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しおりを挟む嗚呼、どうしてなのでしょう。
どうして兄様があんな女と結婚するなんて私は認めません!
「はじめまして、妹さん」
初めて会った時から私は彼女が嫌いでした。
その見た目も声も、つけている香水の匂いも大っ嫌いでした。
どうしてこんな人を婚約者にしてしまったのか?
どうしてこんな人を認めてしまったのか?
みんなどうかしています。
そもそも兄様は私の物だというに……
兄様はどこもかしこも完璧な兄様で、そりゃあ言い寄ってくる輩が居るのは
当然と言えます。
でもそんな兄様だからこそ、結婚相手は私でないといけないのです。
同じ家に兄妹として生まれた私達。
これ程『運命』という言葉が当てはまる事があるでしょうか?
ただの他人ごときに私の兄様を渡す事なんて出来ません。
どうしてそんな事も分からないのでしょうかね?
そんな当たり前の事が分からなくなってしまうなんて……
騙されているに違いありません!
「いやあ、実に素晴らしいお嬢さんだ」
父がそんな風に褒めているのも全部あの女の罠に嵌っているに違いありません!
「貴女が嫁いで来てくれるなんて嬉しいわ」
母がそんな言葉を口にするなんてあの女に惑わされています!
だから私は言ってやりました。
「この女狐が! 」
でも女は“うん”とも“すん”とも“こん”とも言いません。
そして私は嘘みたいに怒られて、家を追い出されました。
これも全てあの女の罠だったようです。
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