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土地神様の独り言
8月6日夜明け前
「待たせたのぉ」
天狗に抱えられ、土地神様のあんご爺ちゃんが到着した。空を飛んできたことで体が乾いてしまったと、先にひとっ風呂浴びたいと告げて、いつもの木桶へ直行した。
「大希、見てみよ」
「え、何を?」
裏庭へ行く途中、爺ちゃんに言われて辺りを見渡してみると、納屋の陰には化け狸たち、勝手口の窓越しに稲荷たち、井戸から顔を出して様子を伺っている蟒蛇を見つけた。
「みんな!」
「愛されておるのぉ。この地に縁が結ばれたのじゃろう」
「縁が・・・」
もう他所者じゃないってことなのかな?この土地の仲間として、僕のことを心配してくれているのだとしたらスゴく嬉しい。
こんなにみんなに大事にされて、ありがたい・・・
「天狗の坊主からおおよその話は聞いておる。過去にこの家で起こった騒動を、わしの力を使って審議したいそうじゃな?」
「うん。できる?」
「わしを誰じゃと思っておる」
爺ちゃんは水面に顔を半分だけ浮かせて手足を悠々と伸ばした。
「ただし、わしは真実を見せるだけじゃぞ。大希や久志の意に沿う結果になるとは限らぬ。それでも良いのじゃな?」
ぶくっと泡ぶくを吐き出しながら爺ちゃんは僕をじっと見上げた。
たとえ、どんな事実が分かっても、僕と猩々の友情は揺らがない。父さんたちがまた彼を山奥へ追いやっても、今度は僕から会いに行けばいい。
「大丈夫だよ。僕は猩々を信じてるから」
「ならば良い」
大きなヒキガエル姿の神様は、ふっと満足そうに笑ったように見えた。
「アレは言葉が足らぬから・・・」
「え?」
バシャッ!!
木桶から上がった爺ちゃんは、大きく身震いを一度すると「行くか」と歩き出した。
水飛沫の音で聞き取りづらかったけど、爺ちゃんの独り言みたいな呟きはちゃんと分かったよ。
・・・言葉が足らぬから、理不尽な処遇でも甘んじて受け入れるしかないのじゃ。温かく見守ってくれる者がおれば。
もしかして、猩々は昔からこんなふうなトラブルに巻き込まれていたのかな?
とても素直で気が弱い彼のことだから、弁解することも反論あることもできずに、みんなの怒りが収まるまで、山奥に籠もって一人きりでひたすら待っているとしたら・・・
「大希、皆に庭へ集まっているように伝えるのじゃ。騒動当時のお前に関わりのある者たちがすべて揃ったら、『遡る』としよう」
「分かったか。みんなに言ってくる」
ゆっくり歩みを進める土地神様を追い越し、一足先に庭へ走った。
「待たせたのぉ」
天狗に抱えられ、土地神様のあんご爺ちゃんが到着した。空を飛んできたことで体が乾いてしまったと、先にひとっ風呂浴びたいと告げて、いつもの木桶へ直行した。
「大希、見てみよ」
「え、何を?」
裏庭へ行く途中、爺ちゃんに言われて辺りを見渡してみると、納屋の陰には化け狸たち、勝手口の窓越しに稲荷たち、井戸から顔を出して様子を伺っている蟒蛇を見つけた。
「みんな!」
「愛されておるのぉ。この地に縁が結ばれたのじゃろう」
「縁が・・・」
もう他所者じゃないってことなのかな?この土地の仲間として、僕のことを心配してくれているのだとしたらスゴく嬉しい。
こんなにみんなに大事にされて、ありがたい・・・
「天狗の坊主からおおよその話は聞いておる。過去にこの家で起こった騒動を、わしの力を使って審議したいそうじゃな?」
「うん。できる?」
「わしを誰じゃと思っておる」
爺ちゃんは水面に顔を半分だけ浮かせて手足を悠々と伸ばした。
「ただし、わしは真実を見せるだけじゃぞ。大希や久志の意に沿う結果になるとは限らぬ。それでも良いのじゃな?」
ぶくっと泡ぶくを吐き出しながら爺ちゃんは僕をじっと見上げた。
たとえ、どんな事実が分かっても、僕と猩々の友情は揺らがない。父さんたちがまた彼を山奥へ追いやっても、今度は僕から会いに行けばいい。
「大丈夫だよ。僕は猩々を信じてるから」
「ならば良い」
大きなヒキガエル姿の神様は、ふっと満足そうに笑ったように見えた。
「アレは言葉が足らぬから・・・」
「え?」
バシャッ!!
木桶から上がった爺ちゃんは、大きく身震いを一度すると「行くか」と歩き出した。
水飛沫の音で聞き取りづらかったけど、爺ちゃんの独り言みたいな呟きはちゃんと分かったよ。
・・・言葉が足らぬから、理不尽な処遇でも甘んじて受け入れるしかないのじゃ。温かく見守ってくれる者がおれば。
もしかして、猩々は昔からこんなふうなトラブルに巻き込まれていたのかな?
とても素直で気が弱い彼のことだから、弁解することも反論あることもできずに、みんなの怒りが収まるまで、山奥に籠もって一人きりでひたすら待っているとしたら・・・
「大希、皆に庭へ集まっているように伝えるのじゃ。騒動当時のお前に関わりのある者たちがすべて揃ったら、『遡る』としよう」
「分かったか。みんなに言ってくる」
ゆっくり歩みを進める土地神様を追い越し、一足先に庭へ走った。
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