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しおりを挟むシャワーを浴びて、着替え終わった彼は内ポケットに手を入れた。
「これ、今月の分」
彼が封筒を差しだす。
「ん」
私は彼から封筒を受け取るとすぐに鞄の中にしまった。
中身を確認しないのは興味がないからだ、正直こんなものを貰わなくてもいいと
私は思っているけど、こういう形が重要なのだという事を知っているから貰う。
彼にとってそれが言い訳に出来るというだけ、安心するという理由だ。
確かに有効な手段だなとは思う。
ちゃんと対価を払っているからこれ以上の関係にはならないという線引き。
それは彼が私とは結婚しないという意思表示であり、
これが私達の関係性の全てだった。
彼が先に部屋を出て行く。
私はそんな彼を見送りはせずに、ベットの中へ潜り込んで寝たふりをするのだ。
彼の匂いがまだ残ったベットの中で私は気配が無くなるまで動かない。
「また増えてる」
封筒の中を数えると先月よりも多く入っている。
これがどういう理由なのかは分からないが、もしかして私の価値が上がったと
いう事? なんて見当違いの事を考えてみた。
余計な事を考えない為にシャワーは熱めにするがあまり意味はない。
浴室から出ると鏡に自分の身体が映った。
腹周りの贅肉をつまんでみたら意外と悪くはなかった。
「私って結構高級なんじゃない? 」
そんな感想は結構いい線をいっているんじゃないかと思う。
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