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茶会も三回目になる頃、私はお二人に聞いた。
「どうして週一で茶会になったのでしょう?」
そんな私の疑問には伽羅さまが答えてくれた。
「流鶯様からの伝言ですわ。私たち三人はこういった場でも設けない限り趣味に没頭してしまうだろうからと。交流の場を持ちなさいとね」
苦笑しつつ言った伽羅さまに、沙鳳さまは頷きつつもその手には紙と筆がある。
今日もさらさらと紙に何かを描きつつの参加が沙鳳さまである。
「流鶯様は生粋の貴族令嬢だったから、こういった場の大切さを説かれたけれど、私たち集まってもあまりねぇ」
手を止めないままの沙鳳さまの言葉に私と伽羅さまは苦笑しつつも同意した。
だって、本来私たちは各々で過ごすのが好きなメンバーであるから。
それでも、週に一回息抜きのようなお茶会は気分の切り替えにはもってこいだった。
しかし、そのお茶会も四回目を迎える頃沙鳳さまに下賜の話が来たことを報告されて、私たちのお茶会も残り僅かであると知らされたのだった。
そうして、茶会のメンバーは夏を迎える頃には私と伽羅さまのみになった。
沙鳳さまは、立ち去る前に私と伽羅さまに姿絵を描いて残して行ってくれた。
今は部屋に飾られているそれを見て、陛下は沙鳳さまの描いた私を気に入ったらしく自分にもなんと私の姿絵を描いて送ってくれと頼んだらしく、沙鳳さまは呆れつつも陛下のお願いを聞いたと文で教えてくれた。
去っていた側妃さまたちは、その後私宛に定期的に文を送ってくれていた。
文は監察官の確認の後に来るので見られて困らない内容で書かれているが、外での生活や自身は何も問題なく過ごせていること、そして私の日々の生活は問題ないかを問うて終わる。
私は機織りや染色、たまに刺繍をしつつそうして定期的に来る文に返事を書くのが習慣化されてきた。
そうして迎えた、秋。
一番長らくいてくれた伽羅さまも、とうとう下賜先が決まり冬を前に後宮を去ることが決まった。
伽羅さまは、去る前に大変効き目の良い手荒れに効く軟膏を作って私に贈てくれた。
「春麗様の生地は大変素晴らしく、私も好きだった。でも、定期的に会うようになってその手は大変酷使されていると気づいて、出来ることをと開発したんだ」
そう言って渡してくれた、軟膏はとてもいい香りをしつつ荒れた私の手を滑らかにしてくれた。
こうして、とうとう後宮は側妃である私一人になったのだった。
皆が去った頃から、陛下は毎日のように私に会いに来るようになった。
その前から、陛下はほかの側妃の元には行かずに私の元にばかり来ていたのだけれど。
そんな頻度のおかげか、私はだいぶ陛下と過ごすことに慣れて来たのだった。
「どうして週一で茶会になったのでしょう?」
そんな私の疑問には伽羅さまが答えてくれた。
「流鶯様からの伝言ですわ。私たち三人はこういった場でも設けない限り趣味に没頭してしまうだろうからと。交流の場を持ちなさいとね」
苦笑しつつ言った伽羅さまに、沙鳳さまは頷きつつもその手には紙と筆がある。
今日もさらさらと紙に何かを描きつつの参加が沙鳳さまである。
「流鶯様は生粋の貴族令嬢だったから、こういった場の大切さを説かれたけれど、私たち集まってもあまりねぇ」
手を止めないままの沙鳳さまの言葉に私と伽羅さまは苦笑しつつも同意した。
だって、本来私たちは各々で過ごすのが好きなメンバーであるから。
それでも、週に一回息抜きのようなお茶会は気分の切り替えにはもってこいだった。
しかし、そのお茶会も四回目を迎える頃沙鳳さまに下賜の話が来たことを報告されて、私たちのお茶会も残り僅かであると知らされたのだった。
そうして、茶会のメンバーは夏を迎える頃には私と伽羅さまのみになった。
沙鳳さまは、立ち去る前に私と伽羅さまに姿絵を描いて残して行ってくれた。
今は部屋に飾られているそれを見て、陛下は沙鳳さまの描いた私を気に入ったらしく自分にもなんと私の姿絵を描いて送ってくれと頼んだらしく、沙鳳さまは呆れつつも陛下のお願いを聞いたと文で教えてくれた。
去っていた側妃さまたちは、その後私宛に定期的に文を送ってくれていた。
文は監察官の確認の後に来るので見られて困らない内容で書かれているが、外での生活や自身は何も問題なく過ごせていること、そして私の日々の生活は問題ないかを問うて終わる。
私は機織りや染色、たまに刺繍をしつつそうして定期的に来る文に返事を書くのが習慣化されてきた。
そうして迎えた、秋。
一番長らくいてくれた伽羅さまも、とうとう下賜先が決まり冬を前に後宮を去ることが決まった。
伽羅さまは、去る前に大変効き目の良い手荒れに効く軟膏を作って私に贈てくれた。
「春麗様の生地は大変素晴らしく、私も好きだった。でも、定期的に会うようになってその手は大変酷使されていると気づいて、出来ることをと開発したんだ」
そう言って渡してくれた、軟膏はとてもいい香りをしつつ荒れた私の手を滑らかにしてくれた。
こうして、とうとう後宮は側妃である私一人になったのだった。
皆が去った頃から、陛下は毎日のように私に会いに来るようになった。
その前から、陛下はほかの側妃の元には行かずに私の元にばかり来ていたのだけれど。
そんな頻度のおかげか、私はだいぶ陛下と過ごすことに慣れて来たのだった。
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