7 / 12
ラブソングを聞かせてよ
1
しおりを挟む私はラブソングをよく聞く。
だってそんな事があるなんて思っていなかったから。
あり得ない状況を想像する事は楽しかったのだ。
「ぼ、僕と付き合ってください」
だから告白される事が私の人生の中であるなんて、考えた事などなく、
こんなラブソングみたいな状況がやってくるとは……
だから当然、答えは決まっていた。
「よろしくお願いします」
こうして私に人生にメロディーが流れだす。
*****
「何、あんた。いい事でもあったの? 」
翌朝、母からそんな事を聞かれた私。
「何でもない」
そう言って学校へと登校する。
学校までの道はいつもよりも綺麗で、華やいで見えた。
こんなにも人は変わるのだと実感しながら教室へ入れば、クスクスと笑い声が
聞こえてくる。
「ねえ、どうしたの浮かれちゃって? もしかして彼氏でも出来た? 」
そんな事を聞かれて私は悟ってしまう。
『何だ、全部嘘だったのか』
*****
「ねえ、どうしてあんな事したの? 」
私が問い詰めれば
「罰ゲームだったんだ」
そう答えた彼。
私と付き合う事は罰ゲームに相当するらしい。
きっと彼らにとっての私という人間、否、物か、はそういう物なのだろう。
どんな事をしたって大丈夫で、何をしても許される。何とも都合のいい物なのだ。
もう、私は誰も好きになんてならない事にした。
だからラブソングを聞かせてよ。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
1
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる