バースデー

菫川ヒイロ

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 おめでとう おめでとう おめでとう おめでとう おめでとう おめでとう
 おめでとう おめでとう おめでとう おめでとう おめでとう おめでとう
 おめでとう おめでとう おめでとう おめでとう おめでとう おめでとう
 
 
 みんなが私の事を祝ってくれる。
 
 
 おめでとう おめでとう おめでとう おめでとう おめでとう おめでとう
 おめでとう おめでとう おめでとう おめでとう おめでとう おめでとう
 おめでとう おめでとう おめでとう おめでとう おめでとう おめでとう
 
 
 私はこの国のプリンセス。
 
 
 おめでとう おめでとう おめでとう おめでとう おめでとう おめでとう
 おめでとう おめでとう おめでとう おめでとう おめでとう おめでとう
 おめでとう おめでとう おめでとう おめでとう おめでとう おめでとう
 
 
 そして15歳になった。
 15歳になった私には婚約者があてがわれる。
 その中からこの国の次の世代を担うのだ者が選ばれる。
 
 
 そう、そのひとりが次の国王となる。
 
 
 でも私にはもう心に決めた相手がいた。
 マリスボ。私が愛する唯一の特別な殿方。
 彼以外との結婚など考えられない。
 
 
 だから私は彼が婚約者の中に含まれるように仕組んだ。
 当然だろう。最後に選ぶのは私なのだからその中に入れてさえしまえば
 後はどうにでもなる。
 
 
 嗚呼、これで私の素晴らしい人生が始まる。
 今日は、その第一歩目だった。


「それでは婚約者達の入場です」


 一名ずつ現れ、挨拶をする婚約者達。
 待てど暮らせど現れないマリスボ。
 そして最後の婚約者の挨拶が終わった。
 
 
 何がどうなっている?
 私はお付きのチャックランを呼びつけた。
 
 
「ねえ、これだけ? 他にはもう居ないの? 」


「はい。これで全員がそろいました」


「本当に? 一名足りないように思うのだけれど」


「どうした娘よ! 何かあったのか? 」


 そこへ父が口を挟む。
 そして私は理解したのだ、父が小細工をしたのだと。
 
 
「お父様、何をしたのですか? 」


 私は父を睨みつけた。
 だが父には何の効果もない。
 そして笑顔で言うのだ。
 
 
「さあ、食事をしようじゃないか」


 食事などどうでもいい。
 今すぐにでもマリスボを探しに行きたかった。
 でもそれを私の立場が許しはしない。
 そんな勝手が許される歳では無くなってしまったのだ。
 
 
 私はこれからどうすれば挽回出来るのかを考える。
 必ず私の思い通りにしてみせるのだ。
 だから私は頭が回っていなかった。
 どうして父がああ言ったのか、食事が出て来るまで気付かなかった。
 
 
 そして私は目の前に置かれた皿の上に居たマリスボと目があった。
 
 
「さあ皆、楽しんでくれ! 今日は特別な日、特別な料理で祝おうではないか! 」


「おお、これはこれは。ありがたい。」
「久しぶりに頂けるのだな」
「死ぬまでにもう味わえるとは思っていなかったよ」


 父の言葉に皆は喜びの声を上げてむしゃぶりつく。
 
 
「美味いな」


 そんな声と悲鳴が響き渡る。
 
 
 
 
 






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