スピードマニア

深月 翠

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Vous êtes ...? あなたは、誰?  11話

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担任の先生には、電車で嫌な思いをしたこと。


助けてくれた人にお礼を言ったりして遅刻してしまったこと。


警察の人とも話をしたけど、事態が大きくなりそうで、その場を立ち去ってしまったことを、


人の名前を除いてほとんど正直に話した。


「そうだったんですね。警察からは、先に学校に連絡が入っていましたよ」


先生は『あなたのことだったのね』、と眉を下げて心配してくれた。


「ニトーレの制服を来た女の子だったから、一応知らせておきますとおっしゃってたの。…あなたが怖い思いをした相手の方のことも、念のため連絡先を控えているから、何かあったら知らせて欲しいそうよ」


私はちょっと考えて、このままでは駄目でしょうかと聞いてみた。


「これからは電車でも気をつけますし、あの、やっぱり騒ぎを大きくするみたいなのは…」


先生は、泣き寝入りする必要はないことと、今すぐに何もかも決める必要はないから、まずはあなたが無理をしないようにと言ってくれた。


「それからね、鈴木さん」


先生は最後に、本当に言いづらそうに私を見つめる。


「何ですか?先生」


「…あなたを助けてくれたという青年のことだけれど」


私は目を瞬かせて素直に先生の言葉を待つ。


後ろめたいことなど何もなく、その様子に何故か安心したように息を吐いた先生は、


「あなたのお友達というわけではなさそうね。すこしほっとしたわ」


控えめに吐息してから続けた。


「その青年だけれど、この地域では有名な不良らしいの。それで、警察の方もあなたとの関わりを心配していたわ」


私はきょとんと固まってしまう。私の知ってる『不良』と一成くんとが、全く重ならないからだ。


それからちょっと考えて、先生に質問した。


「一成君は、スリなんですか?」


「 ── スリはしないと思うけれど…」


「一成くんは他民族を襲いますか?」


「 ── 他民族だからといって、襲ったりはしないと思うわ」


私は満足して、一人頷いた。


「一成くんは、私のカバンを引ったくることはなく、暴行もせず、私を助けてくれました。乗せてくれたオートバイも、ヘルメットを着用させて、安全運転でした。連絡先も聞かれてはいませんし、これを理由に金品の要求することは、絶対にありませんよ」


マルセイユの不良は、こんなに優しくはない。パリのチンピラだって、とても危険だ。


胸を張る私に、先生は何かを諦めたように唇をひきつらせた。
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