クールなサイボーグ部長の素顔

織原深雪

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送別会にて~アラサー女子のやけ酒~

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お店を出ると、もう既に若い子達は二次会に移動していまっていた。
残ってたのは異動になる部長に二課の課長だった。
どちらも目上の方達だ。

「お疲れ様でした。お先に失礼します」

そう挨拶した。
ふわふわ、ゆらゆらとしながら。

「伊月、大丈夫か?お前帰れるのか?」

そう聞いてくれたのは紳士で愛妻家の部長。

「うるさくして済みませんでした。大丈夫ですよ!」

そう、にこやかに答えると

「部長、俺が送っていくので大丈夫ですよ」

サラっと言ってのける課長に

「木島がついてるなら安心だな。来週から頑張れよ、新部長」

そうして、木島さんの肩をポンと叩いて、二人は駅に向かっていった。

「伊月、俺は今日車だから送って行く」

そう言うと、居酒屋から会社に向かって戻り始めたので私も着いていく。

着いた会社の駐車場の中で、キーロックを解除されたのは白い国産のセダンタイプの車だ。

「ほら、乗って」

そう催促されて、腰を下ろした車のシートは革仕様。
乗り心地が今まで私が乗ってきた車と違いすぎてびっくりする。
内装に凝るとこんなになるのかと驚きは隠せなかった。
間違いなくこの車はハイグレードな仕様なんだろうと思った。

シートベルトを締めて、落ち着いた頃

「伊月、お前色々溜まってるな?飲んでスッキリしたのか?」

そう聞いてきた木島課長に

「いえ、全然!」

力強く答えた。

「そうか、それなら俺のうちで好きなだけ飲ませてやろう。俺は宅飲み派でな、日本酒、焼酎、ワインにウィスキーなど揃ってるぞ?来るか?」

そう聞いてきた。

普段のシラフの私なら断って自宅に送ってもらっただろう。

しかし、この時の私は喋れても思考回路は立派な酔っぱらい。
しかも、振られてやさぐれてやけ酒していた所なのだ。
もはやしっかりした思考回路からは到底かけ離れていた。
なので、そこが実は手ぐすね引いて待ってる羊の皮かぶったオオカミさんの誘いとは全く思わず、まだまだ愚痴り足りなかった私は、その誘いにこう答えた。

「そんなにお酒が!!行きましゅ!!飲みましゅ!」

もはや、語尾が幼児化してる事にも本人気づかないくらいのぐでんぐでん振りなのだ。

それにクスッと笑った木島さんを見て、ぽやーんとしながらも綺麗な顔の人は無表情でも笑っても綺麗なんだなとか思っていた。

「それじゃあ、俺の家に行くぞ?シートベルトしたな?」
「はい!いきましょ!」

こうして、私は皆が恐れをなしてるサイボーグ課長の自宅にまんまと自らの足で踏み込んでしまった。

そこに待ち受けるものや出来事を全く考えずに。

ついた先は推しも押されぬ人気スポットにあるタワーマンションの一室だった。

夜景の綺麗な高層階。
眺めていると、声を掛けられた。

「ほら、準備できたぞ。こっちに来なさい」

なんだか、保護者の様な声掛けをされているけれど、酔っぱらいの私にはそんな事も全く気にならない。

「はーい!夜景綺麗でした!」

にっこにこと話す今の私には、職場のキリッとした姿はどこにもなかった。
お酒でリミッターが外れてすっかり素の自分をさらけ出してしまっていた。

「千波は、景色のいい所が好きだろう?よく会社でも休憩スペースから外を眺めてる」

よく知ってるなと思いつつ

「眺めがいいのは好きです」
「そうか、それならいつ来ても良いし、部屋は沢山あるから住んでもいいぞ?」

すっごい事を真顔で言う。
冗談だよね?
酔っぱらいでもそれくらいは分かりますよ?

「もう、冗談はもっと上手ににこやかな顔して言わないとダメれすよ?」

とニコニコ返す。
うん、私もダメダメだろう。

「うん、今の千波には通じないだろうな。言っとくけど、車を運転してきてるんだから俺は素面だからな?」

それくらいは分かってるのに。
全く今日の課長は何が言いたいのかよく分からない。

「じゃあ、飲みましょ!私の愚痴聞いてくれるんれしゅよね?」
「あぁ、俺にとってまたと無いチャンスだからな。ちゃんと聞いてやる」

ポンポンと頭を撫でられつつ、課長の用意してくれたおつまみとお酒で二次会がスタートした。
    
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