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Short Fragrance 2-ヨゾラノカオリ-
Case 5『雅と舞』
7月7日、日曜日。
今日は舞と一緒に色々なところへ遊びに行った。今日みたいな日はたくさんあったけれど、今日が一番楽しく思えた。
舞と出会って、恋心を抱くまではただ普通に楽しかった。
恋心を抱いてから、初めて告白するまでは隣にいてドキドキした。
初めての告白で振られてからは友達として一緒にいることが辛かった気がする。舞と出会ってから、この時期が一番長かった。
一昨日……そんな辛い想いを蹴り飛ばした。本当の気持ちを舞と共有し、彼女と恋人同士になることによって。
恋心を抱き始めた時のように、舞と一緒にいるだけでドキドキする。でも、同じドキドキでもあの時とは決定的に違うことがある。今はただただ、楽しい。あのときは女の子に好意を抱いてしまっていいのか、という不安や恐れがあったから。
「今日は楽しかったね」
「うん、そうね」
楽しかった1日が早くも終わろうとしている。沈みゆく太陽がそれを知らせる。
電車が私達の別れの場へと近づいていく。大学の最寄り駅に到着したら、私は1人で電車を降りなければならない。当然、舞とここで離れたくない。舞は私の手をそっと握っているけれど、あなたは私と同じことを思ってくれてる?
「ねえ、舞」
「うん?」
「……えっと、その……」
いざ、言おうとするとなかなか言葉に出せない。遊びに行こうっていうのはすぐに言えたのに、どうして家に来てって言えないんだろう。やっぱり、相手が舞だからだよね。隼人君の方がまだ言いやすいよ。
「雅ちゃん、言いたいことが顔に出てるよ」
「……えっ?」
「雅ちゃんの家に泊まりに来て欲しいってことでしょ」
「……と、泊まってくれるの?」
そう訊くと、舞は笑顔でうん、と頷いた。
一緒にいたいとは思ったけれど、まさか舞の方から話に出すなんて。ていうか、私ってそんなに顔に出るタイプなの?
ううっ、何だか緊張してきた。舞を泊まらせるのは初めてだし。隼人君のときは全然緊張しなかったのに。恋人だとこんなに緊張しちゃうものなの?
「汗掻いてるけど大丈夫?」
「う、うん。大丈夫」
なわけない。これから舞と一夜を明かすことを考えると、もしかして……あんなことやこんなことをし、しちゃうのかな。
「ねえ、舞。泊まってもいいけれど、や、優しくしてよね」
「泊まらせてもらう身なんだから文句とか言わないよ。優しくして、ってもしかして私に甘えたいのかな?」
「……そ、そんな感じ」
「はいはい。じゃあ、雅ちゃんの家に行ったら、夕ご飯に好きなものを作ってあげるからね」
よしよし、と頭を撫でられてしまった。
ううっ、こういう反応だと変なことを考えてしまった自分が恥ずかしい。そうだよ、私達は付き合ったばかりなんだから、舞と……え、えっちなことにはならないよね。
「私も、雅ちゃんに色々と優しくして欲しいなぁ……」
耳元でそう囁き、舞は頭を私の肩に乗せる。
な、何なの? この意味ありげな一言。こんなこと言われたら変な妄想が頭の中に広がっちゃうじゃない!
それから、家に帰るまでずっと私は舞の横でどぎまぎしてしまうのであった。
家に帰ると舞はすぐに私の食べたい夕ご飯を作ってくれた。とても美味しかった。
舞が食器を洗ってくれている間、今はバルコニーに出て涼んでいる。今日は晴れていたので空気が爽やかで気持ちいい。星空がこんなに綺麗な七夕って珍しいかも。
「雅ちゃん、お皿洗い終わったよ」
「ありがとう、舞」
「うわあ、星が綺麗!」
舞はバルコニーに出て、私の隣で星空を見上げる。
まさか、舞と一緒にこんな風に過ごせる日が来るなんて思わなかった。これも隼人君達のおかげよね。まだ、彼のために買った服を渡していないから、渡すときにまたお礼を言わないといけないな。
「そういえば、今日は七夕だったよね」
「そうね」
「雅ちゃんって何が願い事とかある?」
「……私はもう叶っちゃった。色々なことがあったけど、ずっと舞と恋人同士になりたいって思ってたから」
「そっか」
「舞は何か願い事があるの?」
「……好きな人と離れずにいられますように、かな」
その言葉にキュン、となる。そして、それを言う舞の優しげな笑顔にまた、キュン。
「正直な気持ちになれたから、雅ちゃんとこういう関係になることができた。雅ちゃんと一緒にいる時間を大切にしたいし、いつまでも続いて欲しいって思うの」
「……そっか」
舞の今の話を聞いて、私の願い事が生まれた。
「……これからは素直な気持ちで接することができますように。そうすればきっと、舞と楽しい時間が過ごせると思うから」
「雅ちゃん……」
私がそう言うと、舞は頬を赤くして私のことを抱きしめてくる。その時に舞の甘い匂いが私のことを包み込む。
「忘れてないよね?」
「えっ?」
「……雅ちゃんに優しくして欲しい。私に優しくして欲しいって言ったのも、きっと私と同じ理由なんだよね。だから、優しく……してよ」
甘えるような舞の口調が私の心をくすぐる。本当に可愛い。
電車の中からずっと、舞は私と同じ気持ちだったんだ。私の気持ちを察するように泊まる話になったけれど、本当は舞もずっと私と一緒にいたかったんだ。
「……分かった。優しく……してあげる」
私はそっと舞にキスをする。舞とはこれが初めてのキス。
「……続きは中でしよっか」
「うん」
前に隼人君が言っていた。今から舞とするようなことは好き合う人同士がすべきことだって。それが今になってやっと分かった気がするよ。
私達は忘れることのない夜を過ごすのであった。
今日は舞と一緒に色々なところへ遊びに行った。今日みたいな日はたくさんあったけれど、今日が一番楽しく思えた。
舞と出会って、恋心を抱くまではただ普通に楽しかった。
恋心を抱いてから、初めて告白するまでは隣にいてドキドキした。
初めての告白で振られてからは友達として一緒にいることが辛かった気がする。舞と出会ってから、この時期が一番長かった。
一昨日……そんな辛い想いを蹴り飛ばした。本当の気持ちを舞と共有し、彼女と恋人同士になることによって。
恋心を抱き始めた時のように、舞と一緒にいるだけでドキドキする。でも、同じドキドキでもあの時とは決定的に違うことがある。今はただただ、楽しい。あのときは女の子に好意を抱いてしまっていいのか、という不安や恐れがあったから。
「今日は楽しかったね」
「うん、そうね」
楽しかった1日が早くも終わろうとしている。沈みゆく太陽がそれを知らせる。
電車が私達の別れの場へと近づいていく。大学の最寄り駅に到着したら、私は1人で電車を降りなければならない。当然、舞とここで離れたくない。舞は私の手をそっと握っているけれど、あなたは私と同じことを思ってくれてる?
「ねえ、舞」
「うん?」
「……えっと、その……」
いざ、言おうとするとなかなか言葉に出せない。遊びに行こうっていうのはすぐに言えたのに、どうして家に来てって言えないんだろう。やっぱり、相手が舞だからだよね。隼人君の方がまだ言いやすいよ。
「雅ちゃん、言いたいことが顔に出てるよ」
「……えっ?」
「雅ちゃんの家に泊まりに来て欲しいってことでしょ」
「……と、泊まってくれるの?」
そう訊くと、舞は笑顔でうん、と頷いた。
一緒にいたいとは思ったけれど、まさか舞の方から話に出すなんて。ていうか、私ってそんなに顔に出るタイプなの?
ううっ、何だか緊張してきた。舞を泊まらせるのは初めてだし。隼人君のときは全然緊張しなかったのに。恋人だとこんなに緊張しちゃうものなの?
「汗掻いてるけど大丈夫?」
「う、うん。大丈夫」
なわけない。これから舞と一夜を明かすことを考えると、もしかして……あんなことやこんなことをし、しちゃうのかな。
「ねえ、舞。泊まってもいいけれど、や、優しくしてよね」
「泊まらせてもらう身なんだから文句とか言わないよ。優しくして、ってもしかして私に甘えたいのかな?」
「……そ、そんな感じ」
「はいはい。じゃあ、雅ちゃんの家に行ったら、夕ご飯に好きなものを作ってあげるからね」
よしよし、と頭を撫でられてしまった。
ううっ、こういう反応だと変なことを考えてしまった自分が恥ずかしい。そうだよ、私達は付き合ったばかりなんだから、舞と……え、えっちなことにはならないよね。
「私も、雅ちゃんに色々と優しくして欲しいなぁ……」
耳元でそう囁き、舞は頭を私の肩に乗せる。
な、何なの? この意味ありげな一言。こんなこと言われたら変な妄想が頭の中に広がっちゃうじゃない!
それから、家に帰るまでずっと私は舞の横でどぎまぎしてしまうのであった。
家に帰ると舞はすぐに私の食べたい夕ご飯を作ってくれた。とても美味しかった。
舞が食器を洗ってくれている間、今はバルコニーに出て涼んでいる。今日は晴れていたので空気が爽やかで気持ちいい。星空がこんなに綺麗な七夕って珍しいかも。
「雅ちゃん、お皿洗い終わったよ」
「ありがとう、舞」
「うわあ、星が綺麗!」
舞はバルコニーに出て、私の隣で星空を見上げる。
まさか、舞と一緒にこんな風に過ごせる日が来るなんて思わなかった。これも隼人君達のおかげよね。まだ、彼のために買った服を渡していないから、渡すときにまたお礼を言わないといけないな。
「そういえば、今日は七夕だったよね」
「そうね」
「雅ちゃんって何が願い事とかある?」
「……私はもう叶っちゃった。色々なことがあったけど、ずっと舞と恋人同士になりたいって思ってたから」
「そっか」
「舞は何か願い事があるの?」
「……好きな人と離れずにいられますように、かな」
その言葉にキュン、となる。そして、それを言う舞の優しげな笑顔にまた、キュン。
「正直な気持ちになれたから、雅ちゃんとこういう関係になることができた。雅ちゃんと一緒にいる時間を大切にしたいし、いつまでも続いて欲しいって思うの」
「……そっか」
舞の今の話を聞いて、私の願い事が生まれた。
「……これからは素直な気持ちで接することができますように。そうすればきっと、舞と楽しい時間が過ごせると思うから」
「雅ちゃん……」
私がそう言うと、舞は頬を赤くして私のことを抱きしめてくる。その時に舞の甘い匂いが私のことを包み込む。
「忘れてないよね?」
「えっ?」
「……雅ちゃんに優しくして欲しい。私に優しくして欲しいって言ったのも、きっと私と同じ理由なんだよね。だから、優しく……してよ」
甘えるような舞の口調が私の心をくすぐる。本当に可愛い。
電車の中からずっと、舞は私と同じ気持ちだったんだ。私の気持ちを察するように泊まる話になったけれど、本当は舞もずっと私と一緒にいたかったんだ。
「……分かった。優しく……してあげる」
私はそっと舞にキスをする。舞とはこれが初めてのキス。
「……続きは中でしよっか」
「うん」
前に隼人君が言っていた。今から舞とするようなことは好き合う人同士がすべきことだって。それが今になってやっと分かった気がするよ。
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