ダブルの謎

KT

文字の大きさ
4 / 14

3.訪問

しおりを挟む
3.訪問
  鈴木と豚骨ラーメンを食べ終えた後、正行は、現在解剖が行われている相原さんの遺族に出向いて詳しい話を聞くことにした。

まず、美里さんに連絡してみたが、精神的に辛く今病院の方にいるという。
まだ事件が起きて1週間も経っておらず、弟の死に目に遭うのは、精神的に相当きつかったのだろう。

そして正行は、つい先日美里さんについでに書いてもらった実家の方の電話番号に連絡してみた。

「えー突然すみません。こちら神奈川県警の松本というものなのですが、美里さんのご実家でよろしいでしょうか?」

「えぇ……私は、美里の親のさなえですがなにか。」80代ぐらいの高齢の女性だろうか、声に年季を感じた。

「実は、亡くなった遼一さんのことでお聞きしたいことがあるのですが、もしよければ今日あたりそちらに出向いてもよろしいでしょうか?」

「はー別によろしいですけど」冷たい声だ。

「てかうちの遼一は、そもそも生きてますけど」声を太くして驚くべきことをいった。

「え」

「いやだから生きてますよ。今日も会ったんだから。」

「あーそうですか。とりあえずお伺いさせていただきますね」

このお婆さんは、認知症なのか、孫の記憶がフラッシュバックしているのかだろうと正行は推測した。

「一応お名前とご住所をお聞かせになってもよろしいでしょうか?」

「相原さなえ。住所は、横浜市中区山手町……」

美里が書いたものと同じだ。

「すいません。ありがとうございます。では、伺わさせていただきますのでよろしくお願いします。」

「はい……」心細い声で電話が切れた。

 正行は、相原さんの実家に向かった。エスカレーターを登り、アメリカ山公園に着いた。

「ふぅ空気が綺麗だ」

「チィーチィーチィ」メジロの鳴き声がする。自然の豊かなところだ。
正行は、自然と笑顔になった。

公園を通り抜け、相原さんの実家に急いだ。

そこから7、8分ほど歩いただろうか。
相原さんの自宅前に着いた。
2階建ての大きな煉瓦造りの家だ。
玄関前に大型犬の置物があった。
おそらくゴールデン・レトリバーだろう。犬がよほど好きなんだなと思いながら、正行は、インターフォンを鳴らした。

「すいません。先ほど連絡させていただいた神奈川県警の松本と言うものなんですけど」

「どうもご苦労様です。今門を開けますので、お待ちください。」割と若めの女性の声がした。
家政婦と思われる。

しばらくすると、その声主と思われる女性が門を開けにきた。

「お待たせしました。どうぞお入りください。」

「お邪魔します。」と靴を脱ぎ、用意されてあったスリッパを履いた。

「では、こちらのリビングでお待ちくださいませ、今お茶を淹れますので」と「いえいえ、お気になさらずに」と直ぐに言ったが、直ぐにキッチンと思われる方に行ってしまった。

ボーッと壁に貼られている何枚かの絵を見ていると、お花畑や海の波の絵など自然豊かなものが並んでいる。

しかし、一番左端の絵だけ、何か変な印象を受けた。1人の遺体と思われる人に何人もの人が寄り添っている。
帽子を被っている人が1人で何やら刃物のようなものを持っている。

とその絵に夢中になってた時、「お待たせいたしました。お茶でございます。」家政婦さんが持ってきてくれた。

「わざわざすみません」

「いえいえお気になさらず。もう少しで、かなえ様が参りますのでお待ちください」そう言って一礼をして、奥に方に消えてしまった。

5分ほど経っただろうか、二階から降りてくる足跡がした。

「あどうも」腰を曲げながら、はっきりした声で言った。さなえさんだ。

「お邪魔しております。」すぐに正行は、頭を下げた。

「腰を悪くしているもんでね、手短にお願いしたいんだけどいいかな」と曲がった腰をさするながら言った。

「承知いたしました。ご協力ありがとうございます。」と言いつつもずっと気になっていたその絵について聞いてみた。

「あの1つ飾られてる絵のことでお聞きしたいことがあるのですがよろしいでしょうか?」

「絵ですか。どうぞ」

「あの絵なのですが」正行は、左手を差し出して見せた。

「あーその絵はね、うちの主人が海外から帰国してきた時に持ち帰ってきたものですよ」

「おーそうでしたか」

「確か作品名はテュルプ博士の解剖学講義とか言ったかな」

「なるほど」

「うちの主人元々解剖学者で海外で研究していたもんでね」

「あ、お医者様だったんですね」 
                                                                     
ゆっくりとさなえは、うなずいた。

「失礼ですがご主人は今どこに?」

「主人は、病院にいると思いますよ。共栄病院の院長ですから。」

「おーあの共栄病院の院長さんですか。それは、大変ご立派な。私の子供も、小児喘息で共栄病院にお世話になった時期があったんですよ」と感心するように言った。

「あー本当に、喘息とは、大変だったでしょう」

「いえいえ、お陰様で完治しましたので」そう言って正行は、その院長について質問した。

「院長様のお名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?」

「相原博です。」即座に答えた。

「家には戻られているんですか?」

「いやそれが最近はなんか研究で忙しいとか言って1週間に1、2回しか顔を出さないんですよ」

「きっとよっぽど大変な研究をなさっているんでしょうね」

「えぇそうでしょうね」うつむいたままかなえは、相づちを打った。

「すいません話が飛びましたね……では息子さんのお話を…」

  ちょうどその時だった。

「ガチャ」玄関の開く音がした。

「ただいま」30代くらいの男の声だろうか……
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

花嫁

一ノ瀬亮太郎
歴史・時代
征之進は小さい頃から市松人形が欲しかった。しかし大身旗本の嫡男が女の子のように人形遊びをするなど許されるはずもない。他人からも自分からもそんな気持を隠すように征之進は武芸に励み、今では道場の師範代を務めるまでになっていた。そんな征之進に結婚話が持ち込まれる。

セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち

ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。 クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。 それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。 そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決! その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

与兵衛長屋つれあい帖 お江戸ふたり暮らし

かずえ
歴史・時代
旧題:ふたり暮らし 長屋シリーズ一作目。 第八回歴史・時代小説大賞で優秀短編賞を頂きました。応援してくださった皆様、ありがとうございます。 十歳のみつは、十日前に一人親の母を亡くしたばかり。幸い、母の蓄えがあり、自分の裁縫の腕の良さもあって、何とか今まで通り長屋で暮らしていけそうだ。 頼まれた繕い物を届けた帰り、くすんだ着物で座り込んでいる男の子を拾う。 一人で寂しかったみつは、拾った男の子と二人で暮らし始めた。

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

私の優しいお父さん

有箱
ミステリー
昔、何かがあって、目の見えなくなった私。そんな私を、お父さんは守ってくれる。 少し過保護だと思うこともあるけれど、全部、私の為なんだって。 昔、私に何があったんだろう。 お母さんは、どうしちゃったんだろう。 お父さんは教えてくれない。でも、それも私の為だって言う。 いつか、思い出す日が来るのかな。 思い出したら、私はどうなっちゃうのかな。

処理中です...