向日葵と隣同士で咲き誇る。~ツンツンしているクラスメイトの美少女が、可愛い笑顔を僕に見せてくれることが段々と多くなっていく件~

桜庭かなめ

文字の大きさ
41 / 41
アフターショートストーリー

『黒いあいつ』

しおりを挟む
アフターショートストーリー



 僕・加瀬桔梗かせききょうは、今日の放課後にクラスメイトの女子・宝来向日葵ほうらいひまわりに告白。見事に成功し、彼女と恋人として付き合うことになった。
 向日葵の家に来て、彼女の部屋で2人きりでゆっくり過ごしている。向日葵とファーストキスをすることもできたし、告白が成功してから幸せな気持ちが続いている。
 今はベッドに寄り掛かり、向日葵と寄り添い合っている。この体勢になってから、向日葵とはあまり言葉を交わすことなくのんびりと。それでも、隣同士にいることに幸せを感じる。
 向日葵は僕と手を重ねて、左肩に頭を乗せている。彼女の温もりとエアコンの涼しい風が気持ちいい。
 寄り添う向日葵を見ていると、向日葵はチラッとこちらを見てくる。そのことで目が合い、向日葵はニッコリ笑った。

「大好きな恋人と寄り添うのっていいね。幸せな気持ちになれる」
「僕もだよ」
「良かった。あと、あまり話さなくても、桔梗の側にいるだけでいいなって思えるの。それは学校で隣同士に座っているときにも思ってる。きっと、それだけ桔梗のことが好きなんだろうね」
「その気持ち分かるよ。話すのはもちろん楽しいけど、向日葵が近くにいるだけでいいって思えるんだよね。今みたいに、向日葵の温もりとか匂いを感じられるとより幸せで。ずっとこのままの体勢でも幸せでいられそうな気がする」
「……あたしも」

 そう言うと、向日葵は幸せそうな笑みを浮かべて、僕にキスをしてくる。唇から感じる温もりや柔らかさは特別な気がした。
 やがて、向日葵の方から唇を離す。うっとりとしている彼女の顔は艶やかさが感じられて。そのことにドキッとして、体が熱くなっていく。
 再び向日葵は僕の左肩に頭を乗せる。あぁ、本当に幸せだ。このまま平和でゆったりとした時間を過ごしたい――。

「ひょあああっ!」

 突如、向日葵の個性的な絶叫が聞こえてきたのだ。左の耳元で絶叫されたから左耳がちょっと痛い。あと、「ひょあああっ!」なんていう叫び声を聞いたのは初めてだな。

「ど、どうした向日葵」

 向日葵の方を見ると、向日葵は青ざめた顔に。

「あ、あそこに……く、黒いあいつが……」

 震えた声でそう言うと、向日葵はテーブルの方に指さす。
 テーブルに顔を向けると、テーブルの上に向日葵の言う「黒いあいつ」……一般名称ではゴキブリと呼ばれる虫がいたのだ。黒光りした体はなかなか立派。チョコクッキーのあるお皿の近くにいる。

「ゴキブリか。クッキーの甘い匂いに誘われたのかな」
「き、きっとそうね。あたし、夏は基本的に好きだけど、ゴキブリが出やすくなるのは嫌なの。夜、お手洗いに行って電気を点けたときに見つけたら、ホラー映画や遊園地のお化け屋敷以上に怖いんだから! たまに飛んでくるし」
「そうなんだね」

 どうやら、向日葵はゴキブリが大の苦手のようだ。ゴキブリは飛ぶからなぁ。これから本格的に暑くなり、ゴキブリなど虫が出やすくなる季節。嫌いな虫がある人にとっては悩ましい季節とも言えそうだ。
 目の前にゴキブリがいるからか、向日葵の両目には涙が浮かぶ。

「き、桔梗ってゴキブリって平気?」
「平気だよ。さっきの話みたいに、夜に照明を点けたときに見つけたらちょっと驚いちゃうけどね」
「そ、そうなのね。あたしはゴキブリ大嫌い! だから、あのゴキブリを潰すなり逃がすなりして退治して! ティッシュは勉強机の上にあるから!」
「了解」

 僕はゆっくりと立ち上がり、勉強机にあるティッシュを1枚取る。それを右手にセットして、ゴキブリのいるテーブルにそっと近づく。

「それっ」

 ゴキブリをティッシュ越しに掴むことができた。そのまま窓の方に移動し、窓からゴキブリを逃がす。その瞬間、「おおっ」と向日葵の感嘆の声と、パチパチと音が聞こえてきた。向日葵の方を向くと、明るい表情の向日葵が僕に向かって拍手を送っていた。

「桔梗凄いわ! こんなにも鮮やかに退治できるなんて」
撫子なでしこもゴキブリが苦手だからさ。毎年、夏になると家の中にいるゴキブリ退治をするのが習慣なんだ」
「そうなのね。だから、こんなにも早くゴキブリ退治ができるんだね。うちはお姉ちゃんと2人で退治することが多いわ。お父さんはゴキブリは平気なんだけど、歳だからか動きが遅くて、逃げられちゃうこともあるの」
「なるほどね」

 ゴキブリは動きが素早いからな。うちも父親が捕まえようとすると逃げられることがある。
 うちは僕か、飼っている猫のかぐやがゴキブリを捕まえることが多い。ただし、かぐやが捕まえたときは、おみやげのつもりなのか撫子のところに持って行ってしまうことがある。いつもはかぐやを可愛がっている撫子も、そのときはさすがに怒る。
 ゴキブリを捕まえたティッシュをゴミ箱に捨て、僕は再びクッションに座る。

「今の頼りがいのある姿を見たら、桔梗とより結婚したくなったよ。これからもずっと、あたしのことを虫から守ってね」
「なかなか個性的なプロポーズだと思うけど……分かったよ」
「ありがとう!」

 とても嬉しそうにお礼を言うと、向日葵は僕のことを抱き寄せてくる。そのことで顔が向日葵の胸に埋もれる形となってしまう。

「ひ、向日葵さん。顔が胸に当たってしまっているのですが」
「いいんだよ。桔梗は恋人なんだし。それに、さっきはあたしが桔梗の胸に顔を埋めたからそのお返し。……嫌なら止めるけど」
「いいえ全くそんなことありません」
「食い気味に言ったね」
「……凄くいい感じなので」

 豊満な胸だから感触が柔らかい。あと、汗がちょっと混じった向日葵の甘い匂いでドキドキする。彼女の温もりが心地よく感じられて。向日葵もドキドキしているのか、トクントクンと向日葵から鼓動が伝わってくる。
 すると、頭には優しくて温かい感触が。向日葵が頭を撫でてくれているのだろうか。

「そう言ってくれて嬉しいよ。……こういうことをする男の人は桔梗だけなんだからね。恋人の特権だよ。もちろん、元カレにもこんなことしてないから」
「そうか。僕だけなんだ。嬉しいな」
「ふふっ。胸に顔を埋められるのっていいね。もうちょっとこのままでもいい?」
「……喜んで」

 僕は向日葵の背中の方へ両手を回した。
 向日葵にとってゴキブリは大嫌いな存在。ただ、ゴキブリが部屋に出てくれたおかげで、僕はこうして向日葵の顔に顔を埋められている。今回はゴキブリに感謝しようかなと思うのであった。



アフターショートストーリー おわり
しおりを挟む
感想 1

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(1件)

299
2021.09.25 299

男主人公のタグ検索で出会いました。
最後まで気持ち良く拝見いたしました。
欲を言えばもう少しアフターストーリーを読んでみたかった。
これから作者様の別作品を読んでいきますね♪

2021.09.25 桜庭かなめ

オクトモアさん

桜庭です。
読んでいただきありがとうございます。
タグ検索で本作品を見つけてくださり、そして、楽しんでいただけたことを嬉しく思います。
付き合ったところで終わっていますし、アフターストーリーは「ショート」と章タイトルにつけているので、サクッと読めるボリュームですもんね。
他の作品も楽しんでもらえたら嬉しいです。
感想ありがとうございました。

解除

あなたにおすすめの小説

陰キャの俺が学園のアイドルがびしょびしょに濡れているのを見てしまった件

暁ノ鳥
キャラ文芸
陰キャの俺は見てしまった。雨の日、校舎裏で制服を濡らし恍惚とする学園アイドルの姿を。「見ちゃったのね」――その日から俺は彼女の“秘密の共犯者”に!? 特殊な性癖を持つ彼女の無茶な「実験」に振り回され、身も心も支配される日々の始まり。二人の禁断の関係の行方は?。二人の禁断の関係が今、始まる!

イケボすぎる兄が、『義妹の中の人』をやったらバズった件について

のびすけ。
恋愛
春から一人暮らしを始めた大学一年生、天城コウは――ただの一般人だった。 だが、再会した義妹・ひよりのひと言で、そんな日常は吹き飛ぶ。 「お兄ちゃんにしか頼めないの、私の“中の人”になって!」 ひよりはフォロワー20万人超えの人気Vtuber《ひよこまる♪》。 だが突然の喉の不調で、配信ができなくなったらしい。 その代役に選ばれたのが、イケボだけが取り柄のコウ――つまり俺!? 仕方なく始めた“妹の中の人”としての活動だったが、 「え、ひよこまるの声、なんか色っぽくない!?」 「中の人、彼氏か?」 視聴者の反応は想定外。まさかのバズり現象が発生!? しかも、ひよりはそのまま「兄妹ユニット結成♡」を言い出して―― 同居、配信、秘密の関係……って、これほぼ恋人同棲じゃん!? 「お兄ちゃんの声、独り占めしたいのに……他の女と絡まないでよっ!」 代役から始まる、妹と秘密の“中の人”Vライフ×甘々ハーレムラブコメ、ここに開幕!

陰キャ幼馴染に振られた負けヒロインは俺がいる限り絶対に勝つ!

みずがめ
恋愛
★講談社ラノベ文庫新人賞佳作を受賞しました!  杉藤千夏はツンデレ少女である。  そんな彼女は誤解から好意を抱いていた幼馴染に軽蔑されてしまう。その場面を偶然目撃した佐野将隆は絶好のチャンスだと立ち上がった。  千夏に好意を寄せていた将隆だったが、彼女には生まれた頃から幼馴染の男子がいた。半ば諦めていたのに突然転がり込んできた好機。それを逃すことなく、将隆は千夏の弱った心に容赦なくつけ込んでいくのであった。  徐々に解されていく千夏の心。いつしか彼女は将隆なしではいられなくなっていく…。口うるさいツンデレ女子が優しい美少女幼馴染だと気づいても、今さらもう遅い! ※他サイトにも投稿しています。 ※表紙絵イラストはおしつじさん、ロゴはあっきコタロウさんに作っていただきました。

キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。

たかなしポン太
青春
   僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。  助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。  でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。 「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」 「ちょっと、確認しなくていいですから!」 「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」 「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」    天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。  異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー! ※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。 ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

フラレたばかりのダメヒロインを応援したら修羅場が発生してしまった件

遊馬友仁
青春
校内ぼっちの立花宗重は、クラス委員の上坂部葉月が幼馴染にフラれる場面を目撃してしまう。さらに、葉月の恋敵である転校生・名和リッカの思惑を知った宗重は、葉月に想いを諦めるな、と助言し、叔母のワカ姉やクラスメートの大島睦月たちの協力を得ながら、葉月と幼馴染との仲を取りもつべく行動しはじめる。 一方、宗重と葉月の行動に気付いたリッカは、「私から彼を奪えるもの奪ってみれば?」と、挑発してきた! 宗重の前では、態度を豹変させる転校生の真意は、はたして―――!? ※本作は、2024年に投稿した『負けヒロインに花束を』を大幅にリニューアルした作品です。

罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語

ノン・タロー
恋愛
高校2年の夏……友達同士で行った小テストの点を競う勝負に負けた僕、御堂 彼方(みどう かなた)は、罰ゲームとしてクラスで人気のある女子・風原 亜希(かざはら あき)に告白する。 だが亜希は、彼方が特に好みでもなく、それをあっさりと振る。 それで終わるはずだった――なのに。 ひょんな事情で、彼方は亜希と共に"同居”することに。 さらに新しく出来た、甘えん坊な義妹・由奈(ゆな)。 そして教室では静かに恋を仕掛けてくる寡黙なクラス委員長の柊 澪(ひいらぎ みお)、特に接点の無かった早乙女 瀬玲奈(さおとめ せれな)、おまけに生徒会長の如月(きさらぎ)先輩まで現れて、彼方の周囲は急速に騒がしくなっていく。 由奈は「お兄ちゃん!」と懐き、澪は「一緒に帰らない……?」と静かに距離を詰める。 一方の瀬玲奈は友達感覚で、如月先輩は不器用ながらも接してくる。 そんな中、亜希は「別に好きじゃないし」と言いながら、彼方が誰かと仲良くするたびに心がざわついていく。 罰ゲームから始まった関係は、日常の中で少しずつ形を変えていく。 ツンデレな同居人、甘えたがりな義妹、寡黙な同クラ女子、恋愛に不器用な生徒会長、ギャル気質な同クラ女子……。 そして、無自覚に優しい彼方が、彼女たちの心を少しずつほどいていく。 これは、恋と居場所と感情の距離をめぐる、ちょっと不器用で、でも確かな青春の物語。

距離を置きたい女子たちを助けてしまった結果、正体バレして迫られる

歩く魚
恋愛
 かつて、命を懸けて誰かを助けた日があった。  だがその記憶は、頭を打った衝撃とともに、綺麗さっぱり失われていた。  それは気にしてない。俺は深入りする気はない。  人間は好きだ。けれど、近づきすぎると嫌いになる。  だがそんな俺に、思いもよらぬ刺客が現れる。  ――あの日、俺が助けたのは、できれば関わりたくなかった――距離を置きたい女子たちだったらしい。

【完結】かつて憧れた陰キャ美少女が、陽キャ美少女になって転校してきた。

エース皇命
青春
 高校でボッチ陰キャを極めているカズは、中学の頃、ある陰キャ少女に憧れていた。実は元々陽キャだったカズは、陰キャ少女の清衣(すい)の持つ、独特な雰囲気とボッチを楽しんでいる様子に感銘を受け、高校で陰キャデビューすることを決意したのだった。  そして高校2年の春。ひとりの美少女転校生がやってきた。  最初は雰囲気が違いすぎてわからなかったが、自己紹介でなんとその美少女は清衣であるということに気づく。  陽キャから陰キャになった主人公カズと、陰キャから陽キャになった清衣。  以前とはまったく違うキャラになってしまった2人の間に、どんなラブコメが待っているのだろうか。 ※小説家になろう、カクヨムでも公開しています。 ※表紙にはAI生成画像を使用しています。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。