少女abc

菫川ヒイロ

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「あ、あの」


 そう口にしたその瞬間に私は言う。
 
 
「無理。私、アンタの事嫌いだから」


 もう何度これを繰り返した事だろうか?
 いい加減に理解して欲しいが、それが理解出来ないのが男という生き物なのかも
 しれない。この下等生物が。
 
 
 だから嫌なのだ。
 こんな無駄な時間を過ごしたくないからこそ私は走っているのに、今日は運悪く
 捕まってしまったのだ。捕まってしまっては返事をするのが私のルールである。
 それはもちろん最速で返事をする訳だが……
 
 
 まあ、一般人にとっては私は特別に見えるのだろう。
 それはそうなるような行動を私が取っているという事だし、そういう自覚がない
 訳ではないから仕方が無い。そもそも私はパーフェクト美人だし。
 
 
 でもだからってどうしてこんな奴らにいちいち対応しなければいけないのか?
 っていう気持ちが大きいけれど、これも私のルールなので仕方がないのだ。
 まったくもって面倒なルールだがそれでも納得してやっている。
 
 
 そう考えると私にも責任があるのかもしれない。
 
 
 この対応の仕方が逆に男達に好評だという事実を知ってしまったのだ。
 分かっていて私に告白してくる下等生物どもを結果として喜ばせているのだから、
 何とも複雑な気分になる。一体、何が嬉しいんだ?
 
 
 いっその事、拳一つで終わらせる事も考えてみたが、それがまた流行ってしまう
 事だけは嫌なのでやらない。そんな世界では生きていける自信がない。
 触れる事すら私にはストレスなのだから私の判断は間違っていない、間違って
 いないはずだ。
 
 





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