敬意を払い、尊ばねばならぬ」
「え、あの蛙って偉いの?」
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言われてみればそうだな。と言うことは、僕は今日、2種の妖怪とコンタクトをとれたことになるのか。
やった!これで昼間の作業も面白くなりそうだ。
「そう言えば、あんごさんが父さんは悪さばかりするって言ってたけど、ホントなの?」
何気なく質問した僕に、松姫ちゃんの目つきが変わった。
「彼奴はいくつになっても悪童のままじゃ。こんな大きな息子がいるとは思えぬ幼さよ」
「へぇ、松姫ちゃんも何かされたんだ?」
僕は味噌を鍋にときながら、「何されたの?」と訊いた。
「閉じ込められた」
「え?」
「納戸に閉じ込められたのじゃ!かくれんぼすると誘っておいて、妾をあの暗闇から出られぬように細工して逃げたのじゃ」
「マジで?」
僕はうっかり鍋をひっくり返しそうになった。
夜な夜な松姫ちゃんが納戸の扉のをカリカリしていたのは、父さんが閉じ込めたからっだったようだ。
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「あはは」
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