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Fragrance 7-ナツノカオリ-
第4話『八神高校』
正午過ぎに合宿所に到着した。
八神高校の陸上部の方が先に到着したからなのか、私達のことを出迎えてくれた。八神高校は共学だと聞いていたので男子もいるのかと思ったけれど、女子校である天羽女子に合わせてくれたのか女子部員しかいない。
「先輩、到着しましたよ」
「……うんっ、ありがとう。よく寝た」
と、黒崎先輩は体を伸ばす。って、左腕が思いっきり顔に当たっているんですけど。
「女子部員の方しかいないんですね」
「ああ、こっちが女子校だからかな。インターハイ本番を想定した練習になっているから、今回は女子部員だけの参加ということにしてもらった。まあ、男子がいることで何か起こったらまずいからな……」
「なるほど」
「……一応、絢は女子に人気があるから、特に向こうの生徒に勘違いされるような行動を取らないように気を付けろよ。まあ、君は坂井さんっていう彼女がいるから大丈夫だとは思うけれど」
「安心してください。今でも遥香のところに帰りたい気持ちでいっぱいですから」
「……帰りたい気持ちは分かるけど、それは少し抑えておこうか」
黒崎先輩に苦笑いされる。恋人のいる所に戻りたい気持ちを抱くのは普通だと思うんだけれどな。
合宿が終わったら、遥香の家に泊まりに行こう。
「それじゃ、降りるか」
「ええ」
続々と他の部員がバスを降りていき、私と黒崎先輩は最後の方に降りる。
『きゃあああっ!』
バスから降りた瞬間、八神高校の女子達からの黄色い悲鳴。
「かっこいい!」
「噂に通りのイケメンだわ……」
「これから間近で彼女の走りを見ることができると思うと興奮する!」
他にも色々な言葉が聞こえてくるけれど、黒崎先輩と一緒に降りたので私宛なのか、黒崎先輩宛なのかいまいち分からない。
「さすがは絢だな。きっと、みんな……予選の走りを観ていたんだろう」
「私に向けられた言葉なんですか。先輩もイケメンだと思いますけど」
「ははっ、どうなんだろうね。少なくとも、絢と一緒にいると女の子らしくいられる気がするよ。あの子達の言葉を借りれば、超絶イケメン女子が隣にいるんだから」
「褒められているのかどうか分かりません……」
「……君は君らしくいればいい、ってことさ」
こういうことを爽やかな笑みを浮かべたまま言える方が、よっぽどイケメンのような気がするんだけれどな。
「でも、バスから降りてここまで騒がれると、何だかアイドルになった気分です!」
「……その調子なら大丈夫そうだね」
黒崎先輩とそんなことを話していると、八神高校の女子生徒の1人が私達の所に歩み寄ってきた。緑色のワンサイドアップの髪が特徴的な優しい雰囲気を持つ人だ。
「悠、久しぶりね」
「久しぶりだな。って言っても、何度も合同練習で会っているじゃないか」
「ふふ、そうね。でも、今回はありがとう。インターハイ前の大事な時期に、八神とまた合同合宿をしてくれて」
「こっちもインターハイに出場する生徒はいるからね。他校と一緒に練習していい刺激を与えられればいいと思って。彼女は原田絢。短距離走でさっそく実力を発揮している期待の1年生だ」
ポン、と黒崎先輩に肩を叩かれる。
「天羽女子1年の原田絢です。これから5日間よろしくお願いします」
「私は草薙果歩。八神高校の2年生で、悠ちゃんとは幼なじみなの」
「そうなんですか」
とても親しく見えたのはそのためか。
「悠ちゃんに期待されるってことは相当なんだね。楽しみだなぁ、うちにも短距離走では期待の1年生がいるから」
「そうなんですか」
その子とはこの合宿で仲良くなりたいなぁ。この後に顔合わせを兼ねた昼食があるし、どの子なのか聞いておこう。
「私は400mリレーに出場する予定だけど、原田さんは?」
「100mと200mに出場する予定です。リレーは補欠で」
「そうなんだ。まあ、万が一、リレーに出場したときにはその時はよろしくね」
「はい」
リレーということは黒崎先輩と同じ競技なんだ。一緒に走ってみたい気持ちはあるけれど、私は補欠だし。黒崎先輩を応援するとしよう。
「現状は補欠だよ。ただ、状況によっては絢もメンバーに入れるつもりだ。だから、バトンバスの練習には参加するつもりでいて」
「分かりました」
個々の実力も重要だけれど、リレーにおいて最もカギとなる要素がバトンパス。この精度を上げることでチームとしての実力が発揮できる。現状では補欠である私も出場の可能性があるから頑張らないと。
そして、合宿所に入り、部屋に荷物を置き、八神高校との顔合わせをするために食堂へ向かうのであった。
八神高校の陸上部の方が先に到着したからなのか、私達のことを出迎えてくれた。八神高校は共学だと聞いていたので男子もいるのかと思ったけれど、女子校である天羽女子に合わせてくれたのか女子部員しかいない。
「先輩、到着しましたよ」
「……うんっ、ありがとう。よく寝た」
と、黒崎先輩は体を伸ばす。って、左腕が思いっきり顔に当たっているんですけど。
「女子部員の方しかいないんですね」
「ああ、こっちが女子校だからかな。インターハイ本番を想定した練習になっているから、今回は女子部員だけの参加ということにしてもらった。まあ、男子がいることで何か起こったらまずいからな……」
「なるほど」
「……一応、絢は女子に人気があるから、特に向こうの生徒に勘違いされるような行動を取らないように気を付けろよ。まあ、君は坂井さんっていう彼女がいるから大丈夫だとは思うけれど」
「安心してください。今でも遥香のところに帰りたい気持ちでいっぱいですから」
「……帰りたい気持ちは分かるけど、それは少し抑えておこうか」
黒崎先輩に苦笑いされる。恋人のいる所に戻りたい気持ちを抱くのは普通だと思うんだけれどな。
合宿が終わったら、遥香の家に泊まりに行こう。
「それじゃ、降りるか」
「ええ」
続々と他の部員がバスを降りていき、私と黒崎先輩は最後の方に降りる。
『きゃあああっ!』
バスから降りた瞬間、八神高校の女子達からの黄色い悲鳴。
「かっこいい!」
「噂に通りのイケメンだわ……」
「これから間近で彼女の走りを見ることができると思うと興奮する!」
他にも色々な言葉が聞こえてくるけれど、黒崎先輩と一緒に降りたので私宛なのか、黒崎先輩宛なのかいまいち分からない。
「さすがは絢だな。きっと、みんな……予選の走りを観ていたんだろう」
「私に向けられた言葉なんですか。先輩もイケメンだと思いますけど」
「ははっ、どうなんだろうね。少なくとも、絢と一緒にいると女の子らしくいられる気がするよ。あの子達の言葉を借りれば、超絶イケメン女子が隣にいるんだから」
「褒められているのかどうか分かりません……」
「……君は君らしくいればいい、ってことさ」
こういうことを爽やかな笑みを浮かべたまま言える方が、よっぽどイケメンのような気がするんだけれどな。
「でも、バスから降りてここまで騒がれると、何だかアイドルになった気分です!」
「……その調子なら大丈夫そうだね」
黒崎先輩とそんなことを話していると、八神高校の女子生徒の1人が私達の所に歩み寄ってきた。緑色のワンサイドアップの髪が特徴的な優しい雰囲気を持つ人だ。
「悠、久しぶりね」
「久しぶりだな。って言っても、何度も合同練習で会っているじゃないか」
「ふふ、そうね。でも、今回はありがとう。インターハイ前の大事な時期に、八神とまた合同合宿をしてくれて」
「こっちもインターハイに出場する生徒はいるからね。他校と一緒に練習していい刺激を与えられればいいと思って。彼女は原田絢。短距離走でさっそく実力を発揮している期待の1年生だ」
ポン、と黒崎先輩に肩を叩かれる。
「天羽女子1年の原田絢です。これから5日間よろしくお願いします」
「私は草薙果歩。八神高校の2年生で、悠ちゃんとは幼なじみなの」
「そうなんですか」
とても親しく見えたのはそのためか。
「悠ちゃんに期待されるってことは相当なんだね。楽しみだなぁ、うちにも短距離走では期待の1年生がいるから」
「そうなんですか」
その子とはこの合宿で仲良くなりたいなぁ。この後に顔合わせを兼ねた昼食があるし、どの子なのか聞いておこう。
「私は400mリレーに出場する予定だけど、原田さんは?」
「100mと200mに出場する予定です。リレーは補欠で」
「そうなんだ。まあ、万が一、リレーに出場したときにはその時はよろしくね」
「はい」
リレーということは黒崎先輩と同じ競技なんだ。一緒に走ってみたい気持ちはあるけれど、私は補欠だし。黒崎先輩を応援するとしよう。
「現状は補欠だよ。ただ、状況によっては絢もメンバーに入れるつもりだ。だから、バトンバスの練習には参加するつもりでいて」
「分かりました」
個々の実力も重要だけれど、リレーにおいて最もカギとなる要素がバトンパス。この精度を上げることでチームとしての実力が発揮できる。現状では補欠である私も出場の可能性があるから頑張らないと。
そして、合宿所に入り、部屋に荷物を置き、八神高校との顔合わせをするために食堂へ向かうのであった。
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