汚れている

菫川ヒイロ

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「おかえりなさい」


「ただいま。準備は出来てるの? 」


「ええ、もちろん。早く明日になって欲しいわ」


「そうだね、僕もだよ」


 彼を出迎えた私。
 彼は私の婚約者で明日、私達は式を挙げる事になっていた。
 
 
「とりあえずお風呂に入るよ」


 彼はそう言うと、風呂場へ直行。
 私は彼の荷物を持って部屋へ行く。
 彼との生活は数週間前に始まった。
 
 
 彼の行動はほぼほぼパターン化されており、その通りに行動する事を私は既に
 知っている。だからいつものように私は夕食の準備をして彼がお風呂から上がっ
 て来るのを待つのだ。
 
 
 婚約者として過ごしたのはほぼ一年だった。
 順調に過ごして来た一年間だからこその結婚である。
 そこに何も不満もない。
 
 
「いただきます」


 彼が食事を始める。
 私の料理はそれなりに好評であるが、今後どうなるのかは分からない。
 ただ、好き嫌いが無いというのはありがたいという事は分かった。


「今日は忙しかった? 」


「う~ん。そうでもないかな。やる事は決まっていたからそれを片付けただけかな
 後は挨拶周りをして終わり。君はどうだった? 」
 
 
「私もそうね、予約していた美容院に行ったりとかちょっとした用事を済ませた
 ぐらいだったかな」
 
 
 そんな会話をしながら私達は明日、結婚式を迎える。
 
 
 
 
 *****
 
 
 
 
 当日はよく晴れていた。
 私達を祝福してくれているようなそんな日に式を挙げられたのは良かった。
 みんなから祝福されて私達は結婚する事が出来た。


 もちろん昨日、最後の別れを告げた幼馴染も来ていて平気な顔をして祝ってくれ
 ていたが、なんとなくまた連絡をしてくるような気がしていた。
 これは長年付き合って来た勘である。
 
 
 そして私も呼び出されれば行ってしまうのだろうという気がしていた。
 これは女の勘である。
 
 
 
 





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