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しおりを挟む「もう、まったく。またなのメルシア? 一体、いつまでお祈りしているのよ」
私、メルシア=サローナはここ、ワルス女学院に通う信徒です。
そんな私には毎日の日課がありました。
それはこの女神像に祈りを捧げる事であります。
「グズグズしてたら遅れちゃうわよ? 遅れちゃマズいんじゃないの」
「はっ、そうでした! 」
学友のサバサに言われて私は思い出しました。
そうです、今日はこれから婚約者のモンゴールと会う約束があったのでした。
いけません、私はすっかりお祈りに夢中になってしまっておりました。
「ありがとうございます、サバサ。私、行ってまいりますわ! 」
私はサバサにお礼を言うと、全力でダッシュして待ち合わせ場所へと向かった。
「まったく、どうしてあの子は……。 女神様、どうかあの子に祝福を」
*****
「すみせん、遅れてしまいました」
結局、待ち合わせの時間に遅れてしまった私。
「ああ、遅刻だなメルシア。まったくお前と言う奴はどうしてそんなにも愚図
なのか? 俺を待たすなんてよく出来たものだな? 」
「ごめんなさい」
私はいくら彼に罵倒されようとも謝るのみです。
私には言い訳をするなんて事は許されていないのですから。
「はあ、またそれか。そうやって謝っていればいいと思っているんだろう
メルシア? 」
彼の家と私の家では格差があり、私がここで何かミスをすれば、それは我が家にも
影響が及ぶのです。だから私はただ、彼の言う通りに生きる事が全て。
これからもそうやって生きて行く、それが私の人生。
この世の中にはどうにも出来ない事があり、それは受け入れていかないといけず
どれだけ毎日祈りを捧げようとも何も変わりはしない
と思っていたのですが……
「ははは、もういいぞメルシア! お前とは今日でおさらばだ。
俺には運命の相手が見つかったからな! だからお前との婚約は破棄する。
俺はこれからこのヴィッラと生きて行くんだ! 」
私は最初、彼が言っている事が理解できませんでした。
運命の相手? 婚約破棄? 何を言っているんだと、まるで知らない言葉を話して いるんじゃないかと思ったくらいです。
でも、理解が出来た瞬間、力が急に抜けてしまって私は膝から崩れ落ちました。
「ははは、見ろよヴィッラ。この哀れな姿を! 残念だったなメルシア!
二度と俺の前に現れるなよ! 」
私にとって彼ともう会わなくていいという事ほど最高な事などこの世にあるだろう か?いや、無い。そんなものなどこの世には存在しないと言っていいほどの素晴ら しい事。毎日祈り続けて来た私の願いが今、叶ったのだ!
何て事だろう? ありがとう女神様! 嗚呼、嗚呼、こんなに嬉しい事はない!
そんな事を思っていた私の隣をヴィッラが通り過ぎる。
「邪魔よ! 」
ヴィッラの腕が当たり、私はよろけてしまうがそんな事などどうでもよかった。
「ありがとう! 」
私には彼女が女神様に見えていたからついそんな言葉が出てしまった。
「あんた何言っているの? 」
ヴィッラは私の反応に引っかかったらしいので、私は説明をする事にしたのだ。
だって彼女は私にとっての女神様なのだから。
「それはですね、貴女がとても慈悲深い方だからですよ。だってそうでしょ?
この男は大した能力がある訳でもなく、何かを成し遂げた訳でもない、ただ家柄だ けの男なのですよ。それなのにいつも自慢話をしてきて、他人の話なんて聞かない んです。ほんと、うんざりしますよ。話が長すぎるんですよね、同じ話を何度もす るし、ほんと最悪ですだから外で食事する時なんて大変ですよ? くちゃくちゃ、 口に物が入っているのに話を続けますし。私、あんなに恥ずかしい思いをしたのは 初めてでした。これがこれからも続くのだと思うともう……でもそれも今日までで す。貴女がアレを引き取ってくれるそうなので、本当にありがとうございます。
貴女はきっと礼なんていらないと言うのでしょうけど、言わせて下さい。私の気が すみませんもの。心からの感謝を貴女に」
私は感謝を気持ちを彼女に伝えるとその場を後にした。
*****
「聞いたわよメルシア。婚約破棄されたんですってね」
学院へ行くとさっそくサバサが私の元へとやってきた。
「ええ、そうなんです。私、今日からフリーなんです」
「じゃあさっそく行っときますか? 」
「ええ、もちろん出席させてもらいます」
こうして私はその日の放課後、近所にある王立学校の生徒との会合へと向かった。
応援ありがとうございます!
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こんなに破棄されて気の強いヒロインを初めてみました。
続きが楽しみです。
こんなことを言うのもなんですが、長いセリフになると改行に失敗しているように見受けられます。
訂正するとより読みやすくなると思います。
感想、ありがとうございます。
確かに改行が失敗しておりました、申し訳ありません。
自分でもまったく気づいていなかったので助かりました。
さっそく訂正の方、させて頂きました。
今後ともよろしくお願いします。