もしもあの時、

菫川ヒイロ

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 結局は俺が間違っていたという事なのだろう。
 全てを失くしてから漸く俺はその事に気が付いたのだ。
 まったくもってダメな奴だった。
 
 
 そんな俺と今まで一緒に居てくれてた彼女を俺は捨てた。
 どうして自分が上手く行っているのかも理解していなかったから、
 上手く行くと思ってしまったんだ馬鹿な俺は。


 全ては彼女のおかげだった。
 その事に気が付かずに逆上せ上っていた。
 全部、自分の力だと過信していたから結局はこのざまである。
 
 
 俺の周りからは誰も居なくなった。
 
 
「何だこれ? ははは」


 乾いた笑いが空しく響く。
 
 
 もしもあの時、選択を間違わなければ俺の今は違っていたはずだ。
 もっと人に囲まれて、もっと幸福に包まれて、もっと輝かしい未来があったはず
 なのに……
 
 
「どうして婚約破棄なんてしたんだろう」


 後悔したってもう戻っては来ない。
 
 
 
 
 






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