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勇者編
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しおりを挟むマクベ大森林。
そこがどうやら俺達が目指すべき場所なのだという事が分かったが、ただ俺達は
そんな場所があるという事すら知らなかったのだ。
「こちら側は来た事が無かったからな。どうなっているのかなんてさっぱりだ」
確かにこちら側で魔物が出たとかいう話を聞いた事はない。
だから来た事がない訳ではあるのだが、でもこちら側にはこちら側の問題?
というのか特色というのかそういうものがあった。
ドラゴンの生息地なのだ。
例え下位種のドラゴンだとしても一般人が真面に戦えるものではない。
冒険者だとしても三人は必要となるだろう。まあ俺達だと話は違って来るのだが
そこは一般人に合わせた方がいいだろう。
「なんだアンタらここいらじゃ見ない顔だな」
酒場でそう声を掛けて来た男は俺達をジロリと見るとこういった。
「命が惜しいのなら、さっさと帰った方がいいぞ? 確かに魔石が手に入れば
一生遊んでくらせるだろうがそれは命あっての物種だ。腕に覚えがあるのかは
知らねえが、アンタらみたいのが帰って来た事なんて一度もねえ」
そして新しい情報が手に入った。
どうやらマクベ大森林では魔石が手に入るらしい。
まあ森の中で魔石なんてものが手に入るのかは眉唾ものではあるが、ドラゴンが
ため込んでいるとかそういう事なのだろうか? それならそれで対処の仕様が
あるし、俺達であれば何も問題はない。
「そうなのかい? じゃあ知っていたら教えて欲しいんだが、どんなドラゴンが
出るんだ? 前もって準備をしておきたいんだ」
「ドラゴンだ? 何を言ってるんだ。ドラゴンなんて問題じゃない、あそこには
鬼が出るんだよ。そんな事すら知らないのなら止めておけ、興味本位ってだけで
近づいていい場所じゃないんだよあそこは」
そう言うと男は行ってしまった。もう話す事はないという表情だった。
もっと情報が欲しい所ではあるがまあ新しい事が分かったのでいいだろう。
『鬼』そんな物の存在を俺達は聞いた事がない。ドラゴンなんて問題じゃないと
言うのだからそれはかなり強いという事なのだろうが、そんな生物がそうそう
居るとも思えない。
じゃあそれは魔物? 魔族の生き残り? そんな事が頭を過った。
それならば確かに納得出来る。
村が消失したという事に真実味が出てくるのだ。
魔族ならその程度は出来るだろう事は予想出来る、実際に戦った俺達なら
分かる事だった。
そうと分かれば状況は確実に変化する。
ちょっとしたお使い気分で始まったこの旅はそんな簡単なものではなく、お使い
気分なら確実に死ぬのだ。意識を変えなければならない、気を抜けばそれは死へ
と繋がるのだから。
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