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Fragrance 8-タビノカオリ-
第40話『乙女スパ』
彩花ちゃんと一緒に大浴場へと向かう。『女湯』と描かれている赤い暖簾をくぐると全然人がいなかった。午後9時半過ぎだからかな。
「全然いないね」
「そうですね。ゆっくりできていいですけど」
「ははっ、そうだね。こういうところのお風呂はゆっくりとする場所だから、人があまりいない方がいいよね」
人が多いよりは、今みたいに人が全然いない中でゆっくりと過ごせる方がいいと思う。
「絢さんと一緒で良かった。直人先輩とだったら、1人で女風呂に行かなければなりませんし」
「さすがにここまで人が少なくても、直人さんとは来られないね。来ちゃダメだけど。このホテルには混浴はないし。でも、元の体に戻ったとしても、私や遥香、奈央さんと一緒に入りに来ようよ」
「……はい」
彩花ちゃんは寂しげな笑みを浮かべる。さっき、私のことが好きだと言っていたし。でも、彩花ちゃんの恋人は直人さんだから、みんなのためにも早く戻った方がいい。
脱衣所にいるのは年配の方が数人ほど。何だかのんびりしている感じがしていいな。
「服、脱ごうか」
「は、はい」
彩花ちゃんのすぐ隣で服を脱いでゆく。見た目は遥香だけど、心は彩花ちゃんなのでやっぱり緊張しちゃうな。
チラッと見てみると、彩花ちゃんはじっと私のことを見てくる。そっか、彩花ちゃんは私の裸をあまり見たことないもんね。さっき、彩花ちゃんは私のことを好きだと言ってくれて、キスまでしたから……色々と意識しているのかな。
「……そんなにじっと見られるとさすがに恥ずかしいかな」
「ご、ごめんなさい」
「別にいいんだよ。ただ、遥香じゃなくて彩花ちゃんだから……服を脱ぐことに緊張しちゃって。女の子同士だから意識しなくてもいいのかもしれないけれど」
「……意識してくれて嬉しいですよ、私は。私も……意識していますし。絢さんって髪を解いても可愛いですよね」
「……ありがとう」
そして、私達は大浴場の中へと入っていく。中にもあまり人はいないな。私達と同年代くらいの人は1人もいなかった。
「この時間だと部屋でゆっくりしている人が多いのかな」
「かもしれませんね」
「じゃあ、さっさと髪と体を洗って、ゆっくりと温泉に入ろうか」
「そうしましょう」
せっかくの温泉だから、思う存分堪能しないと。
私は彩花ちゃんの隣で髪と体を洗い始める。
彩花ちゃんの方をちらっと見てみると、遥香の体だからなのか鏡越しにじっくりと見ているな。
「入れ替わったからか、遥香の胸が気になるのかな」
「鏡を見ていると、どうしても目線が行ってしまうというか。あとは……この茶色い髪。さらさらしていて羨ましいです」
「遥香に似合っているよね。でも、彩花ちゃんの赤い髪も私は好きかな」
「あ、ありがとうございます……」
そして、髪と体を洗い終え、私は彩花ちゃんと一緒に露天風呂の方へと向かう。夜だからか、意外と涼しいな。
「予想通り、誰も入っていないね」
「そうですね。これならゆっくりできそうです」
彩花ちゃんと隣り合う形で、私は露天風呂に入る。ちょっと熱めだけど、涼しいからこのくらいの温度でちょうどいいな。
「気持ちいいね、彩花ちゃん」
「ええ」
「あの看板に効能が書いてあるけれど、この温泉、筋肉痛や関節痛に効果があるみたいだね。海やプールで泳いだ疲れは温泉で取りましょうってことなのかな?」
「そうかもしれませんね。ええと、あとは美肌効果もあるみたいです。それにしても、この温泉……本当に気持ちいいですね。絢さんと一緒に入っているからなのかな」
そう言うと、彩花ちゃんは手を重ね、私の顔をじっと見つめてくる。
「ねえ、絢さん。キスをしてもいいですか? そうすれば、もっと気持ち良くなるかもしれませんから。ねえ、今は誰もいませんし……しましょう?」
そう言う彩花ちゃんの姿はとても艶やかに見えて。そして、彼女のことを抱き寄せた。すると、彼女の髪からシャンプーの甘い匂いがした。
「……私も彩花ちゃんとキスしたいと思っていたんだ。2人きりだからね。見た目が遥香そのものだからかな。今の彩花ちゃんを見ると、無性にキスしたくて……」
「じゃあ……」
「でも、誰かが入ってきたらダメだよ」
「……はい」
そう言って、彩花ちゃんのからキスをする。
「……こんなに彩花ちゃんとキスをしたら、もう……」
遥香に何て言ったらいいんだろう。このことを知ったら、遥香は……どんな気持ちを抱くのだろう。
「……絢さんの気持ちも分かりますけど、今は……私だけを見てほしいです。それに、体は遥香さんなんです。ですから、いいでしょう?」
彩花ちゃんはもう……私しか見えていないのだろうか。直人さんのことは頭に浮かんでいないのだろうか。
「……私、もっと絢さんの側にいたいんです」
「……気持ちは受け取ったよ。でも、今は……温泉を楽しんでもいいんじゃない? それに、イチャイチャすることは部屋に戻ってからでもゆっくりできるでしょ?」
「部屋で、ゆっくりと……」
彩花ちゃんの気持ちを満たすことだけを考えよう。ただ、彩花ちゃんを好きになってはいけないんだ。どんなに魅力的だと思えても、私は坂井遥香の恋人なんだから。ただ、今の状況でそれを第三者に言ったら、説得力なんてまるでないと嘲笑されるだろうけど。
「……分かりました。じゃあ、お部屋でゆっくりと」
「うん、そうしようよ。ここでしちゃったら、色々な意味でのぼせそうだし」
「……はい」
少しの間、私は彩花ちゃんと一緒に露天風呂で温まった。しかし、その間……他のお客さんが露天風呂に来ることはなかったのであった。
「全然いないね」
「そうですね。ゆっくりできていいですけど」
「ははっ、そうだね。こういうところのお風呂はゆっくりとする場所だから、人があまりいない方がいいよね」
人が多いよりは、今みたいに人が全然いない中でゆっくりと過ごせる方がいいと思う。
「絢さんと一緒で良かった。直人先輩とだったら、1人で女風呂に行かなければなりませんし」
「さすがにここまで人が少なくても、直人さんとは来られないね。来ちゃダメだけど。このホテルには混浴はないし。でも、元の体に戻ったとしても、私や遥香、奈央さんと一緒に入りに来ようよ」
「……はい」
彩花ちゃんは寂しげな笑みを浮かべる。さっき、私のことが好きだと言っていたし。でも、彩花ちゃんの恋人は直人さんだから、みんなのためにも早く戻った方がいい。
脱衣所にいるのは年配の方が数人ほど。何だかのんびりしている感じがしていいな。
「服、脱ごうか」
「は、はい」
彩花ちゃんのすぐ隣で服を脱いでゆく。見た目は遥香だけど、心は彩花ちゃんなのでやっぱり緊張しちゃうな。
チラッと見てみると、彩花ちゃんはじっと私のことを見てくる。そっか、彩花ちゃんは私の裸をあまり見たことないもんね。さっき、彩花ちゃんは私のことを好きだと言ってくれて、キスまでしたから……色々と意識しているのかな。
「……そんなにじっと見られるとさすがに恥ずかしいかな」
「ご、ごめんなさい」
「別にいいんだよ。ただ、遥香じゃなくて彩花ちゃんだから……服を脱ぐことに緊張しちゃって。女の子同士だから意識しなくてもいいのかもしれないけれど」
「……意識してくれて嬉しいですよ、私は。私も……意識していますし。絢さんって髪を解いても可愛いですよね」
「……ありがとう」
そして、私達は大浴場の中へと入っていく。中にもあまり人はいないな。私達と同年代くらいの人は1人もいなかった。
「この時間だと部屋でゆっくりしている人が多いのかな」
「かもしれませんね」
「じゃあ、さっさと髪と体を洗って、ゆっくりと温泉に入ろうか」
「そうしましょう」
せっかくの温泉だから、思う存分堪能しないと。
私は彩花ちゃんの隣で髪と体を洗い始める。
彩花ちゃんの方をちらっと見てみると、遥香の体だからなのか鏡越しにじっくりと見ているな。
「入れ替わったからか、遥香の胸が気になるのかな」
「鏡を見ていると、どうしても目線が行ってしまうというか。あとは……この茶色い髪。さらさらしていて羨ましいです」
「遥香に似合っているよね。でも、彩花ちゃんの赤い髪も私は好きかな」
「あ、ありがとうございます……」
そして、髪と体を洗い終え、私は彩花ちゃんと一緒に露天風呂の方へと向かう。夜だからか、意外と涼しいな。
「予想通り、誰も入っていないね」
「そうですね。これならゆっくりできそうです」
彩花ちゃんと隣り合う形で、私は露天風呂に入る。ちょっと熱めだけど、涼しいからこのくらいの温度でちょうどいいな。
「気持ちいいね、彩花ちゃん」
「ええ」
「あの看板に効能が書いてあるけれど、この温泉、筋肉痛や関節痛に効果があるみたいだね。海やプールで泳いだ疲れは温泉で取りましょうってことなのかな?」
「そうかもしれませんね。ええと、あとは美肌効果もあるみたいです。それにしても、この温泉……本当に気持ちいいですね。絢さんと一緒に入っているからなのかな」
そう言うと、彩花ちゃんは手を重ね、私の顔をじっと見つめてくる。
「ねえ、絢さん。キスをしてもいいですか? そうすれば、もっと気持ち良くなるかもしれませんから。ねえ、今は誰もいませんし……しましょう?」
そう言う彩花ちゃんの姿はとても艶やかに見えて。そして、彼女のことを抱き寄せた。すると、彼女の髪からシャンプーの甘い匂いがした。
「……私も彩花ちゃんとキスしたいと思っていたんだ。2人きりだからね。見た目が遥香そのものだからかな。今の彩花ちゃんを見ると、無性にキスしたくて……」
「じゃあ……」
「でも、誰かが入ってきたらダメだよ」
「……はい」
そう言って、彩花ちゃんのからキスをする。
「……こんなに彩花ちゃんとキスをしたら、もう……」
遥香に何て言ったらいいんだろう。このことを知ったら、遥香は……どんな気持ちを抱くのだろう。
「……絢さんの気持ちも分かりますけど、今は……私だけを見てほしいです。それに、体は遥香さんなんです。ですから、いいでしょう?」
彩花ちゃんはもう……私しか見えていないのだろうか。直人さんのことは頭に浮かんでいないのだろうか。
「……私、もっと絢さんの側にいたいんです」
「……気持ちは受け取ったよ。でも、今は……温泉を楽しんでもいいんじゃない? それに、イチャイチャすることは部屋に戻ってからでもゆっくりできるでしょ?」
「部屋で、ゆっくりと……」
彩花ちゃんの気持ちを満たすことだけを考えよう。ただ、彩花ちゃんを好きになってはいけないんだ。どんなに魅力的だと思えても、私は坂井遥香の恋人なんだから。ただ、今の状況でそれを第三者に言ったら、説得力なんてまるでないと嘲笑されるだろうけど。
「……分かりました。じゃあ、お部屋でゆっくりと」
「うん、そうしようよ。ここでしちゃったら、色々な意味でのぼせそうだし」
「……はい」
少しの間、私は彩花ちゃんと一緒に露天風呂で温まった。しかし、その間……他のお客さんが露天風呂に来ることはなかったのであった。
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