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しおりを挟む「この役立たずが! 」
「本当、アンタって無能よね! 」
「性格が悪い! 」
「どうしてそんなに我が儘なんだ! 」
「そんな事を言って恥ずかしくないのか! 」
散々な言われようですね。
これは私が家族から、否。元家族から言われた言葉の数々ですが、正直私には
どうしてこんな事を言われなけれいけないのかが全く持ってわかりません。
だって昨日まで普通に暮らしていたではありませんか!
そこまで仲が良かったとはいいませんが、それでも急にとち狂ったようにこんな
事を言われるような家族では無かったはずです。
「出て行きなさい!」
「追放だ! 」
でもそこまで言われては私も流石に我慢が出来なくなってしまいました。
「出て行ってやるわよこんな家! 」
こうして私は家を出ました。
ついでにこの街を出て旅人になることにしました。
*****
「ようこそイラントへ! 」
そして訪れた新しい街。
私は無事、街へ入る事を許された。
「すごいわね」
初めて知らぬ街へ来た私には全ての物がとても新鮮で目移りする。
街は活気に溢れていた。
「婚約破棄だ! 」
今まで私が見た事なんて無いものがあちこちにあって興味が尽きない。
私は今すごく興奮していた。
「婚約破棄です! 」
ここにはいろいろな場所の人や物が集まるのだろう。
誰一人として同じ人などいない。
「婚約を破棄する! 」
それにしても何だろう?
さっきからやたら同じフレーズが聞こえて来る。
「婚約破棄よ! 」
そう、婚約破棄。
一体どれだけ婚約破棄をするのだろう?
*****
婚約破棄婚約破棄、舌の根も乾かぬ内に婚約破棄。
寝ても覚めても婚約破棄。
私はこの街に来た事をすでに後悔していた。
この街は婚約破棄で溢れかえっていた。
そんなに婚約破棄をしてどうする?
そもそも婚約をするな!
私はくたくたになって街を出た。
「どうでしたか、楽しかったですか? 」
そんな事を聞かれた私は思った。
この街の人達はとち狂っている。
応援ありがとうございます!
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