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しおりを挟むどうしてこうなってしまったのか?
きっと私が全ての元凶なのだと思う、思うが
それでもやっぱり私は……
*****
「私、婚約破棄するけどアンタはどうすんの? 」
エマリルダに突然そんな事を言われてしまって、私は困ってしまう。
何に困ったのかと言えば、それはどうするかなんてものはもう、
決まってしまっていたからだ。
私が彼女の言葉に逆らうなんて事が出来るはずはなかった。
いつだって彼女の側を腰巾着のように着いて回る私に、否定など出来る訳もない。
「うん、私もするよ? 」
だから私は彼女に賛同する。
いつだって私の答えは彼女で、彼女が私の全てなのだ。
「そ、じゃあ明日ね」
彼女は自分の家へ帰って行くのを私は見送ってから、漸く私も自宅へと向かった。
ここから焼く30分の間、私は婚約者の事を思う。
明日には彼は私の婚約者ではなくなってしまうのだ。
そんな彼の事を私は思い返して出て来たのは『楽しかった』という感情と、
きっと私にはもう彼の様な人とは出会う事は出来ないだろうという確信だった。
でもそれは仕方が無い事だと思う。
だって私だもの。
こんなどうしようもない私には彼は不釣り合いだ。
結局私はそう結論付ける事によってどうにか自分を納得させた。
*****
待ち合わせ場所には既に彼が居た。
いつだって彼は遅れてなんて来た事はなく、私がどんなに早く来たって彼が
待っていてくれたのだ。
「やあ。そちらは? 」
彼はいつものように爽やかな笑顔を私に向け、聞いて来た。
「友達のエマリルダだよ」
一緒に来た彼女を紹介した。
どうして彼女が一緒に来たのか?
それは当然、私が婚約破棄をするのを見守る為である。
「どうも、初めまして。僕は婚約者の」
「ああ、知ってる知ってる。そう言うのはいいから。ほら、アンタ。
言う事あるんでしょ? 早く言っちゃいなよ! 」
「え、もう? 」
エマリルダは私にすぐに婚約破棄をするように促して来る。
私はもっと落ち着いた場所でと思っていたが、彼女がそれを望んでいるのだ。
それを私が断る事はない。
「私との婚約を破棄してください」
どうにか私はその言葉を口に出す事が出来た。
切り出しさえすれば彼は受け入れてくれるはずだから、これで私は婚約破棄を
する事が出来ると思っていた。
「嫌だよ? 」
「え? 」
私は思っていたのと違う反応をする彼に驚く。
「僕は君との婚約を破棄するつもりはないと言ったんだ」
彼はただ冷静にそう私に言い聞かせる。
「何言ってんの? この子はアンタとの婚約を破棄するって言ってんの!
どうしてそれを分かってあげないのよ、アンタそれでも婚約者なの?
この子の事全然分かってあげれてないじゃない! そんなだからこの子もアンタ
と婚約破棄したいって言ってるのよ! 分かった? 分かったならさっさと了承
しなさいよ!」
エマリルダが捲し立てる。
「君には関係が無い話だ。黙っていてくれ。これは僕と彼女の問題なんだ。
部外者が口を出していい事じゃない。それくらい分かるだろ! 彼女の友達
なんだろ? 」
彼はいつもと違って強い口調でエマリルダに言い返しました。
「はあ? 何コイツ。キモイんですけど。さっさと婚約破棄しろよ! 」
「しないよ。僕は彼女を愛しているからね。彼女は僕の運命の相手なんだ。
そんな彼女を手放すような事をする訳ないだろ! 」
「プっ。ウケる。何それ? 運命だあ? 馬鹿なのアンタ? そんなのあるとか
思ってるなんて……ある訳ねぇだろうが、ばーか! 」
エマリルダは笑う。
彼女は運命なんて信じはしない。
「なあ、そうだよな? 」
でも私は
「あるよ。あるよエマリルダ。運命はあるんだよ! 私も彼の事を運命の相手だと
思ったもん。だからあるんだよ、運命は! 」
エマリルダに教えてあげるのだ。
私が、証明してみせよう。
「あ? 誰が私に言ってるの? アンタが私に口答えなんてしていいとでも思って
いるの? ねえ! 」
「だって私、エマリルダの友達だもん! 」
私がそう言った時、エマリルダの目が見開いた。
「違う! アンタなんか私の友達じゃない! 言う事を聞かないアンタなんか私は
いらない! もう勝手にすればいいわ! 運命なんてほざいていればいいのよ」
エマリルダは怒って行ってしまった。
でも私は必ず彼女に運命がある事を教えないといけないと思った。
それは彼女にとって必要な事だと思ったから、友達として。
「ごめんなさい。私、嘘をついていたわ」
「いいんだよそんな事。それよりも僕と結婚してくれるかい? 」
「ええ、もちろん」
こうして私達は結婚する事となった。
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