4 / 16
もふもふ保育園始動で、意外な人物登場!
しおりを挟む素敵な園舎が出来たころ、お手伝いの人員もライラさんのお友達のミーナさんにキャロルさんにエリンさん。カロンくんの母マキナさんは調理担当になってくれた。
そしてキャロルさんの娘さんのミレイラさんが事務と経理担当になってくれている。
この村では貨幣もあるものの、未だに物々交換での生活も多く保育園でもそれを混ぜていくことに決めた。
建物を建ててくれたサムさんのところは実質無料で、農場や畑をやっているお家からは野菜や麦、乳や卵なんかをもらってお昼やおやつとして提供。
保育士や私たちもそこで残った余りを給与として分けてお持ち帰りすることに決まった。
生物だったりするので、乳や卵はなるべく朝に採れたものを必要なだけ運んでもらい、野菜は日持ちするものは週一、葉物は二日に一回届けてもらって献立をマキナさんやライラさんが相談して考えてくれている。
木工職人のガルさんのところも、食器をたくさん作って園にと頂いたのでお子さんたちを実質無料でお預かりになった。
どれも子どもサイズで食べやすいように工夫された食器は、お昼ご飯と相まって子ども達には好評だ。
それ以外にどうしても必要な部分を考えて毎月銀貨二枚が保育園代と決定した。
銀貨は日本円で考えると大体二千円くらい。
保育園代としては破格だろうけれど、ここでは一月の収入が大体金貨三枚だという。
金貨は一枚で一万円と考えたら保育園代で銀貨二枚は結構な額なのだ。
それでも預けたいというお母さんたちが多かったのは、やはり育児と仕事の並行が大変な負担であったことが窺える。
お子さんが二人のところは兄弟割で二人で銀貨三枚に決めた。
そうして頂いたお金で、必要な物を買う資金として残りは積立金とした。
園舎の修繕や、この先の拡張なども視野に入れての判断だった。
それでも積み立てが大きくなったときは、ご家庭に返金も考えているが、とりあえずこんな形で保育園はスタートを切った。
お預かりは朝七時半から夕方五時まで。
早めのお迎えもオッケーだし、遅い登園も問題ない。
朝は九時までに来てもらって、五時にはお迎えに来てもらうことにした。
大体、畑や農場の子たちは親が三時でお迎えに来てくれて五時までいる子は商店や工場の子ども達。
うまく調整が取れているので、お手伝いのキャロルさん、ミーナさん、エリンさんには八時半から四時までのお手伝いをお願いした。朝と夜の一時間は私一人でもなんとかなるからだ。
保育園の説明会でもこの案はすんなり通って、お母さんと子ども達は毎日元気に登園してくるようになった。
「ハルナ先生、おはよう!」
今日も朝一番はカロンくんだ。
「カロンくんおはよう。今日もいい天気だから沢山遊びましょうね」
そんな私の挨拶にニコニコと笑ってくれるカロンくん。
挨拶しているうちにメロウちゃんもシェイラさんとやってきた。
「ハルナ先生、おはようございます!メロウ、今日はお花摘み行きたい!」
パタパタと駆けてきて、開口一番にメロウちゃんは訴えてきた。
「メロウちゃん、おはようございます。お花摘み、良いわね。みんなが揃ったらお散歩で行こうね」
そう返事を返せば、とっても嬉しそうに跳ねている。
もこもこ仔羊のジャンプはなかなかに可愛い。が、油断するとこっちが飛ばされそうになるので要注意だ。
「こら、メロウ。先生はお母さんたちとは違うから気を付けなくちゃダメよ」
シェイラさんの言葉に、ハッとした顔をするとメロウちゃんはジャンプを止めた。
「先生、気を付けるね!先生が飛んじゃったら大変だもん」
きちんと言葉を聞いて気を付けられる。メロウちゃんはしっかりした子である。
「ありがとう。先生もママたちみたいにしっかり出来たら良かったんだけど、こればっかりは種族の差みたいなものだから。みんな分かって気を付けてくれてて先生助かってるよ」
そう、仔羊な彼らは走らせれば人の大人のスプリンター並みに早いから私じゃ追いつけない。体当たりされれば、もちろん飛ばされるのは私のほうだ。
ライラさんやマキナさん、キャロルさんなどが最初に丁寧に子ども達に分かりやすく説明してくれたおかげで私はなんとかこの種族の差をフォローされつつ子ども達の相手をしている。
落ち人さんの物語の絵本のおかげか、子ども達もすんなりと私と自分たちの違いを受け入れて接してくれている。
ここの子達は、しっかり相手を思いやれる優しい子たちばかりだ。
よちよち歩きの赤ちゃんから、もうすぐ小学校に行く子たちまでの四十五人が九時から三時ころまでの子どもの人数で、この人数になると自然と大きな子たちが小さな子の面倒をみてくれるのだ。
小さな子たちもお兄さん、お姉さんをよく見てどんどん真似して成長していく。
成長していく子ども達と毎日を一緒に過ごせることは、場所が違っても夢を叶えることができた私としては幸せである。
今日の散歩には畑の近くを選んだ。そこより先に行くと、私が最初に立っていた草原になるのでそこまで奥には行かないように呼び掛ける。
「今日はこのあたりでお花摘みね! ここより奥には行っちゃだめだよ」
たどり着いた、花が咲く空き地で子ども達は思い思いに遊び始める。
私は、お花摘みに付き合ったりかけっこに付き合ったりした。
なかなかにハードな時間だけど、体を動かすのも結構楽しい。
「ごめんね、みんな元気だけど先生はちょっと休むよ」
そう、頑張ってもやっぱり私がへばるほうが先。
子ども達は元気の塊だから、なかなか追いつけないのだ。
そうして少し座って休むと、必ず私のそばに来る子がいる。
その子は大工のサムさんところのノノンちゃん。
大人しいタイプの女の子でサムさんの家の五人兄弟の三番目。
一番、周囲の様子を読んで動くとっても優しい子だ。
「先生、私も休むからもふもふしていいよ?」
私が無類のもふもふ好きと気づいたらしいノノンちゃんは、こういった場面で寄って来て一緒に過ごす。
小さな子や、他に囲まれてるときはそっと端で静かに過ごしている。
こういう、独占できる時を逃さないのもうまく見てるんだなと思う。
甘えたいんだろうな、でうまくいく時をしっかり掴んでくる。
三番目は実に要領がいい。
「うん、じゃあもふもふさせてね」
そうやってノノンちゃんとゆっくりみんなに目線を向けつつ過ごしていると、私はいつものように人数を数えて足りないことに気づいて慌てて立ち上がる。
「ノノンちゃん、ごめん。メロウちゃんとカロンくんがいない!探してくるから」
そう言って駆け出そうとする私をノノンちゃんがキュッと服の端を噛んで止めた。
「ハルナ先生、カロンくんたち草原に向かって行ったの見えた。あっちのほう。ミーナさんと行くのがいい」
ノノンちゃん、あなたはなんて視野が広いの!
「ありがとう、助かる!キャロルさん、ノノンちゃんお願いします。ミーナさん!!カロンくんとメロウちゃんが草原に!一緒にお願いします」
そうして、キャロルさんとエリンさんに残りの子達を任せて私はミーナさんと草原に向かって駆け出したのだった。
久しぶりに来た草原は私が来たころと変わりなく、広く先が見えない。
草の丈はの伸びたようで、この間のように二人の姿は見えない。
「カロンくん、メロウちゃん!そろそろお昼よ!園に帰るから出ていらっしゃい!」
大きな声で叫ぶと、少し先でカサカサと草が揺れた。
そこを見つけてミーナさんがすかさず駆け寄っていく。
そして私はその向こうに、ここでは見かけない集団を目撃して一瞬にして固まる。
ここは草食の羊さんの村だったはず。
なぜ、ここにライオンや豹といったネコ科の肉食獣がいらっしゃるの!!
た、食べられる?!
私は大慌てでミーナさん、カロンくんメロウちゃんを呼ぶ。
「みんな、早く村に逃げて! 私を置いて行って! 早く!」
そう叫ぶ私に、先を見据えてミーナさんはせっついてたカロンくんとメロウちゃんを前に止まってしまう。
あぁ、このままじゃ大変なことに! と私自身も逃げなきゃなのに動けにままでいると私を見つけたメロウちゃんが駆け寄ってきた。
その顔に恐怖がないのがびっくりなのだが、話を聞いて判明した。
「あれ? ハルナ先生聞いてなかったっけ? あのね、王様の気配がしたからお迎えに行ったんだよ」
えっへんと自慢げな表情のメロウちゃんに、カロンくんが言う。
「住み分けられてるけど、この世界アルアローザの王様はライオンのダムド様だよ」
なんと、王様いたんですか? しかもその王様こんなにあっさり草原歩いてきます? もう訳が分からないが、とりあえず食べられちゃう心配は回避されたらしい……。
「おぉ。この子が落ち人か。面白い試みをしていると聞いて会いに来たぞ!」
ダンディなライオンの王様ダムド様。見た目は思いっきりライオンチックな鬣風のふさふさの髪をなびかせてご登場。
王様、フットワーク軽くないですか? そう思うのは私だけですか?
とりあえず、なんか予告もなくこの国の偉い人に会ってしまいました。
2
あなたにおすすめの小説
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
異世界転生してしまった。どうせ死ぬのに。
あんど もあ
ファンタジー
好きな人と結婚して初めてのクリスマスに事故で亡くなった私。異世界に転生したけど、どうせ死ぬなら幸せになんてなりたくない。そう思って生きてきたのだけど……。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる