異世界転生したら何でも出来る天才だった。

桂木 鏡夜

文字の大きさ
14 / 48
2章 学園編

8話「素直な気持ち」

しおりを挟む
 あの後、ツルカズラの根と、散らばった魔石を持てるだけ、回収した。

 ベルが言うには、ツルカズラの魔石を原型のまま回収していれば、馬鹿でかい報酬になったそうだが、状況が状況なだけに壊す事になった為、価値が安くなるそうだ。

 だが、ツルカズラの根に関しては、かなりの高額になるそうだ。

 因みにあの馬鹿でかい図体から取れた根は1メートルにも満たなかった。

 希少価値も高そうだが、何故そんなに高額になるのか?とベルに尋ねると、「じ、自分で調べなさい!!」と、頬を引っ叩かれた。

 何故だ?

 その後すぐに、つるぎの木は発見され、カナール茸も簡単に入手する事ができ、俺達は王都へと帰還した。

  王都の門を潜り、先にツルカズラの荷物をギルドに受け渡しに行く事となったが、皆この王都出身ではない為、土地勘がないので、俺が担当した。

 ついでに、道中ニアの服を臨時用で買い、着てもらった。

 じゃないと行き交う人々の目線を浴びるからな。

 其処らの目のついた適当な店で買った服は、アラビアの踊り子の様な服で、ニアが着ると凄く様になり、可愛いかった。
 
 もう一度言う。可愛いすぎだ。

 これはこれで、皆に見られるかもしれない。

 そして、ギルドの前に着くと、皆が「おぉ。」と感嘆の声を漏らす。

 俺は元々この場所で生まれ育ったから知らなかったのだが、この王都のギルドは、他の街と比べ大きく、そしてデザイン性が高いそうだ。

 他の街だと、普通の一軒家より少し大きな建物で、中は酒場と繋がっているらしい。

 そういえば確かに外観がアテネのアクロなんたら、って奴に似ているし、大きさもある。

 あまりにも興味が無くて、気にも止めなかったな。

 中に入ると、ギルド内は綺麗に清掃されていて役所の用にも見えた。

 そして、受付と書かれた看板を目印に受付へと向かった。

「初めまして、受付担当のアニス・クリスティンです。以後お見知り置きを。」

 黒髪のロングに赤淵のメガネをかけた大人で如何にも仕事ができそうな綺麗な受付嬢がアタマをさげる。

「今回はどの様なご用件で?」

 「依頼の報告と、物資の買取をお願いします。」

「かしこまりました。では先に依頼の品を拝見いたします。」

 俺達は依頼の紙とカナール茸を提出すると、その依頼の報酬額を受け渡された。

 そして、次にツルカズラの魔石とツルカズラの根を提出すると、急に受付のアニスさんが目の色を変え、過剰に反応する。

「これはツルカズラの根ですか?!!!」

 思わず俺達はその反応にビクつき、後退するが、話を続ける。

「は、はい。買い取って頂けますか?」

 俺が引き気味に問いかけると「是非!!むしろ私が買います!」と、これ又大きな声の二つ返事だった。

 何だかアニスさんの目が血走っていて怖い。

 いったい何なのツルカズラの根とは?

 こうして、俺達は依頼の報酬と、ツルカズラの報酬(アニスさんから)を受け取ることができた。

 ちなみにこの世界での通貨は

銅貨 100円
大銅貨 千円
銀貨 五千円
大銀貨 一万円
金貨 10万円
大金貨 100万円
白金貨 1000万円
大白金貨 一億円

 と、こんな感じで依頼の報酬額は大銀貨3枚。なので、三万円程で6人だと1人五千円が正確な報酬額となる。

 そして魔石とツルカズラの根だが、魔石だけでも依頼の報酬額より大銀貨一枚多く、ツルカズラの根に限っては金貨一枚で売れた。

 これの山分けは無理なので1人大銀貨一枚銀貨一枚で分けた。
 そして残りは俺とベルが一番頑張ったからと言って俺とベルで分ける事となった。

 後、さすがゴールド〔+〕ランクの魔物だっただけに俺達はいきなりシルバーランクに格上げされる事となり、プレートがブロンズからシルバープレートへと変わった。

 ツルカズラはそれ程強敵の魔物だったという事だろう。

 それから俺達は学園へと戻ると、その時には丁度、日が傾きかけていた。

 「先生、終わりました!」

 学園内の職員室に赴き、テーブル前に腰掛けるガルシアム先生に話しかける。

「おう、帰ったか。どうだった?初の任務は。」

 何も知らぬ先生は呑気な事だ。

 今迄の出来事をガルシアム先生に伝えた。

「ツルカズラ!!?なんでそんな魔物が彼処に!?で、お前ら倒しちまったのか!?」

 腰掛けていたガルシアム先生は余りの驚きに立ち上がり、声を大きくし驚きの表情を作る。

「かかかか!先生のその驚き様ナイスだな!おうよ!倒したぜ!まぁアルスとベルがいなきゃ今頃どうなってたか分かんねぇけどな。」

 ガルフは踏ん反り返りつつも謙虚に俺とベルを立てる。

 ガルフはこの短期間だけど、すごくいい奴だ。

 だが、あの時ガルフの一押しの声が無ければ俺もどうなっていたか分からない。

「ガルフ。俺はお前が居てくれたから、皆が居てくれたから、あの時あの行動ができたんだと思う。ありがとう。」

 ガルフは俺の発言に一瞬キョトンとした表情を浮かべると、視線をそらした。

 皆も少し頬を赤めなんとも言えない表情を浮かべる。

 あれ?俺何かマズったか?

「お、おう!ってか、いきなりそんな恥ずかしい事言ってくんなよ!」

 なんだ?俺そんな恥ずかしい事を言っただろうか?

 俺が困惑していると、ドンっ、とニアが俺に飛びついてきた。

「アルはやっぱりいい男だよぉ!」

「はい?」

  俺はさらに困惑の表情を浮かべると、ガルシアム先生が俺の頭に手を置く。

「今年は楽しい一年になりそうだ。」

 そう言ってガルシアム先生は笑顔を作るのだった。


 後から分かった事だが、ツルカズラの根の事が気になり調べた所。

 一日絶倫の効果をもたらすものだった。

 ってことはアニスさんは何に使うつもりだったのか‥。


===========================

しおりを挟む
感想 90

あなたにおすすめの小説

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

神様の忘れ物

mizuno sei
ファンタジー
 仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。  わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明

まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。 そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。 その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。

俺、何しに異世界に来たんだっけ?

右足の指
ファンタジー
「目的?チートスキル?…なんだっけ。」 主人公は、転生の儀に見事に失敗し、爆散した。 気づいた時には見知らぬ部屋、見知らぬ空間。その中で佇む、美しい自称女神の女の子…。 「あなたに、お願いがあります。どうか…」 そして体は宙に浮き、見知らぬ方陣へと消え去っていく…かに思えたその瞬間、空間内をとてつもない警報音が鳴り響く。周りにいた羽の生えた天使さんが騒ぎたて、なんだかポカーンとしている自称女神、その中で突然と身体がグチャグチャになりながらゆっくり方陣に吸い込まれていく主人公…そして女神は確信し、呟いた。 「やべ…失敗した。」 女神から託された壮大な目的、授けられたチートスキルの数々…その全てを忘れた主人公の壮大な冒険(?)が今始まる…!

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

スライムに転生した俺はユニークスキル【強奪】で全てを奪う

シャルねる
ファンタジー
主人公は気がつくと、目も鼻も口も、体までもが無くなっていた。 当然そのことに気がついた主人公に言葉には言い表せない恐怖と絶望が襲うが、涙すら出ることは無かった。 そうして恐怖と絶望に頭がおかしくなりそうだったが、主人公は感覚的に自分の体に何かが当たったことに気がついた。 その瞬間、謎の声が頭の中に鳴り響いた。

処理中です...