言葉より、キスより

深月 翠

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彼女たちの再会(和臣 視点) 5話


コンコン

 控えめなノックに、木崎が応えてドアを開く。蓮太に続いて入ってきたのは、長身の青年だった。整った顔立ちは繊細なラインで描かれた絵画のような完成度で、少しラフにまとめた服装は、四肢のバランスの良さを十二分に引き立たせている。長髪にならないくらいの髪は、やや達樹の髪色に似ていた。

 蓮太の電話で事前の説明がなければ、広告代理店が打ち合わせに連れてきたモデルと勘違いしていただろう。

「兄さん、こちらは八嶋満さん。八嶋製薬の次期後継者だ」

「まだ決定ではありませんよ。今は生薬精製に没頭する、一介の会社員です」

 八嶋と名乗る男はそう謙遜して、その割には強い意思表示をもって俺を見、握手のための右手を差し出した。

「はじめまして。八嶋満です」

「小澤和臣だ。…うちの達樹と、面識がおありのようで」

 来客があるからと、遠慮して部屋の隅で直立していた達樹が、小さく反応した。

 そこに達樹がいると知りながら、全く目線を送らなかったこの男。

 そして幽霊でも見るように固まって、八嶋から目を離せないでいる達樹。

「や…しま、さん?」

 達樹の呼びかけを聞いてから、この男は悠然と彼女の方を向き、微笑みかけた。

「──ベビィT。久しぶりだね。制服がとてもよく似合ってる」

 …ただの知り合いにしては、八嶋の視線は強く、口調には何らかの思惑が含まれていた。

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