三原色

菫川ヒイロ

文字の大きさ
上 下
2 / 3

しおりを挟む






「ねえ、ちょっとヤバくない? 」


 そう言ってテンション爆上がりの女、きらり。
 
 
「そうだな」


 そんなきらりに同意をしつつ私は彼女のスマホで写真を撮る。
 
 
「どうどう? ちゃんと撮れた? おお、いいじゃん」


 そんなきらりに向けて私は写真を見せると彼女は喜んでいた。
 どこかで見た光景ではあるが、私はとてもいい事だとは思っているのだ。
 実際にきらり自身がこんなにも嬉しそうにしているのだから私が何かを言うなん
 て事はするべきではないし、するつもりもない。
 
 
 きらりはアニメが大好きだ。
 
 
 その事に関して私は好きにすればいいとは思っている、一緒に行動する事が多い
 ので、きらりのアニメ探訪に付き合う事になるのは仕方が無い事ではある。
 私はアニメというものの良さが未だに理解出来ないが、あくまでキラリの付き
 添いという立場だったからこうして写真を撮ってあげる事もけっこうあるので
 その為かある程度上手に撮れるようにもなってしまった。


 アニメが好きというのもきらりの一部ではあるし、それが悪いなんて事はない。
 きらりには他にも良い所が一杯ある訳だし、友達の趣味に口を出すなんて事を
 私はしたくはないというだけなのだ。
 
 
「ちょっとトイレ行って来るわ」


 休憩がてら入った喫茶店できらりがトイレに立ったら、当然のようにゆう子が
 私に言うのだ。
 
 
「流石に意味が分からなくない? あれって本気なのかしら? 」


「いいだろ別に、他の人だって写真撮っていたしそういうものなんだろうよ」


 ゆう子にはきらりの行動が理解出来ないのである。
 
 
「でもあれって絵じゃん。絵と一緒に写って何が嬉しいの? そもそも興奮しすぎ
 じゃない? 絵って二次元だしそもそも存在してないじゃん。実物が居る訳でも
 ないのにあんなのでイケるとかおかしいくない? 」
 
 
 ゆう子からみてきらりはそういう風に見えているようだ。
 イク、イカないは別にして、楽しみ方なんてものは人それぞれなのだからそれで
 いいではないかと私は思う。強く思う。
 
 
「でも本気なんだからいいんじゃないのか? 」


「本気だからヤバいんじゃない! 」


 ゆう子はそう言うが、恋なんてものは大体そういうものだと私は思っているのだ。










しおりを挟む

処理中です...