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菫川ヒイロ

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トゥース! それは魔法の言葉

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 俺には納得出来ない事があった。
 何故か俺の周りにはイケメンが多いのだ!
 というか、世界的にイケメンが多い。
 
 
 そして、そんな中で俺は完全に外れを引いた。
 中々の確率で俺は不細工に生まれてしまったのだ。
 どうしてこんな事になったのかは神様以外知らないのだろう。
 
 
 結果俺は冒険者という仕事に就く事になった。
 というか、それしか仕事が無かったからだ。
 それ以外の仕事に就こうとしたら、不細工なので拒否されてしまった。
 
 
 だから俺は冒険者で一旗揚げる事にした。
 そうして見返してやるのだ、俺を受け入れなかった奴らに!
 
 
 もちろん冒険者としてやって行くには一人よりも多数の方が有利なのは知って
 いたから片っ端からメンバー募集に応募したし、自分からも募集してみた。
 だがここでも不細工に邪魔をされて、結局ソロでやる事になった。
 
 
 それでも挫けずに日々頑張った。
 頑張って、頑張って、諦めなかった俺は固有魔法を使えるようになった。
 
 
 
 
 *****
 
 
 
 
「トゥース! 」


 そう唱えれば相手の歯が虫歯になり、歯が無くなった魔物は食いしばれないので
 力が出ず、弱った所を攻撃する。
 そうする事によって俺はソロでもそれなりに強くなって行った。
 
 
 でもだからといって俺に仲間は出来なかった。
 まるでイケメンだけが生きる事を許された世界のようだ。
 イケメン達は今日も楽しそうに生きている。
 
 
 俺よりも弱いイケメンでも、女を侍らせて、ハーレムパーティーを組んで
 毎日楽しそうにしている事が俺には全く持って理解出来なかった。
 
 
 『イケメン達の前歯を全部、虫歯にしてやろう! 』
 
 
 そして思いついたのがこれだった。


 俺はそれからトゥース!を極める事に必死だった。
 寝ても覚めてもトゥース!
 トゥース! トゥース! トゥース!


 その努力の甲斐もあり、自分でどの歯をどのように虫歯するかも調整出来る
 ようになったのだ!
 
 
 
 
 *****
 
 
 
 
「あ、トゥース! が来たわ」


「また、言ってるよあいつ」


「そんな事して目立ったって誰もパーティーには居れてくれないよ」


 みんなは俺の事をトゥース! と呼ぶようになっていた。
 それも当然だ。俺は毎日毎日、イケメンどもに魔法をかけていたのだから。
 でもイケメンどもは知らない。俺が魔法をかけているという事を。
 
 
 何故なら俺が魔法を使える事なんてこいつらは知らないのだ。
 俺はずっとソロでひっそりと、人目の無い所で狩りをしていたから。
 そして、俺はもう既にトゥース! を全員にかけ終えていた。
 
 
 それからというものイケメンの前歯がどんどん抜けていく事案が発生した。
 初めの内はみんな隠していたので、バレる事はなかったがさすがに限界がやって
 来た。
 
 
「あれ? 前歯どうしたの? 」


「え? 」


 女に言われて慌てふためくイケメン。
 
 
「どうしちゃったのかふぇ? 」


「きゃーーー! 」


 そのイケメンの前歯が全てなくなったのを見て女は悲鳴を上げた。
 
 
 
 
 *****
 
 
 
 
 そしてイケメンどもの前歯が無くなるという事案が周知の事実となった頃に
 こんな噂が流れる。
 
 
 『あれはうつるらしい』
 
 
 そうするとイケメンどもから女が離れていくようになった。
 でも当然、それでもイケメンから離れない者達もいる。
 ハーレムパーティーの奴らだ。
 
 
 そしてもう一つの噂が流れる。
 
 
 『キスしたらうつるらしい』
 
 
 そうしてハーレムパーティーのメンバーの前歯が抜け出すと、全員に手を出して
 いた事がバレたイケメンはボコボコにされる。
 
 
 それを見て俺は笑う。
 しっかりと生えた前歯をのぞかせて。
 
 
 
 



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