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3.訪問
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3.訪問
鈴木と豚骨ラーメンを食べ終えた後、正行は、現在解剖が行われている相原さんの遺族に出向いて詳しい話を聞くことにした。
まず、美里さんに連絡してみたが、精神的に辛く今病院の方にいるという。
まだ事件が起きて1週間も経っておらず、弟の死に目に遭うのは、精神的に相当きつかったのだろう。
そして正行は、つい先日美里さんについでに書いてもらった実家の方の電話番号に連絡してみた。
「えー突然すみません。こちら神奈川県警の松本というものなのですが、美里さんのご実家でよろしいでしょうか?」
「えぇ……私は、美里の親のさなえですがなにか。」80代ぐらいの高齢の女性だろうか、声に年季を感じた。
「実は、亡くなった遼一さんのことでお聞きしたいことがあるのですが、もしよければ今日あたりそちらに出向いてもよろしいでしょうか?」
「はー別によろしいですけど」冷たい声だ。
「てかうちの遼一は、そもそも生きてますけど」声を太くして驚くべきことをいった。
「え」
「いやだから生きてますよ。今日も会ったんだから。」
「あーそうですか。とりあえずお伺いさせていただきますね」
このお婆さんは、認知症なのか、孫の記憶がフラッシュバックしているのかだろうと正行は推測した。
「一応お名前とご住所をお聞かせになってもよろしいでしょうか?」
「相原さなえ。住所は、横浜市中区山手町……」
美里が書いたものと同じだ。
「すいません。ありがとうございます。では、伺わさせていただきますのでよろしくお願いします。」
「はい……」心細い声で電話が切れた。
正行は、相原さんの実家に向かった。エスカレーターを登り、アメリカ山公園に着いた。
「ふぅ空気が綺麗だ」
「チィーチィーチィ」メジロの鳴き声がする。自然の豊かなところだ。
正行は、自然と笑顔になった。
公園を通り抜け、相原さんの実家に急いだ。
そこから7、8分ほど歩いただろうか。
相原さんの自宅前に着いた。
2階建ての大きな煉瓦造りの家だ。
玄関前に大型犬の置物があった。
おそらくゴールデン・レトリバーだろう。犬がよほど好きなんだなと思いながら、正行は、インターフォンを鳴らした。
「すいません。先ほど連絡させていただいた神奈川県警の松本と言うものなんですけど」
「どうもご苦労様です。今門を開けますので、お待ちください。」割と若めの女性の声がした。
家政婦と思われる。
しばらくすると、その声主と思われる女性が門を開けにきた。
「お待たせしました。どうぞお入りください。」
「お邪魔します。」と靴を脱ぎ、用意されてあったスリッパを履いた。
「では、こちらのリビングでお待ちくださいませ、今お茶を淹れますので」と「いえいえ、お気になさらずに」と直ぐに言ったが、直ぐにキッチンと思われる方に行ってしまった。
ボーッと壁に貼られている何枚かの絵を見ていると、お花畑や海の波の絵など自然豊かなものが並んでいる。
しかし、一番左端の絵だけ、何か変な印象を受けた。1人の遺体と思われる人に何人もの人が寄り添っている。
帽子を被っている人が1人で何やら刃物のようなものを持っている。
とその絵に夢中になってた時、「お待たせいたしました。お茶でございます。」家政婦さんが持ってきてくれた。
「わざわざすみません」
「いえいえお気になさらず。もう少しで、かなえ様が参りますのでお待ちください」そう言って一礼をして、奥に方に消えてしまった。
5分ほど経っただろうか、二階から降りてくる足跡がした。
「あどうも」腰を曲げながら、はっきりした声で言った。さなえさんだ。
「お邪魔しております。」すぐに正行は、頭を下げた。
「腰を悪くしているもんでね、手短にお願いしたいんだけどいいかな」と曲がった腰をさするながら言った。
「承知いたしました。ご協力ありがとうございます。」と言いつつもずっと気になっていたその絵について聞いてみた。
「あの1つ飾られてる絵のことでお聞きしたいことがあるのですがよろしいでしょうか?」
「絵ですか。どうぞ」
「あの絵なのですが」正行は、左手を差し出して見せた。
「あーその絵はね、うちの主人が海外から帰国してきた時に持ち帰ってきたものですよ」
「おーそうでしたか」
「確か作品名はテュルプ博士の解剖学講義とか言ったかな」
「なるほど」
「うちの主人元々解剖学者で海外で研究していたもんでね」
「あ、お医者様だったんですね」
ゆっくりとさなえは、うなずいた。
「失礼ですがご主人は今どこに?」
「主人は、病院にいると思いますよ。共栄病院の院長ですから。」
「おーあの共栄病院の院長さんですか。それは、大変ご立派な。私の子供も、小児喘息で共栄病院にお世話になった時期があったんですよ」と感心するように言った。
「あー本当に、喘息とは、大変だったでしょう」
「いえいえ、お陰様で完治しましたので」そう言って正行は、その院長について質問した。
「院長様のお名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?」
「相原博です。」即座に答えた。
「家には戻られているんですか?」
「いやそれが最近はなんか研究で忙しいとか言って1週間に1、2回しか顔を出さないんですよ」
「きっとよっぽど大変な研究をなさっているんでしょうね」
「えぇそうでしょうね」うつむいたままかなえは、相づちを打った。
「すいません話が飛びましたね……では息子さんのお話を…」
ちょうどその時だった。
「ガチャ」玄関の開く音がした。
「ただいま」30代くらいの男の声だろうか……
鈴木と豚骨ラーメンを食べ終えた後、正行は、現在解剖が行われている相原さんの遺族に出向いて詳しい話を聞くことにした。
まず、美里さんに連絡してみたが、精神的に辛く今病院の方にいるという。
まだ事件が起きて1週間も経っておらず、弟の死に目に遭うのは、精神的に相当きつかったのだろう。
そして正行は、つい先日美里さんについでに書いてもらった実家の方の電話番号に連絡してみた。
「えー突然すみません。こちら神奈川県警の松本というものなのですが、美里さんのご実家でよろしいでしょうか?」
「えぇ……私は、美里の親のさなえですがなにか。」80代ぐらいの高齢の女性だろうか、声に年季を感じた。
「実は、亡くなった遼一さんのことでお聞きしたいことがあるのですが、もしよければ今日あたりそちらに出向いてもよろしいでしょうか?」
「はー別によろしいですけど」冷たい声だ。
「てかうちの遼一は、そもそも生きてますけど」声を太くして驚くべきことをいった。
「え」
「いやだから生きてますよ。今日も会ったんだから。」
「あーそうですか。とりあえずお伺いさせていただきますね」
このお婆さんは、認知症なのか、孫の記憶がフラッシュバックしているのかだろうと正行は推測した。
「一応お名前とご住所をお聞かせになってもよろしいでしょうか?」
「相原さなえ。住所は、横浜市中区山手町……」
美里が書いたものと同じだ。
「すいません。ありがとうございます。では、伺わさせていただきますのでよろしくお願いします。」
「はい……」心細い声で電話が切れた。
正行は、相原さんの実家に向かった。エスカレーターを登り、アメリカ山公園に着いた。
「ふぅ空気が綺麗だ」
「チィーチィーチィ」メジロの鳴き声がする。自然の豊かなところだ。
正行は、自然と笑顔になった。
公園を通り抜け、相原さんの実家に急いだ。
そこから7、8分ほど歩いただろうか。
相原さんの自宅前に着いた。
2階建ての大きな煉瓦造りの家だ。
玄関前に大型犬の置物があった。
おそらくゴールデン・レトリバーだろう。犬がよほど好きなんだなと思いながら、正行は、インターフォンを鳴らした。
「すいません。先ほど連絡させていただいた神奈川県警の松本と言うものなんですけど」
「どうもご苦労様です。今門を開けますので、お待ちください。」割と若めの女性の声がした。
家政婦と思われる。
しばらくすると、その声主と思われる女性が門を開けにきた。
「お待たせしました。どうぞお入りください。」
「お邪魔します。」と靴を脱ぎ、用意されてあったスリッパを履いた。
「では、こちらのリビングでお待ちくださいませ、今お茶を淹れますので」と「いえいえ、お気になさらずに」と直ぐに言ったが、直ぐにキッチンと思われる方に行ってしまった。
ボーッと壁に貼られている何枚かの絵を見ていると、お花畑や海の波の絵など自然豊かなものが並んでいる。
しかし、一番左端の絵だけ、何か変な印象を受けた。1人の遺体と思われる人に何人もの人が寄り添っている。
帽子を被っている人が1人で何やら刃物のようなものを持っている。
とその絵に夢中になってた時、「お待たせいたしました。お茶でございます。」家政婦さんが持ってきてくれた。
「わざわざすみません」
「いえいえお気になさらず。もう少しで、かなえ様が参りますのでお待ちください」そう言って一礼をして、奥に方に消えてしまった。
5分ほど経っただろうか、二階から降りてくる足跡がした。
「あどうも」腰を曲げながら、はっきりした声で言った。さなえさんだ。
「お邪魔しております。」すぐに正行は、頭を下げた。
「腰を悪くしているもんでね、手短にお願いしたいんだけどいいかな」と曲がった腰をさするながら言った。
「承知いたしました。ご協力ありがとうございます。」と言いつつもずっと気になっていたその絵について聞いてみた。
「あの1つ飾られてる絵のことでお聞きしたいことがあるのですがよろしいでしょうか?」
「絵ですか。どうぞ」
「あの絵なのですが」正行は、左手を差し出して見せた。
「あーその絵はね、うちの主人が海外から帰国してきた時に持ち帰ってきたものですよ」
「おーそうでしたか」
「確か作品名はテュルプ博士の解剖学講義とか言ったかな」
「なるほど」
「うちの主人元々解剖学者で海外で研究していたもんでね」
「あ、お医者様だったんですね」
ゆっくりとさなえは、うなずいた。
「失礼ですがご主人は今どこに?」
「主人は、病院にいると思いますよ。共栄病院の院長ですから。」
「おーあの共栄病院の院長さんですか。それは、大変ご立派な。私の子供も、小児喘息で共栄病院にお世話になった時期があったんですよ」と感心するように言った。
「あー本当に、喘息とは、大変だったでしょう」
「いえいえ、お陰様で完治しましたので」そう言って正行は、その院長について質問した。
「院長様のお名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?」
「相原博です。」即座に答えた。
「家には戻られているんですか?」
「いやそれが最近はなんか研究で忙しいとか言って1週間に1、2回しか顔を出さないんですよ」
「きっとよっぽど大変な研究をなさっているんでしょうね」
「えぇそうでしょうね」うつむいたままかなえは、相づちを打った。
「すいません話が飛びましたね……では息子さんのお話を…」
ちょうどその時だった。
「ガチャ」玄関の開く音がした。
「ただいま」30代くらいの男の声だろうか……
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