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逆・恋心編
4月24日(木)
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今日もいつもの午前7時27分発、各駅停車八神行きを待つ。もちろん、先頭車両の一番後ろの扉が止まる場所で。
定刻通りに電車が到着すると、最後に乗って扉のすぐ近くに立つ。
今日も電車は定時に出発した。
彼に想いを伝えたいその気持ちはあるけど、彼を目の前にしてしまうと緊張がその気持ちを押し潰してしまって、結局言えなくなる。彼とここで話せるんだったら、このままでもいいんじゃないかという気持ちさえも出始めている。
早くこんなもやもやとした想いから抜け出したい。でも、それは自分自身でしか変えられなくて。
そんなことを考えていたら、あっという間に鳴瀬駅に到着してしまう。
彼はいつもの場所で待っていてくれている。
扉が開くと、今日はここで降りるお客さんが多かったので、一度降りて、彼の後ろに並んだ。
電車に乗ると、窓を背にして彼と向かい合う形に。彼しか見えなくて、凄くドキドキしてきた。
「あの……大丈夫ですか? こんな体勢になっちゃって」
「き、気にしないでください」
彼の気遣いが嬉しくて。きっと、ニヤニヤしちゃっていると思う。
体勢が崩れないように、今日も彼の着るブレザーの袖を掴む。
「何だか今日は乗ってくるお客さんが多いですね」
「そうですね」
私鉄への乗り換えがある畑町駅ならまだしも、今日はその一つ先にある新淵駅という駅からも、お客さんがたくさん乗ってくる。私のいる方とは反対側の扉から乗ってくるので、自然と彼が押されて私と密着する形に。
「上野辺駅ではこっちの扉が開くので、あとちょっと我慢していてください」
「……私は大丈夫ですよ」
このままがいいから。ずっと彼の側にいたいし。
鳴瀬駅からのドキドキは一度も止まなくて、むしろ激しさを増している。きっと、この鼓動は彼にも伝わってしまっていると思う。
心臓では伝えているのに、それを口で伝えることができないなんて。それがとても悔しかった。
せめても、想いを彼の側に置きたくて、ブレザーの袖を離して、彼の胸のところに手を添えた。
しかし、次の上野辺駅に近づいたときだった。
『緊急停車します』
というアナウンスが流れると、その通りに電車が緊急停車した。
「きゃあっ!」
突然のことに驚いて、私は思わず声をあげてしまい、倒れそうになってしまう。
けれど、倒れることはなかった。彼が左手で私の方を抱き留めてくれたから。
こんなにもギュウギュウ詰めなのに、彼は私のことを必死に守ってくれたんだ。
車内はざわつき始める。何があったんだろうって。
『ただいま、上野辺駅近くの踏切で、非常ボタンが押されたため緊急停車をしました。事態の確認などを行うため、この列車は暫くの間停車します。ご迷惑をおかけして、申し訳ありません』
この状態で止まったままなんだ。どのくらいかかるんだろう。しばらくの間って言っているけれど。
「大丈夫でしたか?」
「ええ、突然のことで怖かったですけど……あなたのおかげで倒れずに済みました。ありがとうございます」
「いえいえ。倒れなくて良かったです」
そう言って、彼は私の肩から手を離した。
「早く運転が再開するといいですね」
彼は苦笑いをしながらそんなことを言う。
「……このまま止まってくれていてもいいのに」
運転再開してくれなくていいよ。このまま彼と一緒にいることができるなら。
「ど、どうして……」
「だって……」
言うなら今だ。直感でそう思った。今じゃないと、またしばらく彼に好きな気持ちを言えないような気がする。
私は彼のことをぎゅっと抱きしめる。
「あなたのことが好きだから。離れたくないから」
私の返事をやっと彼に伝えることができた。好きだという想い。ずっと一緒にいたいという想いを……やっと。
「あっ、えっと……」
さすがに、このタイミングで告白されるとは思っていなかったようで、普段は落ち着いている彼がかなり動揺しているようだった。
彼のためにも何か話さないと。
そんなとき、私は彼のことを「彼」という人でしか考えていなかったことに気付いた。とても大切なことを私はまだ知らなかった。
「……名前、まだ言っていなかったですよね。日高栞です」
「僕は……新倉悠介です。高校1年生です」
新倉悠介君……か。素敵なお名前。
「……私と同い年ですね。じゃあ、敬語で話すのもおかしい……かな。えっと……ゆ、悠介君」
「そう……だね。栞」
「あうっ」
敬語じゃない悠介君の言葉もそうだけれど、しかも下の名前で呼び捨てで言われるとキュンとくる。
「悠介君に名前で呼ばれると、キュン……ってなっちゃうな」
「……僕も」
何だか、互いの名前を呼び合うだけで、距離がかなり縮まった気がする。やっぱり、名前で呼び合えるっていうのはいいな。2人きりの世界にいる感じで。
でも、現実はそうじゃない……と思ったけれど、緊急停車によるざわめきと、近くの人は運良く、私達の方を向いている人は全然いなかった。だから、十分に2人きりの空間と言える状況になっていた。
「……ええと。さっき言っていたことなんだけど、あれが僕からの告白の返事でいいの?」
悠介君からの質問に対して、私はもちろん頷いた。
「そっか。分かった」
ついに、私達の想いが重なり、知り合えたんだ。本当に嬉しい。まさか、一目惚れした人と恋人という関係になれるなんて。
「悠介君はいつから私のことが好きになったの?」
「……最初に君を見てから。俗に言う一目惚れ、かな」。
「私と同じ。私も……最初に悠介君のことを見たときにはもう気になってた」
「そうだったんだ……」
驚いた。悠介君、最初の頃は全然、私のことが気になっているようには見えなかったから。
「2週間前くらいに、私が後ろから悠介君の方に押されたことがあったよね。あのとき、実は嬉しかったんだ。ハプニングだったけど、悠介君とくっつくことができて。それに、悠介君が声をかけてくれて。そのときに、悠介君が優しい人だって分かったの」
でも、初めて出会ったときから優しそうな人だとは思っていたけど。ただ、あの一件があって、悠介君の優しさに触れてより一層好きになった。
「話しかけようと思っても、なかなか話しかけることができなくて。そうしたら、悠介君の方から話しかけてくれて。凄く嬉しかった」
「そのときには、いずれは告白しようって決めていたんだ。そのときって、僕が栞のことが気になっていることに気付いていたの?」
「ううん、全く。いつも一緒に乗るから話しかけてくれたのかなって」
「そっか」
「私も悠介君に告白しようって思っていたけれど、満員電車の中でしか会えないから……どうすればいいのか分からなかった。それ以前に、いざとなると告白する勇気がなかなか出てこなくて」
今日もこの緊急停車がなければ、きっと、何も言えないまま鏡原駅で電車を降りていたと思う。そんな日々の繰り返しが続いていたと思う。
「悩んでいたら、先週の金曜日に悠介君が告白の手紙をくれて。凄く嬉しくて、学校でもずっとニヤついていたと思う」
「じゃあ、月曜日にここに乗っていなかったのは……」
「どんな顔をして会えばいいのか分からなかったから、とりあえず別の車両に」
「そのとき、栞が乗ってなかったから振られたと思ったんだよ」
「ご、ごめんなさい。ご迷惑をおかけして……」
「いいんだ」
すると、悠介君は優しく、そして強く私のことを抱きしめてくれる。
「栞とこうして向き合うことができたんだから。それだけでも嬉しいし、栞と同じ気持ちだってことがなおさら嬉しいんだ」
「……あの手紙が私の気持ちを伝えるチャンスをくれた。だから、好きだっていう気持ちを直接口で伝えたかった。なかなか言えなくてごめんね」
「謝る必要なんてない。全くないから」
そんな言葉が本当であると教えてくれるかのように、悠介君はさらに私を強く抱きしめてくれた。本当に彼は優しい人。信じて良かった。
「……栞」
「……はい」
「僕は栞のことが好きだ。だから、僕と付き合ってください」
彼からの告白はこれで2回目だった。でも、口で言われるのは初めて。だからこそ、今までの中で一番嬉しい気持ちになって。
「はい。よろしくお願いします」
その返事をすることに迷いなんて一切なかった。これがずっと私の願っていたことだったんだから。
私達は強く抱きしめ合った。これからはこうした喜びは彼と一緒に分かち合えるんだ。本当に、本当に嬉しい。
それから程なくして、電車は運転を再開した。それはまるで、悠介君と私の物語が始まったように。終わりのない旅の、はじまり。
*****
僕らが付き合い出すまでの物語を栞から聞いて、栞は栞で色々なことを考えながらあの日々を過ごしていたことを知った。
栞が一目惚れだったことは知っていたけど、まさかそんなにも僕のことを想っていたなんて。人は見えていることだけが全てじゃないと思った。
「何だか、付き合い出すまでのことを話すと今でも照れちゃうな」
「そっか。電車の中で色々なことがあったけれど、本当に僕を意識していたんだね」
僕の見ているところでは、平然としていたように見えたことが多かったからな。だから、今の栞の話を聞いて驚くことがいくつもあった。
「当たり前だよ。だって、出会った日に一目惚れしたんだもん」
「……そうだよね」
考えてみれば、栞と僕は似た者同士なのかも。意識はしているけれど、相手のいる前では変に思われないように平静を保とうとするところとか。
「今の話を聞いて、栞のことがもっと好きになったな」
「……ありがとう」
すると、栞は僕にそっとキスをしてきた。
「ずっと側にいてください。悠介君」
「……もちろん」
今度は僕の方からキスをする。
きっと、僕らはどんなことがあってもずっと一緒にいられるさ。出会ったときに抱いた好きだという純粋な気持ちを持っていれば。もし、無くしてしまったとしても、また探して手に入れられれば。きっと大丈夫。
栞の嬉しそうな顔を見て、僕は温かな気持ちに包まれる。栞も同じように温かい気持ちに包まれていれば、これ以上に嬉しいことはないのであった。
逆・恋心編 おわり
定刻通りに電車が到着すると、最後に乗って扉のすぐ近くに立つ。
今日も電車は定時に出発した。
彼に想いを伝えたいその気持ちはあるけど、彼を目の前にしてしまうと緊張がその気持ちを押し潰してしまって、結局言えなくなる。彼とここで話せるんだったら、このままでもいいんじゃないかという気持ちさえも出始めている。
早くこんなもやもやとした想いから抜け出したい。でも、それは自分自身でしか変えられなくて。
そんなことを考えていたら、あっという間に鳴瀬駅に到着してしまう。
彼はいつもの場所で待っていてくれている。
扉が開くと、今日はここで降りるお客さんが多かったので、一度降りて、彼の後ろに並んだ。
電車に乗ると、窓を背にして彼と向かい合う形に。彼しか見えなくて、凄くドキドキしてきた。
「あの……大丈夫ですか? こんな体勢になっちゃって」
「き、気にしないでください」
彼の気遣いが嬉しくて。きっと、ニヤニヤしちゃっていると思う。
体勢が崩れないように、今日も彼の着るブレザーの袖を掴む。
「何だか今日は乗ってくるお客さんが多いですね」
「そうですね」
私鉄への乗り換えがある畑町駅ならまだしも、今日はその一つ先にある新淵駅という駅からも、お客さんがたくさん乗ってくる。私のいる方とは反対側の扉から乗ってくるので、自然と彼が押されて私と密着する形に。
「上野辺駅ではこっちの扉が開くので、あとちょっと我慢していてください」
「……私は大丈夫ですよ」
このままがいいから。ずっと彼の側にいたいし。
鳴瀬駅からのドキドキは一度も止まなくて、むしろ激しさを増している。きっと、この鼓動は彼にも伝わってしまっていると思う。
心臓では伝えているのに、それを口で伝えることができないなんて。それがとても悔しかった。
せめても、想いを彼の側に置きたくて、ブレザーの袖を離して、彼の胸のところに手を添えた。
しかし、次の上野辺駅に近づいたときだった。
『緊急停車します』
というアナウンスが流れると、その通りに電車が緊急停車した。
「きゃあっ!」
突然のことに驚いて、私は思わず声をあげてしまい、倒れそうになってしまう。
けれど、倒れることはなかった。彼が左手で私の方を抱き留めてくれたから。
こんなにもギュウギュウ詰めなのに、彼は私のことを必死に守ってくれたんだ。
車内はざわつき始める。何があったんだろうって。
『ただいま、上野辺駅近くの踏切で、非常ボタンが押されたため緊急停車をしました。事態の確認などを行うため、この列車は暫くの間停車します。ご迷惑をおかけして、申し訳ありません』
この状態で止まったままなんだ。どのくらいかかるんだろう。しばらくの間って言っているけれど。
「大丈夫でしたか?」
「ええ、突然のことで怖かったですけど……あなたのおかげで倒れずに済みました。ありがとうございます」
「いえいえ。倒れなくて良かったです」
そう言って、彼は私の肩から手を離した。
「早く運転が再開するといいですね」
彼は苦笑いをしながらそんなことを言う。
「……このまま止まってくれていてもいいのに」
運転再開してくれなくていいよ。このまま彼と一緒にいることができるなら。
「ど、どうして……」
「だって……」
言うなら今だ。直感でそう思った。今じゃないと、またしばらく彼に好きな気持ちを言えないような気がする。
私は彼のことをぎゅっと抱きしめる。
「あなたのことが好きだから。離れたくないから」
私の返事をやっと彼に伝えることができた。好きだという想い。ずっと一緒にいたいという想いを……やっと。
「あっ、えっと……」
さすがに、このタイミングで告白されるとは思っていなかったようで、普段は落ち着いている彼がかなり動揺しているようだった。
彼のためにも何か話さないと。
そんなとき、私は彼のことを「彼」という人でしか考えていなかったことに気付いた。とても大切なことを私はまだ知らなかった。
「……名前、まだ言っていなかったですよね。日高栞です」
「僕は……新倉悠介です。高校1年生です」
新倉悠介君……か。素敵なお名前。
「……私と同い年ですね。じゃあ、敬語で話すのもおかしい……かな。えっと……ゆ、悠介君」
「そう……だね。栞」
「あうっ」
敬語じゃない悠介君の言葉もそうだけれど、しかも下の名前で呼び捨てで言われるとキュンとくる。
「悠介君に名前で呼ばれると、キュン……ってなっちゃうな」
「……僕も」
何だか、互いの名前を呼び合うだけで、距離がかなり縮まった気がする。やっぱり、名前で呼び合えるっていうのはいいな。2人きりの世界にいる感じで。
でも、現実はそうじゃない……と思ったけれど、緊急停車によるざわめきと、近くの人は運良く、私達の方を向いている人は全然いなかった。だから、十分に2人きりの空間と言える状況になっていた。
「……ええと。さっき言っていたことなんだけど、あれが僕からの告白の返事でいいの?」
悠介君からの質問に対して、私はもちろん頷いた。
「そっか。分かった」
ついに、私達の想いが重なり、知り合えたんだ。本当に嬉しい。まさか、一目惚れした人と恋人という関係になれるなんて。
「悠介君はいつから私のことが好きになったの?」
「……最初に君を見てから。俗に言う一目惚れ、かな」。
「私と同じ。私も……最初に悠介君のことを見たときにはもう気になってた」
「そうだったんだ……」
驚いた。悠介君、最初の頃は全然、私のことが気になっているようには見えなかったから。
「2週間前くらいに、私が後ろから悠介君の方に押されたことがあったよね。あのとき、実は嬉しかったんだ。ハプニングだったけど、悠介君とくっつくことができて。それに、悠介君が声をかけてくれて。そのときに、悠介君が優しい人だって分かったの」
でも、初めて出会ったときから優しそうな人だとは思っていたけど。ただ、あの一件があって、悠介君の優しさに触れてより一層好きになった。
「話しかけようと思っても、なかなか話しかけることができなくて。そうしたら、悠介君の方から話しかけてくれて。凄く嬉しかった」
「そのときには、いずれは告白しようって決めていたんだ。そのときって、僕が栞のことが気になっていることに気付いていたの?」
「ううん、全く。いつも一緒に乗るから話しかけてくれたのかなって」
「そっか」
「私も悠介君に告白しようって思っていたけれど、満員電車の中でしか会えないから……どうすればいいのか分からなかった。それ以前に、いざとなると告白する勇気がなかなか出てこなくて」
今日もこの緊急停車がなければ、きっと、何も言えないまま鏡原駅で電車を降りていたと思う。そんな日々の繰り返しが続いていたと思う。
「悩んでいたら、先週の金曜日に悠介君が告白の手紙をくれて。凄く嬉しくて、学校でもずっとニヤついていたと思う」
「じゃあ、月曜日にここに乗っていなかったのは……」
「どんな顔をして会えばいいのか分からなかったから、とりあえず別の車両に」
「そのとき、栞が乗ってなかったから振られたと思ったんだよ」
「ご、ごめんなさい。ご迷惑をおかけして……」
「いいんだ」
すると、悠介君は優しく、そして強く私のことを抱きしめてくれる。
「栞とこうして向き合うことができたんだから。それだけでも嬉しいし、栞と同じ気持ちだってことがなおさら嬉しいんだ」
「……あの手紙が私の気持ちを伝えるチャンスをくれた。だから、好きだっていう気持ちを直接口で伝えたかった。なかなか言えなくてごめんね」
「謝る必要なんてない。全くないから」
そんな言葉が本当であると教えてくれるかのように、悠介君はさらに私を強く抱きしめてくれた。本当に彼は優しい人。信じて良かった。
「……栞」
「……はい」
「僕は栞のことが好きだ。だから、僕と付き合ってください」
彼からの告白はこれで2回目だった。でも、口で言われるのは初めて。だからこそ、今までの中で一番嬉しい気持ちになって。
「はい。よろしくお願いします」
その返事をすることに迷いなんて一切なかった。これがずっと私の願っていたことだったんだから。
私達は強く抱きしめ合った。これからはこうした喜びは彼と一緒に分かち合えるんだ。本当に、本当に嬉しい。
それから程なくして、電車は運転を再開した。それはまるで、悠介君と私の物語が始まったように。終わりのない旅の、はじまり。
*****
僕らが付き合い出すまでの物語を栞から聞いて、栞は栞で色々なことを考えながらあの日々を過ごしていたことを知った。
栞が一目惚れだったことは知っていたけど、まさかそんなにも僕のことを想っていたなんて。人は見えていることだけが全てじゃないと思った。
「何だか、付き合い出すまでのことを話すと今でも照れちゃうな」
「そっか。電車の中で色々なことがあったけれど、本当に僕を意識していたんだね」
僕の見ているところでは、平然としていたように見えたことが多かったからな。だから、今の栞の話を聞いて驚くことがいくつもあった。
「当たり前だよ。だって、出会った日に一目惚れしたんだもん」
「……そうだよね」
考えてみれば、栞と僕は似た者同士なのかも。意識はしているけれど、相手のいる前では変に思われないように平静を保とうとするところとか。
「今の話を聞いて、栞のことがもっと好きになったな」
「……ありがとう」
すると、栞は僕にそっとキスをしてきた。
「ずっと側にいてください。悠介君」
「……もちろん」
今度は僕の方からキスをする。
きっと、僕らはどんなことがあってもずっと一緒にいられるさ。出会ったときに抱いた好きだという純粋な気持ちを持っていれば。もし、無くしてしまったとしても、また探して手に入れられれば。きっと大丈夫。
栞の嬉しそうな顔を見て、僕は温かな気持ちに包まれる。栞も同じように温かい気持ちに包まれていれば、これ以上に嬉しいことはないのであった。
逆・恋心編 おわり
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