異世界転生したら何でも出来る天才だった。

桂木 鏡夜

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2章 学園編

19話「神経衰弱」

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少し遡る。
アル視点です。

===== ====== ====== ======

「ただいまぁ。」

「おかえり。」

 クライス兄さんが帰ってきて、俺は出迎えた。
 
 クライス兄さんはなんだか浮かない表情を浮かべていた。

「あぁ。今日【荒地の荒野】にいったんだけど‥、って、!?」

 クライス兄さんは話しながら俺の方へと顔をむけた途端、目が点になる。

「おぉ!アルス様の兄上か!私はイフリートだ!今日から世話になるので宜しく頼む!」

「私も今日から此処に住むことになっちゃいました。改めましてニアです。」

「えぇぇ~!!!!」


〇〇〇〇。

 食事時。

「ちょっと母さん!幾ら何でもご両親の許可無しにコレはマズイのでは?」

「そうね。けどニアちゃんはご両親の許可無くても許してもらえるそうだし、イフちゃんに限っては、アルの召喚で出てきちゃった子らしいし。」

「そんな。ってかイフリートは召喚獣なの!?」

「うむ。もぐもぐ。そうだ。いかにも私は大精霊イフリートである。もぐもぐ、ごっくん。母上の料理は実に美味てある!!」

「まぁ、可愛い子ね。どんどんお食べ。」

「あ!ちょっとイフちゃん。それ私のだよ!」

「ん?そうだったか?すまぬ。んべ」

「コラ!口に入れた物を出すんじゃない!!」

「もー!!お母さん!イフちゃんが私の分とったぁー!」

 顔をプンプンに膨らますニア。

「はいはい。そんなに怒らなくてもここにあるさね。」

「わーい。」

 ワイワイガヤガヤする食卓を見て苦笑いするクライス兄さん。

「とても大精霊には見えない。」

  そんな中、カルマ兄さんは食事を終え食器を下げると、静かにリビングから出ようとする。

「カルマ、もういいのかい?」

 クライス兄さんがカルマ兄さんを気にかけ、話しかける。

「あぁ、腹一杯だわ。それに今日は疲れてっから先に寝る。」

 そう言ってカルマ兄さんは自分の寝室へと向かった。

 カルマ兄さん。あのサーベルリザード以来様子が変だ。何か思う事があるのだろうか?

 そんな事を考えていると、クライス兄さんがふと思いだしたかのように棚から小さな袋を取り出し俺にてわたした。

「なんだい?」

「これは、サーベルリザードを換金したお金だよ。全部で金貨4枚に大銀貨2枚。」

「えっ!?そんなに?」

 思わず驚きの表情をみせる俺。

「結構な数だったからね。4人で割ってそれぐらいかな。あっ、其処にニアちゃんの分も入ってるからね。」

 クライス兄さんはニアに微笑みかける。

「ありがとうございます。このお金は全てアルとの愛の巣作りの為に大切に保管します。」

 今サラッと爆弾発言でたな!っつか俺の金も回収かよ!!

 「愛の巣とは何だ?」

 イフリートがその言葉の意味を知りたがると、母さんが手招きし、イフリートに耳打ちする。

「ほう、‥なんと!!?そのような!ほぉ」

「わかった?」

 母さんはウィンクして親指を立てる。

「実に勉強になった!これからもご教授のほどお願いいたす!」

 ガシっと手を取り合うイフリートと母さん。

 母さんいったい何を吹き込んだ?。

「そうだ、母さん。僕、明日から連休でザナール港に行く予定が出来たから二、三日留守になるから。」

「ザナール港?何かあったのかい?」

 クライス兄さんは少し暗い表情を見せたが、直ぐに表情を戻し笑顔をみせた。

「うん。ちょっとね。」

 何かあったんだな、きっと。

 
〇〇〇〇。

寝室。

 「おお!このベットとやらはなかなか弾んで愉快だ!」

 ボイン!ボイン!とイフリートが飛び跳ねる度に大きな双丘が乱れ飛ぶ。

「イフちゃん!そこは寝る所だよ!飛び跳ねちゃダメなんだから。」

「なに?そうなのか!」

 ニアがどんどんお姉ちゃんに見えてきたよ。

 ってか烏滸おこがましいかもしれないけど、ニアはイフリートがいる事が嫌とかそう言った感情はないのかな?

「なんか、一緒の部屋で寝る事になっちゃったね。」

「全然。むしろアルと一緒に入れる時間が増えて私はとっても嬉しいよ。」

 ニアはそっと俺の肩に頭を置いた。

 なんて可愛い子なんだ。今直ぐ抱きしめてあげたくなる。

 だが、今は感情を抑えると、不意に我に帰ったかのようにイフリートが俺に問いかける。

「なぁ、アルス様。」

「ん?何?ってかアルでいいよ。」

「じゃあアル。」

 極端だな。まぁいいけど。

「これはなんだ?」

 「あぁそれは‥。」

 イフリートが俺の棚から取り出したのは、俺が引きこもってる時に余りにも暇だった為に型紙から作ったトランプだった。

 「これはトランプといって、ゲームをする為のモノだよ。」

「「ゲーム?」」

 2人とも首をかしげる。

 イフリートは兎も角、ニアも首を傾げたのは他でもない。この世界には道楽というものが、ほぼ存在しないのだ。

 その為、ゲームと言う言葉に馴染みがないのだ。

 俺はトランプゲームで覚えやすそうな神経衰弱を教えて、ゲームをする事となった。

「あ、アル、そこは‥ダメ、ダメ、あぁぁあ~!!」

「はい!また俺の勝ちい!」

「なぁぁぁぁ!!何故勝てぬ!アルもう一回!」

「ねぇ、アルぅ。もう一回、もう一回だけ。」

 「えぇ~また?」

「やったぁ。早く早く!」

 若干、人が聞けば変な誤解を招きそうな、発言はおいといて、結局朝方まで付き合わされた。

 余計な物を教えてしまったかもしれない。暫くは神経衰弱とは縁を切りたいものだ。

 翌日、イフリートも学校に行きたいと駄々をこねたので、一緒に学校へいく事となり3人で家を出た。

 カルマ兄さんは今日も朝早くから出たそうだ。

 カルマ兄さんホントにどうしたんだろう?

「ねぇアル。学園の皆んなとも神経衰弱やろうよ。」

 え?

 俺にが頬を引きつらせたのは言うまでもないだろう。

 これぞまさに神経衰弱。

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