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Fragrance 2-ウラヤミノカオリ-
エピローグ『木漏れ日』
「どうやら、上手くいったみたいだね」
絢ちゃんとの話が終わった後、瑠璃ちゃんは椿ちゃんという女の子に告白することは聞いていた。
隠れて一部始終を目撃するのもどうかと思ったけれど、やっぱり気になってしまって……絢ちゃんと一緒に木の陰から瑠璃ちゃんの告白の様子を見ていたのだ。
「でも、3人いるけど……椿っていう女の子は赤い髪の女の子だよね」
「キスもしてたからね。椿ちゃんっていう女の子に告白するって言ってた」
「……私達も同じことをしてると思うと、ちょっと恥ずかしいな」
「絢ちゃんもそう思ってたんだ」
けれど、キスをして互いに笑顔ってことは……瑠璃ちゃんの告白が上手くいったっていう何よりも証拠だよね。
「黒い髪の女の子も楽しそうに笑ってるから、きっと大丈夫だと思うよ」
「……そうだね」
「それよりもさ、絢ちゃん。ずっと気になっていたんだけど」
「なに?」
「どうして、ずっと後ろから抱きついているのかな」
見始めたときからずっと、絢ちゃんは私のことを後ろから抱きしめている。別に嫌じゃないんだけどね。
「だって、こうした方が見やすいと思って。それに、遥香のことを抱きしめたかったから。そんな理由でもダメ?」
急に耳元で囁かれると絢ちゃんの熱い吐息が耳にかかって、くすぐったくて思わず声を上げてしまう。
「遥香、喘ぐところが可愛いな」
「……もぅ、絢ちゃんのばか」
「遥香。私も気になったことがあるんだけど」
「なに?」
「昨日、汐崎さんが遥香の家に泊まったんだよね。色々とあったと思うけど……汐崎さんと何かした? 正直に答えて」
絢ちゃんはそう言うと、私のことをより強く抱きしめる。
やっぱり、気になるよね。自分以外の女の子と泊まると。しかも、その相手が瑠璃ちゃんだから。
「不意にキスをされた。それからは、私のベッドで瑠璃ちゃんとたくさんお話しして、一緒に寝たんだよ」
正直に絢ちゃんに話した。瑠璃ちゃんにキスことはちゃんと言っておかないといけないと思って。
「ふーん……」
と、絢ちゃんは無表情になり、突然キスをしてきた。
「……こんな風に突然されたんだ」
「そ、そんな感じ……」
私がそう言うと、綾ちゃんは「ふぅん」と声を上げる。
「そ、その……嫉妬したよね」
「当たり前だよ。自分の恋人が他の人にキスされたんだから。まあ、相手はあの汐崎さんだからそのことについては許すよ。彼女も恋人ができたんだし」
「……ありがとう」
「ただし、ここでお返しのキスをしてくれたらね」
と言って、絢ちゃんは私の前に立つ。その瞬間、絢ちゃんの甘い匂いがふんわりと感じられてドキドキする。
「こうすれば遥香は私だけを見ることができる」
「絢ちゃん、いいの? ここで……」
「いいに決まってるよ。場所も大事だけれど、一番大事なのは気持ちだと思う。遥香は私とキスしたくないの? 私は……したい。今の話を聞いて遥香ともっともっとキスがしたくなった」
急に真面目な表情になってそういうことを話されると、凄くドキドキしてくるよ。素なのかわざとか分からないけれど、心を掴むのが上手すぎ。
「私だってしたいよ。瑠璃ちゃんと椿ちゃんのキスを見て、絢ちゃんとキスしたくなっちゃったんだから……」
「だったらしてよ。いつでもしてきていいから」
「……うん、分かった。じゃあ、さっそく……」
何だか絢ちゃんのペースに乗せられている気がする。
でも、絢ちゃんとキスしたい気持ちは本当だから。だから、もう場所とかは関係なく目の前にいる絢ちゃんのことだけを考えて、絢ちゃんにキスをした。
「……これで許してくれる?」
「もちろん。まあ、本当は遥香にキスをして欲しかっただけなんだけど。遥香のこと、許さないわけないよ」
「……本当に絢ちゃんってキスが好きだよね。何かと理由を付けてキスを要求してくるんだもん。本当に普段の絢ちゃんからは考えられないよ」
「相手が遥香だからだよ。他の子にはそんなことを要求しないって」
ううっ、少しは嫌みっぽく言ったつもりなのに、どうして返答がいちいち胸をキュンとさせるんだろう。
「……ねえ、遥香。一つ決めたことがあるんだけど」
「どうかしたの?」
「近いうちに遥香と付き合っていることをみんなに話そうと思う。やっぱり、このままじゃいけないと思って」
「それってやっぱり、瑠璃ちゃんのことがあったから?」
「それもちょっとある。でも、汐崎さんの告白を見て改めて思ったんだ。告白をするのはとても勇気のいることだったって。遥香に告白することができたんだから、遥香と付き合っていることをきっとみんなに言えるだろうって」
「……そっか」
今は隠れて付き合っている感覚に近い。それ故に、気持ちが窮屈になってしまう場面もある。未だに絢ちゃんは昼休みの間、ファンの子に囲まれてしまっている。そんな光景を見て嫉妬している部分もある。
「みんなに言った方が絢ちゃんと過ごせる時間が長くなるもんね。正直、もっと絢ちゃんと一緒にいたいもん」
「今の遥香の言葉を聞いて安心した。もしかしたら嫌がるんじゃないかと思って」
「確かに不安もあるけれど、皆に言うことで絢ちゃんとの仲が深められるなら……私は良いと思ってるよ」
「……分かった。じゃあ、皆に言おう。何かあっても私が守るから安心して」
「うん。私も絢ちゃんのことを守るから」
そう、好きだという気持ちが失わなければ、絶対に大丈夫だ。
互いの気持ちを確かめるためにキスをする私達を、木漏れ日が温かく、そして優しく包み込んでくれたのであった。
Fragrance 2-ウラヤミノカオリ- おわり
Fragrance 3-メザメノカオリ- に続く。
絢ちゃんとの話が終わった後、瑠璃ちゃんは椿ちゃんという女の子に告白することは聞いていた。
隠れて一部始終を目撃するのもどうかと思ったけれど、やっぱり気になってしまって……絢ちゃんと一緒に木の陰から瑠璃ちゃんの告白の様子を見ていたのだ。
「でも、3人いるけど……椿っていう女の子は赤い髪の女の子だよね」
「キスもしてたからね。椿ちゃんっていう女の子に告白するって言ってた」
「……私達も同じことをしてると思うと、ちょっと恥ずかしいな」
「絢ちゃんもそう思ってたんだ」
けれど、キスをして互いに笑顔ってことは……瑠璃ちゃんの告白が上手くいったっていう何よりも証拠だよね。
「黒い髪の女の子も楽しそうに笑ってるから、きっと大丈夫だと思うよ」
「……そうだね」
「それよりもさ、絢ちゃん。ずっと気になっていたんだけど」
「なに?」
「どうして、ずっと後ろから抱きついているのかな」
見始めたときからずっと、絢ちゃんは私のことを後ろから抱きしめている。別に嫌じゃないんだけどね。
「だって、こうした方が見やすいと思って。それに、遥香のことを抱きしめたかったから。そんな理由でもダメ?」
急に耳元で囁かれると絢ちゃんの熱い吐息が耳にかかって、くすぐったくて思わず声を上げてしまう。
「遥香、喘ぐところが可愛いな」
「……もぅ、絢ちゃんのばか」
「遥香。私も気になったことがあるんだけど」
「なに?」
「昨日、汐崎さんが遥香の家に泊まったんだよね。色々とあったと思うけど……汐崎さんと何かした? 正直に答えて」
絢ちゃんはそう言うと、私のことをより強く抱きしめる。
やっぱり、気になるよね。自分以外の女の子と泊まると。しかも、その相手が瑠璃ちゃんだから。
「不意にキスをされた。それからは、私のベッドで瑠璃ちゃんとたくさんお話しして、一緒に寝たんだよ」
正直に絢ちゃんに話した。瑠璃ちゃんにキスことはちゃんと言っておかないといけないと思って。
「ふーん……」
と、絢ちゃんは無表情になり、突然キスをしてきた。
「……こんな風に突然されたんだ」
「そ、そんな感じ……」
私がそう言うと、綾ちゃんは「ふぅん」と声を上げる。
「そ、その……嫉妬したよね」
「当たり前だよ。自分の恋人が他の人にキスされたんだから。まあ、相手はあの汐崎さんだからそのことについては許すよ。彼女も恋人ができたんだし」
「……ありがとう」
「ただし、ここでお返しのキスをしてくれたらね」
と言って、絢ちゃんは私の前に立つ。その瞬間、絢ちゃんの甘い匂いがふんわりと感じられてドキドキする。
「こうすれば遥香は私だけを見ることができる」
「絢ちゃん、いいの? ここで……」
「いいに決まってるよ。場所も大事だけれど、一番大事なのは気持ちだと思う。遥香は私とキスしたくないの? 私は……したい。今の話を聞いて遥香ともっともっとキスがしたくなった」
急に真面目な表情になってそういうことを話されると、凄くドキドキしてくるよ。素なのかわざとか分からないけれど、心を掴むのが上手すぎ。
「私だってしたいよ。瑠璃ちゃんと椿ちゃんのキスを見て、絢ちゃんとキスしたくなっちゃったんだから……」
「だったらしてよ。いつでもしてきていいから」
「……うん、分かった。じゃあ、さっそく……」
何だか絢ちゃんのペースに乗せられている気がする。
でも、絢ちゃんとキスしたい気持ちは本当だから。だから、もう場所とかは関係なく目の前にいる絢ちゃんのことだけを考えて、絢ちゃんにキスをした。
「……これで許してくれる?」
「もちろん。まあ、本当は遥香にキスをして欲しかっただけなんだけど。遥香のこと、許さないわけないよ」
「……本当に絢ちゃんってキスが好きだよね。何かと理由を付けてキスを要求してくるんだもん。本当に普段の絢ちゃんからは考えられないよ」
「相手が遥香だからだよ。他の子にはそんなことを要求しないって」
ううっ、少しは嫌みっぽく言ったつもりなのに、どうして返答がいちいち胸をキュンとさせるんだろう。
「……ねえ、遥香。一つ決めたことがあるんだけど」
「どうかしたの?」
「近いうちに遥香と付き合っていることをみんなに話そうと思う。やっぱり、このままじゃいけないと思って」
「それってやっぱり、瑠璃ちゃんのことがあったから?」
「それもちょっとある。でも、汐崎さんの告白を見て改めて思ったんだ。告白をするのはとても勇気のいることだったって。遥香に告白することができたんだから、遥香と付き合っていることをきっとみんなに言えるだろうって」
「……そっか」
今は隠れて付き合っている感覚に近い。それ故に、気持ちが窮屈になってしまう場面もある。未だに絢ちゃんは昼休みの間、ファンの子に囲まれてしまっている。そんな光景を見て嫉妬している部分もある。
「みんなに言った方が絢ちゃんと過ごせる時間が長くなるもんね。正直、もっと絢ちゃんと一緒にいたいもん」
「今の遥香の言葉を聞いて安心した。もしかしたら嫌がるんじゃないかと思って」
「確かに不安もあるけれど、皆に言うことで絢ちゃんとの仲が深められるなら……私は良いと思ってるよ」
「……分かった。じゃあ、皆に言おう。何かあっても私が守るから安心して」
「うん。私も絢ちゃんのことを守るから」
そう、好きだという気持ちが失わなければ、絶対に大丈夫だ。
互いの気持ちを確かめるためにキスをする私達を、木漏れ日が温かく、そして優しく包み込んでくれたのであった。
Fragrance 2-ウラヤミノカオリ- おわり
Fragrance 3-メザメノカオリ- に続く。
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