異星人王女とのまったりラブライフ

桜庭かなめ

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第7話『休日の過ごし方』

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 美味しい朝ご飯はもちろん完食した。
 シンクなどの使い方の勉強を兼ねて、エリカさんに後片付けをしてもらった。
 あと、衣服や下着の洗濯についてどうしようか迷ったけれど、エリカさんが俺の服ならむしろ一緒に洗ってほしいと言われたので、その言葉通りにする。
 お屋敷では洗浄魔法が使える使用人の方に任せていたそうで、洗濯機を使うのはこれが初めてとのこと。洗濯機の使い方や、注意すべき点を教えながら洗濯を行なった。

「エリカさん。食器の後片付けや洗濯、ありがとうございます。食後のコーヒーを淹れようと思うのですが、エリカさんはコーヒーって飲んだことはありますか?」
「コーヒーは知ってる。とても苦い飲み物だよね。ダイマ王星で似たようなものがあって、仕事中や休憩に飲むの。ただ、甘くしたりしないと飲めないな」
「分かりました。今からコーヒーを淹れますね。ソファーでゆっくりしていてください」
「うん、ありがとう」

 コーヒーはダイマ王星で知られているのか。
 2人分の温かいコーヒーを淹れ、エリカさんのためにスティックシュガーも一緒に持って行く。

「エリカさん、コーヒーです。これに砂糖という甘味料が入っていますので、お好みの甘さにしてください」
「ありがとう。とりあえず、1本分入れてみようっと」

 エリカさんはスティックシュガーを1本入れて、コーヒーを一口飲む。

「……うん。苦味があるけれど、甘味もあって美味しい」
「良かったです。俺も仕事中や休憩しているときにコーヒーを飲みます。特に疲れているときは、砂糖やミルクがたくさん入っているものを飲みますね」
「そうなんだ。どこの星でも飲み物事情はあまり変わらないのかも」

 飲み物事情って言葉は初めて聞いたな。
 俺は砂糖を入れずにブラックの状態で一口飲む。うん、結構苦いな。ただ、個人的にはこのくらい苦い方が好きだ。

「宏斗さんは砂糖入れないんだね」
「ええ。苦味の強いコーヒーが好きなので」
「……飲んでみてもいい?」
「いいですけど、苦いですよ」
「分かってる。でも、一口挑戦してみたいの。あと、コーヒーについても報告したいから」
「分かりました。では、どうぞ」

 任務のためとはいえ苦手なものに挑戦するとは。今回はコーヒーを一口飲むだけだからまだしも、あまり無理はしないでほしいな。エリカさんのことをちゃんと見ていないと。
 エリカさんは俺のコーヒーを一口飲む。

「に、苦い……」

 何とも言えない表情を浮かべ、コーヒーカップを俺の前に戻した。さすがにブラックはキツかったか。

「宏斗さんは凄いよ。私よりもずっと若い27歳なのに、こんなに苦いものを普通に飲むことができるなんて……」
「俺も最初は砂糖やミルクが入っていないと飲めませんでしたよ。苦味に慣れていくうちに、ブラックコーヒーの方が好きになっていきました」
「そっかぁ。私は110歳になった今も苦いものは苦手だから、この先死ぬまでずっと味の好みは変わらないかも」

 エリカさんの場合、死ぬまで数百年くらいあるけれど。ただ、好みの問題だから、そのくらいの時間が経っても変わらないかも。
 まさか、異星人の女性とコーヒーの話題で盛り上がるときが来るとは。人生、何が起こるか分からないなと思う。

「あの、宏斗さん。今日はお仕事は休み?」
「そうですね。今日は土曜日なのでお休みです。俺が勤めている会社は月曜日から金曜日まで働いて、土曜日と日曜日、祝日は休日です。基本的には5日働いたら2日休むという感じですね。その他にも色々と休暇の制度が設けられています」
「そうだったんだ。ダイマ王星も、定期的に休みを入れるよう法律で定められているの。勤務場所にもよるけれど、色々なお休みの制度は設けられてる」
「労働とお休みの規定はダイマ王星でもしっかりと定められているんですね」
「もちろん。十分な賃金と休暇があってこそ、各々の仕事がしっかりとできるからね。ただ働かせるだけだと、いつかは絶対に崩れるから」
「その言葉、特に日本の企業の上層部や官公庁の方々に聞かせてあげたいです」

 今のエリカさんの話を聞いたら、地球支部を作って、ダイマ星人の方々に地球の労働について是正してほしい気持ちになってきた。
 俺も部下を持つ立場になったので、残業ゼロが当たり前になるように動いている。それもあってか、今のところは夜遅くまで残業する状況にはなっていない。サービス残業なんて愚の骨頂だよ、まったく。前に俺がいた部署でそうなりかけたけど、それを阻止して残業代は払ってもらった。

「宏斗さん、目が恐い」
「すみません。以前の上司のことを思い出したら腹が立ちまして」

 ただ、あの上司はクビになって、今後、仕事で俺と関わることはおそらくないだろう。もう過去の人間だ。

「ところで、エリカさんは休日にはどんな風に過ごすんですか?」
「家でゆっくりすることの方が多いね。ダイマ王星にもテレビジョンのようなものがあってお笑いやドラマを観たり、小説を読んだりもするよ」
「そうなんですか。俺も家でテレビを観たり、本を読んだり、音楽を聴いたりするのが好きですね。あと、ダイマ王星の小説にはどんなものがあるか気になります」
「地球のようにジャンルは恋愛、歴史、推理、ファンタジーとか色々とあるよ。私はその中でも恋愛小説や推理小説が好きかな」
「恋愛小説は想像ができそうですけど、魔法が使えるダイマ星人の方が書く推理小説がどんな感じなのか想像できないです」
「地球の推理小説のように刃物や鈍器などで殺す小説もあれば、移動魔法で宇宙空間まで動かして窒息死させたり、爆発魔法で体を爆発させて失血死させたりと魔法で殺害する小説もたくさんあるね」
「い、色々とあるんですね」

 魔法を使った殺人事件の小説もあるとは。さすがに、地球人の俺はそんな推理小説に出会ったことがない。

「あと、リサや2人の姉とはお買い物や食事、映画に行ったりするかな」
「外でリフレッシュすることもあるんですね。王族の方ですから、外出するときって護衛の方はいるんですか?」
「小さい頃はそういう人がいたけれど、成人を迎えてからはそういうこともなくなったな。私はテレパシー魔法やテレポート魔法が使えるからね。もちろん、家の者に行き先やおおよその帰宅時間を伝えるようにしているけど」
「へえ、意外ですね。家の中ならまだしも、安全上、外出するときは常に誰か護衛の方が側にいるというイメージがありました」
「なるほどね」

 あははっ、とエリカさんは楽しそうに笑う。まあ、そうじゃなかったらエリカさんを1人で地球には行かせないか。

「ただ、今はこうして宏斗さんと一緒に過ごしたいな」

 そう言って、エリカさんは俺の腕をぎゅっと抱きしめてきた。嬉しそうな笑みを浮かべ、しっぽをフリフリさせて。猫みたいで可愛いなと思い、彼女の耳を触る。

「宏斗さんは私の耳が好きなんだね」
「そうですね。ご存知かもしれませんが、地球には猫という動物がいて、実家で何匹も飼っているんです。それが可愛くて。猫の耳とエリカさんの耳が似ているんです」
「猫は知っているよ。地球で人気だよね。確かに、私達ダイマ星人の耳と似てるね」
「俺の実家で飼っている猫の写真を見せますから、ちょっと待ってくださいね」

 さすがに猫ほどの動物はダイマ星人にも知られているか。俺はスマートフォンで実家に飼っている猫の画像を表示させて、エリカさんに見せる。

「そうそう、この動物! 可愛い!」
「可愛いですよね。黒猫、白猫、茶トラ、黒白のハチ割れ猫の4匹を飼っているんです」
「そうなんだ。可愛いなぁ。あと、この猫を撫でたり、抱きしめていたりしている女性達は? 見たところ耳がないから地球人みたいだけれど。まさか、元カノ?」
「違います。それに、今まで恋人がいたことは一度もないですよ。彼女達は俺の妹です。ロングヘアの方が大学生の妹の美夢みゆで、セミロングでキリッとしている方が高校生の妹の有希ゆきといいます」
「なるほど、妹さんかぁ。可愛いね。私は弟はいるけど、妹はいないんだよね」

 じゃあ、姉妹の中では末っ子になるのか。きっと、2人のお姉さんはエリカさんに似て綺麗な方達なんだろうな。

「兄がいることに憧れたときもあるんだ。じゃあ、宏斗さんのことをお兄ちゃんって呼んでみてもいい?」
「もちろんです」
「……宏斗お兄ちゃん」

 にっこりと笑みを浮かべながらエリカさんにそう言われる。とても可愛くてほっこりとした気分になるな。思わずエリカさんの頭をたくさん撫でてしまう。
 あと、お兄ちゃんと呼ばれると実家にいるような気分になる。ゴールデンウィークに実家に帰ったとき、美夢や有希は学校生活が楽しいと言っていたけれど、今も楽しんでいるかな。もうすぐ2人は夏休みだから、そのときにエリカさんと会わせようかな。

「お兄ちゃんっていうの、意外といいかも。一番なりたいのは宏斗さんの妻だけれど」
「エリカさんならそう言うと思ってました」
「ふふっ。あぁ、この猫ちゃん達に触ってみたいなぁ」
「実家はここから遠いですけど、歩いて10分くらいのところに、猫カフェという猫との触れ合いを楽しむことのできるお店があるんです。午後に食材を買いに行こうかなと思っていたので、その前に行ってみますか?」
「行ってみたい!」
「じゃあ、お昼ご飯を食べたら、猫カフェに行ってみましょう」
「うん!」

 エリカさん、とてもワクワクしているな。あと、エリカさんは興奮したり、楽しいときはしっぽを激しく振るのかな。
 ただ、猫のような耳としっぽが生えているエリカさんが行ったら、カフェにいる猫はどんな反応をするだろう。とても人気になりそうな気もするし、一切近づかない可能性もあり得る。
 とりあえず、午前中は昨晩録画したドラマやアニメをエリカさんと一緒に観ることに。
 ドラマを観るのが趣味と言っていただけあって、エリカさんはとても楽しんでいたのであった。
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