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第7章
12.やっぱり起きていた
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◆◆◆
『へえ、アマーリエとパパさんたちの祖先が起きて活動しているかもしれないんだ。ランドルフとルルアージュは夢を見たと言っている?』
「二人は何も見なかったそうです。神罰に選ばれた末裔だけが感応したのではないでしょうか」
他の聖威師たちに念話で概要を説明すると、心配したリーリアとフロースが訪問してくれた。ランドルフたちも気にしてはいたが、彼らは相変わらず祖神巡り中で時間が取れないようだ。
「アリステル様から相談を受けた葬邪神様が、ラミルファ様と疫神様と共にレシスの祖先が眠る領域へ行って下さることになりました。中には入れずとも、門の前から気配を探ってみるとのことです」
『葬邪神様はレシスの祖を知っているんだろう。何か分かると良いね』
フレイム特製の水出しアイスティーを飲みながら、フロースが言った。よく冷やされたグラスには、水晶の欠片のように細かく刻んだ氷と、蜂蜜漬けレモンの薄切りが浮かんでいる。
『だな。祖と直接面識がない俺が行くより、同じ悪神や顔見知りが行った方が感じ取りやすいと思って任せたんだ』
フレイムが首肯した。仲良し悪神三兄弟の中で、祖先の少女と直に会ったことがあるのは葬邪神のみだという。疫神は一億年前から眠っており、ラミルファは少女が入眠してから顕現した。後は狼神、ブレイズ、ルファリオンなど眠っていなかった古き神々も知っているという。
「もし覚醒が感知できればコンタクトを試みると――」
説明を続けようとしたアマーリエの脳裏に、切迫した声が響いた。
《聞こえるか、緊急連絡だ》
アリステルからだ。滅多に感情の起伏を見せない声音に、今は焦燥が滲んでいた。それだけで嫌な予感がむくむくと湧き上がる。
《はい、聞こえています。どうかなさいましたか?》
《父上方がご確認下さった結果、やはりレシスの祖は覚醒していた》
《ラミ様方にお願いし、念話で呼びかけていただいたところ、先方は素直に応答して下さいました。問題はこの後です。……私たちの祖はこう仰せになったそうです。天界を放浪していた迷い子を二匹見初めたと》
アマーリエの背筋がゾッと粟立った。天界の迷い子二匹。それはもしかしなくとも――
瞬く間に顔色を失っていく様を見て、何かあったと察したリーリアたちが息を詰めて様子を窺っている。
シトシトと降り注ぐ霧雨のように静かな声音で、フルードが告げた。
《落ち着いて聞いて下さい、アマーリエ。レシスの祖にして初代奇跡の聖威師、イデナウアー・ハーティ・レシス様が眠りより覚醒され、神官エアニーヌと神官慧音を愛し子に選ばれました。同胞顕現の報を聞いても歓喜が湧かない状況を鑑みるに、奇跡の聖威師ではなく生き餌の方だと思われます》
正真正銘の神の寵児が誕生したならば、それを知った神々の魂は慶事の喜びに弾むはずだ。だが、何も感じない。それすなわち、エアニーヌと慧音は本当の意味での愛し子ではないということだ。
反射的にソファから立ち上がったアマーリエを、フレイムが支えてくれる。
『どうしたユフィー』
「フレイム……今、念話が来ているの。フルード様とアリステル様からよ。エアニーヌと慧音が――!」
他の聖威師たちに念話網を展開して速報を伝えながら、アマーリエは動揺を抑えつつ山吹色の眼を見つめた。
『へえ、アマーリエとパパさんたちの祖先が起きて活動しているかもしれないんだ。ランドルフとルルアージュは夢を見たと言っている?』
「二人は何も見なかったそうです。神罰に選ばれた末裔だけが感応したのではないでしょうか」
他の聖威師たちに念話で概要を説明すると、心配したリーリアとフロースが訪問してくれた。ランドルフたちも気にしてはいたが、彼らは相変わらず祖神巡り中で時間が取れないようだ。
「アリステル様から相談を受けた葬邪神様が、ラミルファ様と疫神様と共にレシスの祖先が眠る領域へ行って下さることになりました。中には入れずとも、門の前から気配を探ってみるとのことです」
『葬邪神様はレシスの祖を知っているんだろう。何か分かると良いね』
フレイム特製の水出しアイスティーを飲みながら、フロースが言った。よく冷やされたグラスには、水晶の欠片のように細かく刻んだ氷と、蜂蜜漬けレモンの薄切りが浮かんでいる。
『だな。祖と直接面識がない俺が行くより、同じ悪神や顔見知りが行った方が感じ取りやすいと思って任せたんだ』
フレイムが首肯した。仲良し悪神三兄弟の中で、祖先の少女と直に会ったことがあるのは葬邪神のみだという。疫神は一億年前から眠っており、ラミルファは少女が入眠してから顕現した。後は狼神、ブレイズ、ルファリオンなど眠っていなかった古き神々も知っているという。
「もし覚醒が感知できればコンタクトを試みると――」
説明を続けようとしたアマーリエの脳裏に、切迫した声が響いた。
《聞こえるか、緊急連絡だ》
アリステルからだ。滅多に感情の起伏を見せない声音に、今は焦燥が滲んでいた。それだけで嫌な予感がむくむくと湧き上がる。
《はい、聞こえています。どうかなさいましたか?》
《父上方がご確認下さった結果、やはりレシスの祖は覚醒していた》
《ラミ様方にお願いし、念話で呼びかけていただいたところ、先方は素直に応答して下さいました。問題はこの後です。……私たちの祖はこう仰せになったそうです。天界を放浪していた迷い子を二匹見初めたと》
アマーリエの背筋がゾッと粟立った。天界の迷い子二匹。それはもしかしなくとも――
瞬く間に顔色を失っていく様を見て、何かあったと察したリーリアたちが息を詰めて様子を窺っている。
シトシトと降り注ぐ霧雨のように静かな声音で、フルードが告げた。
《落ち着いて聞いて下さい、アマーリエ。レシスの祖にして初代奇跡の聖威師、イデナウアー・ハーティ・レシス様が眠りより覚醒され、神官エアニーヌと神官慧音を愛し子に選ばれました。同胞顕現の報を聞いても歓喜が湧かない状況を鑑みるに、奇跡の聖威師ではなく生き餌の方だと思われます》
正真正銘の神の寵児が誕生したならば、それを知った神々の魂は慶事の喜びに弾むはずだ。だが、何も感じない。それすなわち、エアニーヌと慧音は本当の意味での愛し子ではないということだ。
反射的にソファから立ち上がったアマーリエを、フレイムが支えてくれる。
『どうしたユフィー』
「フレイム……今、念話が来ているの。フルード様とアリステル様からよ。エアニーヌと慧音が――!」
他の聖威師たちに念話網を展開して速報を伝えながら、アマーリエは動揺を抑えつつ山吹色の眼を見つめた。
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