神様に嫌われた神官でしたが、高位神に愛されました

土広真丘

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第7章

44.古き神は我が強い

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 隣に佇むアリステルを申し訳なさそうに見遣り、三角の頭をちょんと下げる毒の神。アリステルは首を横に振った。

『既に詫びをいただいておりますので、これ以上は結構です』
『アイとセラに説明され、己の早とちりに気付いてのう。慌ててこの子がいる所に向かったのじゃ。清縁神にも詫びを言わせておくれ。申し訳なかった』
『フウ様、何かなさったのですか?』
『覚醒したワシじゃが、すぐに活動する気分にはなれんでのう。少しの間、自領でゴロゴロしておったのじゃ』

 この巨体でゴロゴロしたら、色々と大変そうである。もしや狼神の神域のように、部屋や内装が広大なのだろうか。

『その内、愛し子は何をしておるかと気になり、そっとハーティの領域の様子を窺ってみた。ワシが寝入る前、この子も眠いと言うておったからのう、寝ておるやもしれんと思うたのじゃ』

 他神の領域を勝手に覗き見ることは非礼に当たるが、主神と愛し子やそれに類する関係であれば、あらかじめ神域の一部を視て良いと承諾を出している場合もある。イデナウアーもそうだったという。

『その時はちょうど私たちが来訪し、イデナウアー様と対面していた。私とお前は、エアニーヌたちを解放してもらえないかと試行錯誤しながら話していただろう。それをご覧になられた毒神様は、私とお前がイデナウアー様の生き餌を狙っていると思い違いなされたそうだ』

 続きを引き取ったのはアリステルだ。フルードに説明する形で言葉を述べる。自分たちがエアニーヌと慧音を愛し子にしたいがために、イデナウアーに彼らとの誓約を撤回してもらいたがっていると思ったらしい。

『我が愛し子が見初めた者共を横取りしようとしておると早合点してしもうてのう、少しばかり、こりゃ~と注意したつもりじゃった』

 フレイムや狼神の領域は覗き見れないため、アマーリエたちと話していた内容までは把握していなかったという。天界の共有領域を見張っておき、アリステルとフルードの安全が絶対に確保されている状況の時に、十二分に手加減して神威を喰らわせた。感覚としては、軽~く頭をペチコンとした程度だったらしい。

『まあ、フウ様ったら駄目じゃないですか。相変わらずひと合点がてんなんですから。ボクからも謝るよ、ごめんね我が裔たち』

 眉を下げたイデナウアーが、主神と並んでフルードとアリステルに頭を下げた。そして、フレイムとラミルファにも謝罪する。

『誤認が解けたのであればそれで構いません。多分に加減をいただいておりましたし、私もアリステルもすぐに回復しましたので』

 フルードが苦笑いしながら答礼する。彼の性格では、それしか言いようがないだろう。フレイムとラミルファも仕方ないと言いたげに頷く。

『あなたが全く本気ではなかったことは分かっていますから、今回はこれで終わりにしますが、以後はお気を付けを』
『俺らもビックリしたんですからね、マジで頼みますよ』

 穏便に返す裏で、毒神とイデナウアー、もちろんエアニーヌと慧音も抜いた念話網を展開し、こっそり愚痴る。

《魔神様といい二の兄上といい毒神様といい……どうして太古の神は、当事者への確認も周囲への相談もせず、ゴーイングマイウェイで突っ走るのだろう》
《遊運命神様と戦神様、闘神様もだぜ。ま、あの三神は神官から嘘の奏上を受けたのが発端だから、また別かもだが……こっちの反論を全然聞かねえってトコは同じだな》
《古き神は神威を抑えずに在った期間が長いから、色々な意味で我が強いらしいよ。自分が真理で真実みたいな意識が、私たち若神より大きいんだって》

 ラミルファとフレイムのボヤきに、フロースが冷静に返した。聞いていた全員の溜め息が見事に重なる。

 一方、殊勝な顔を向けていた毒神は、この話は済んだとばかりにケロリとした顔になり、イデナウアーに甘やかな眼差しを向ける。

『それにしても、ハーティはワシが入れてやった人間共を見初めたのじゃな。どうじゃ、この玩具は? 愉しめそうであるかえ?』

 何でもないようにポンと投げ落とされた言葉。寸の間沈黙が流れ、フレイムがクワッと目を剥いた。

『ちょ、今何て言いました? まさか、コイツらを天界に引き入れたのはあなたなんですか?』
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