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枝豆畑で、
7月15日昼頃
しまった、忘れてた。
秋香さんと立ち話に夢中になって、作業の1つ、猿避けの電柵のチェックをすっかり忘れてたよ。畑の中に猿が入ってたなんて知れたら、祖父ちゃんにぶっ飛ばされちゃう。
でも、電柵のスイッチって昨日、切ったっけ?
とりあえず、僕は母屋から道路を挟んで向こう側に広がる枝豆畑に走った。
「ヤバい、思ってたよりいっぱい侵入されてる」
柵の前まできた僕は、ショックで動けなくなった。
猿の群れは、少なくても30匹はいそう。みんな体格も毛並みも良くて、堂々とした雰囲気だ。そんな猿たちは、黙々と収穫前の枝豆を漁っている。
まだ育っていない豆のさやがかさかさ揺れた。それでもお構いなしに、ガサッ、ガサッと引っこ抜いていく。
「どうしよう。早くやめさせないと」
と言っても、慌ててここへきたから丸腰だ。
祖父ちゃんは猿を追っ払うときにエアガンや花火を使うって父さんから聞いてたけど、僕は木の棒すら持ってないよ。
さて、どうするか・・・
「結局は、動物でしょう?人が脅かせば、逃げるんじゃない?」
電柵をオフにして、プロレスのリング状に張られたワイヤを潜って、枝豆畑の中に静かに足を入れた。よし、気づかれてないな。
「ここで突然大声を出せば、すっ飛んで逃げてくんじゃない?」
柵に電流は通ってないから、どこから飛び出しても猿たちは安全なはず。
枝豆を踏まないようにいっくり進み、一際大きな猿の背後へ回った。コイツをビビらせれば逃げるだろう。
ゆっくり大きく息を吸って、ありったけの声で叫ぼうとした、その時だ。
猿がこっちをふり返った。
「!!」
鋭い視線で真っすぐ僕を見ている。うわ、なんか目がそらせない。
「コレって、どう対処したらいいのかな」
そっと後ずさりして離れると、猿は目線はままにジリッと近づいてくる。いや、間合いがちょっと詰められてるような気が・・・
けれど、僕と差し向かいになった猿は攻撃してこない。
ボス猿だったとしたら、群れを脅かす敵を攻撃してくるよね?なのにコイツは、まるで僕を観察しているみたいにじっと見ている。
その目に敵意は感じられない。
どうして?なんで、そんな目で見るの?
「大希くん!」
空から声がした。
「ご無事ですか?早く、私の後ろに隠れてください」
「天狗?」
舞い降りた天狗は、翼を広げたまま僕と猿との間に割って入った。
「さぁ、山へ帰って主人に伝えなさい。この子には、もう近づかせはしないとね」
天狗の表情はここからは見えないけど、その声色は、いつものやんわりした彼の声とは別人に思えるくらい冷たい。
「二度と、あんなことさせません。この子には、指一本触れさせませんから。私は父上と違い、容赦はしませんよ」
この子って誰?僕のことなの?
「ねぇ、それってどういう事?」
「・・・」
大きな猿と睨み合う天狗のガッチリした背中に守られながら、僕の頭の中に今の言葉への疑問でいっぱいになっていった。
しまった、忘れてた。
秋香さんと立ち話に夢中になって、作業の1つ、猿避けの電柵のチェックをすっかり忘れてたよ。畑の中に猿が入ってたなんて知れたら、祖父ちゃんにぶっ飛ばされちゃう。
でも、電柵のスイッチって昨日、切ったっけ?
とりあえず、僕は母屋から道路を挟んで向こう側に広がる枝豆畑に走った。
「ヤバい、思ってたよりいっぱい侵入されてる」
柵の前まできた僕は、ショックで動けなくなった。
猿の群れは、少なくても30匹はいそう。みんな体格も毛並みも良くて、堂々とした雰囲気だ。そんな猿たちは、黙々と収穫前の枝豆を漁っている。
まだ育っていない豆のさやがかさかさ揺れた。それでもお構いなしに、ガサッ、ガサッと引っこ抜いていく。
「どうしよう。早くやめさせないと」
と言っても、慌ててここへきたから丸腰だ。
祖父ちゃんは猿を追っ払うときにエアガンや花火を使うって父さんから聞いてたけど、僕は木の棒すら持ってないよ。
さて、どうするか・・・
「結局は、動物でしょう?人が脅かせば、逃げるんじゃない?」
電柵をオフにして、プロレスのリング状に張られたワイヤを潜って、枝豆畑の中に静かに足を入れた。よし、気づかれてないな。
「ここで突然大声を出せば、すっ飛んで逃げてくんじゃない?」
柵に電流は通ってないから、どこから飛び出しても猿たちは安全なはず。
枝豆を踏まないようにいっくり進み、一際大きな猿の背後へ回った。コイツをビビらせれば逃げるだろう。
ゆっくり大きく息を吸って、ありったけの声で叫ぼうとした、その時だ。
猿がこっちをふり返った。
「!!」
鋭い視線で真っすぐ僕を見ている。うわ、なんか目がそらせない。
「コレって、どう対処したらいいのかな」
そっと後ずさりして離れると、猿は目線はままにジリッと近づいてくる。いや、間合いがちょっと詰められてるような気が・・・
けれど、僕と差し向かいになった猿は攻撃してこない。
ボス猿だったとしたら、群れを脅かす敵を攻撃してくるよね?なのにコイツは、まるで僕を観察しているみたいにじっと見ている。
その目に敵意は感じられない。
どうして?なんで、そんな目で見るの?
「大希くん!」
空から声がした。
「ご無事ですか?早く、私の後ろに隠れてください」
「天狗?」
舞い降りた天狗は、翼を広げたまま僕と猿との間に割って入った。
「さぁ、山へ帰って主人に伝えなさい。この子には、もう近づかせはしないとね」
天狗の表情はここからは見えないけど、その声色は、いつものやんわりした彼の声とは別人に思えるくらい冷たい。
「二度と、あんなことさせません。この子には、指一本触れさせませんから。私は父上と違い、容赦はしませんよ」
この子って誰?僕のことなの?
「ねぇ、それってどういう事?」
「・・・」
大きな猿と睨み合う天狗のガッチリした背中に守られながら、僕の頭の中に今の言葉への疑問でいっぱいになっていった。
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