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しおりを挟む「どうしてなんだい? どうして急にそんな事になるんだい? 」
彼には理解出来ないのだろう。
でもそれは何も悪い事じゃないのだ。
だってそれは彼が普通だという事なのだから。
「嫌になったのよ」
だから私は言う。
きっと理解はしてもらえなくても教えておいてあげるのが筋ってものだと
思うから。
「嫌って……僕の事がかい? 」
「いいえ、違うわ。全てよ。全てが嫌になったのよ」
「全て? 」
「そう、全て。毎日当たり前の様にすし詰めになって、理不尽に怒られて、
どうでもいい会話を長々と、気にしないでいい事を気にして生きて行くのが
馬鹿みたい思えてね。全部、嫌になったの」
「そうか、疲れていたんだね。ごめんね、気付いてあげられなくて。
でも婚約破棄はしなくてもいいんじゃないかな? 今はきっと休むべき時なんだ
とは思うけど、だからって婚約破棄は違うと思うよ」
彼はそんな言葉をくれるけど、見当違いだった。
「いいえ。違わないわ。だって私は全てが嫌になったのだもの。
貴方と一緒に居る事さえ嫌になったの。だから婚約破棄をする事は間違っては
いないの」
でも彼はまだ何か言いたげで、私には見当がついていた。
「ああ、あれでしょ? 貴方との婚約破棄が原因で私がおかしくなった適な事を
言われるのが嫌なのでしょ? でも大丈夫よ。そんなの気にしなければいい。
それに婚約破棄は私から言い出した事だからそんな事を言う人もそうそう居ない
と思うわ。貴方が嫌われていない限りは」
彼の心配は分からなくはない。
何を活力にしているかは人によって違うのだし、
そうしないと生きていけない人もいるのだろうからね。
どうしようも無い事ってあると思うのよ。
「まあ、そうだね。で、君はこれからどうするんだい? やって行けるのかい? 」
「どうなるのかなんて知らないわ。やって行けるのかも分からない。
でももう気にしてくれなくても大丈夫よ。だって私達はもう、何の関係も無い
他人になったんだから」
そう、もうどうだっていいのだ。
何もかもがどうでもいい。
嫌なのだ全てが。
これから、どうにもなりはしないし
やっても行けないだろう事は分かっている。
だから何だというのだろうか?
そうして私は終焉を迎える。
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