お慕いしております

菫川ヒイロ

文字の大きさ
上 下
1 / 1

しおりを挟む





「認めんぞ! 絶対に認めん! 」

 
 私達の恋路は世間では許されるものではございませんでした。
 それでも私達は構いません。
 二人で居れさえすれば私達には問題ないのですから。
 
 
 二人だけの逃避行。
 どうせ認めてもらえぬのであれば、ここに居る意味はありません。
 だから私達は家を、町を飛び出しました。
 
 
 二人寄り添い歩くだけでこんなにも心強い事はありません。
 この人と一緒にいるだけで私は幸せなのです。
 他に何も必要などありませんでした。
 
 
 寂れた宿に二人で身を寄せ合い過ごす日々は、
 私が生まれて来てから最も満ち溢れた日々でした。


「お慕いしております」


「私もだよ」


 私達にはその言葉だけで十分でした。
 だから最後にたんと食べたお肉はとても美味しゅうございました。
 
 
「最後までご一緒いたします」


 そして私達は新しい旅を始めるのです。
 終わる事のない旅を、
 
 
 
 
 
 
 
 


しおりを挟む

この作品の感想を投稿する

1 / 3

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

音楽バカのちらしの裏見せます

エッセイ・ノンフィクション / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:0

かくりよにようこそ。

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:2

処理中です...