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第7章
46.聖獣たちへのお願い
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《――ラモス、ディモス!》
茫洋とした目で佇んでいたアマーリエは、ハッと意識を引き戻した。事態が動く予感に、弛緩しかけていた気持ちが引き締まる。
《待っていたのよ! どうだったの?》
《はい、ご主人様。結果と顛末は――》
ディモスが話し始めた。ラモスも交えながら語られる言葉をフンフンと聞いていたアマーリエは、内心で快哉を上げる。
(よし、上手くいったわ!)
《本当にありがとう、これで最悪は免れるかもしれないわ》
《主の役に立てたなら良かった》
《他にもできることがあれば動きます。いつでも連絡を下さい》
《ええ、あなたたちがいてくれてとても助かっているわ。少し待っていて、今から神々にお話をするわ。私が合図をしたら例のモノを転送してくれる?》
聖獣たちを労ったアマーリエは、息を吸い込んで肉声を発した。
「大神様のご歓談中にご無礼をいたします。ただ今、我が聖獣たちより連絡がございました。この場でご報告させていただきたく思うのですが、よろしいでしょうか?」
放った言葉に、ざっと注目が集まる。いち早く反応したのは、やはりというべきか夫だった。
『おっ、アイツら調べてくれたのか』
『さすがは忠義者たちだ、仕事が早いね』
「ええ、上手くやってくれました」
フレイムとラミルファが頷き、事前に説明しておいたフルードやランドルフたちも、期待を込めた視線を送って来る。山吹色の瞳が毒神とイデナウアー、そして花神に向けられた。この三神は事情を知らないので、説明するつもりなのだろう。
『イデナウアーの心配事を解決するために、こっちで調査してたんですよ。レシスの子孫に神罰が継がれて苦しんでいないか、不幸の神器に転じた元幸福の神器が継承されていないか。懸念は大きく分けてこの二点だと聞きました』
『ふふ、僕から伝えさせてもらったよ。すまないねイデナウアー』
『構いませんよ。口外しないようにというお願いはしておりませんでしたもの。お話ししたからには、我が裔を始め必要な者たちに共有されると想定しておりました』
葬邪神、疫神、ラミルファに話した時点で、彼ら経由で他の者たちに情報が流れるのは必至。神でなくとも予想は付くことだ。
『今、新米聖威師のチビ5名が地上番をしてます。務めに慣れてもらうために、一時昇天中の地上番はチビたちにメインでやってもらうことになったらしいんで。ユフィーの聖獣たちは、保護者兼連絡役でチビたちに付いてます』
『例の獅子たちですね。先ほど泡神様から少しだけお聞きしました』
応じたのは花神だった。無数のパステル色を瞬かせる桃と緑、二色の瞳を注がれたフロースが首肯する。
『本当に軽い説明ですが。名前はラモスとディモス。元々は獅子型の霊獣で、アマーリエに仕えていた。そこを焔神様に見出されて火神様の神使になり、アマーリエに対する忠義の篤さを認めた高位神複数から要請が出て、正式な神格を得た。現在は火神様の従神がアマーリエ付きに出向しているという立場でアマーリエの従神にもなり、その指示で新しい聖威師たちの補佐をして地上にいる。……このような感じです』
一度説明したはずの内容をわざわざここで繰り返したのは、おそらく毒神とイデナウアーにも聞いてもらうためだ。その証拠に、白に近い灰色の眼差しは、フレイムでも花神でもなく大蛇の方に向けられている。
『ちなみに、要請書を書いたのは泡神様と波神様、そして僕です。邪神の神威にも怯まずにアマーリエを守った勇敢な獅子たちなのですよ』
さりげなく補足したラミルファは、ラモスとディモスには火神とアマーリエだけでなく、自分たちも付いていると暗に告げている。火神の従神という立場があるとはいえ、色持ちでもなく、神の愛し子ではないために主神も持たず、正式な神格を得てから年月が浅く、生粋の神でもない聖獣たちは、神としては基盤が弱い。それをフォローしてくれようとしている。
『それはそれは。その子たちと見えるのが楽しみじゃ。地上にいるのであればすぐには無理かのう。じゃが遠くない内に会えるじゃろう』
鋭利な目をキュッと細め、巨大な蛇が笑う。アマーリエも微笑みを返して続けた。
「有り難きお言葉、恐悦にございます。我が祖がご案じ召されております事項につきまして、こちらで調査及び対処に動いておりました。ただ今連絡がごさいましたので、この場にてご報告させていただきたく」
再度繰り返し、視線で毒神とイデナウアーに許可を求める。自分たちがいるこの神域の主はイデナウアーであり、この場で最も神格が高い神の一柱にしてイデナウアーの主神であるのが毒神だからだ。
『良いよ~、聞かせて』
『どんな内容であったのじゃ?』
二神が快諾してくれたので、アマーリエは安堵しながら口を開く。
(お願い、これで少しでも良い方に動いて――)
「私は地上にいる聖獣たちに依頼し、レシスの子孫に不幸の神器が継承されていないか調査してもらっていました」
茫洋とした目で佇んでいたアマーリエは、ハッと意識を引き戻した。事態が動く予感に、弛緩しかけていた気持ちが引き締まる。
《待っていたのよ! どうだったの?》
《はい、ご主人様。結果と顛末は――》
ディモスが話し始めた。ラモスも交えながら語られる言葉をフンフンと聞いていたアマーリエは、内心で快哉を上げる。
(よし、上手くいったわ!)
《本当にありがとう、これで最悪は免れるかもしれないわ》
《主の役に立てたなら良かった》
《他にもできることがあれば動きます。いつでも連絡を下さい》
《ええ、あなたたちがいてくれてとても助かっているわ。少し待っていて、今から神々にお話をするわ。私が合図をしたら例のモノを転送してくれる?》
聖獣たちを労ったアマーリエは、息を吸い込んで肉声を発した。
「大神様のご歓談中にご無礼をいたします。ただ今、我が聖獣たちより連絡がございました。この場でご報告させていただきたく思うのですが、よろしいでしょうか?」
放った言葉に、ざっと注目が集まる。いち早く反応したのは、やはりというべきか夫だった。
『おっ、アイツら調べてくれたのか』
『さすがは忠義者たちだ、仕事が早いね』
「ええ、上手くやってくれました」
フレイムとラミルファが頷き、事前に説明しておいたフルードやランドルフたちも、期待を込めた視線を送って来る。山吹色の瞳が毒神とイデナウアー、そして花神に向けられた。この三神は事情を知らないので、説明するつもりなのだろう。
『イデナウアーの心配事を解決するために、こっちで調査してたんですよ。レシスの子孫に神罰が継がれて苦しんでいないか、不幸の神器に転じた元幸福の神器が継承されていないか。懸念は大きく分けてこの二点だと聞きました』
『ふふ、僕から伝えさせてもらったよ。すまないねイデナウアー』
『構いませんよ。口外しないようにというお願いはしておりませんでしたもの。お話ししたからには、我が裔を始め必要な者たちに共有されると想定しておりました』
葬邪神、疫神、ラミルファに話した時点で、彼ら経由で他の者たちに情報が流れるのは必至。神でなくとも予想は付くことだ。
『今、新米聖威師のチビ5名が地上番をしてます。務めに慣れてもらうために、一時昇天中の地上番はチビたちにメインでやってもらうことになったらしいんで。ユフィーの聖獣たちは、保護者兼連絡役でチビたちに付いてます』
『例の獅子たちですね。先ほど泡神様から少しだけお聞きしました』
応じたのは花神だった。無数のパステル色を瞬かせる桃と緑、二色の瞳を注がれたフロースが首肯する。
『本当に軽い説明ですが。名前はラモスとディモス。元々は獅子型の霊獣で、アマーリエに仕えていた。そこを焔神様に見出されて火神様の神使になり、アマーリエに対する忠義の篤さを認めた高位神複数から要請が出て、正式な神格を得た。現在は火神様の従神がアマーリエ付きに出向しているという立場でアマーリエの従神にもなり、その指示で新しい聖威師たちの補佐をして地上にいる。……このような感じです』
一度説明したはずの内容をわざわざここで繰り返したのは、おそらく毒神とイデナウアーにも聞いてもらうためだ。その証拠に、白に近い灰色の眼差しは、フレイムでも花神でもなく大蛇の方に向けられている。
『ちなみに、要請書を書いたのは泡神様と波神様、そして僕です。邪神の神威にも怯まずにアマーリエを守った勇敢な獅子たちなのですよ』
さりげなく補足したラミルファは、ラモスとディモスには火神とアマーリエだけでなく、自分たちも付いていると暗に告げている。火神の従神という立場があるとはいえ、色持ちでもなく、神の愛し子ではないために主神も持たず、正式な神格を得てから年月が浅く、生粋の神でもない聖獣たちは、神としては基盤が弱い。それをフォローしてくれようとしている。
『それはそれは。その子たちと見えるのが楽しみじゃ。地上にいるのであればすぐには無理かのう。じゃが遠くない内に会えるじゃろう』
鋭利な目をキュッと細め、巨大な蛇が笑う。アマーリエも微笑みを返して続けた。
「有り難きお言葉、恐悦にございます。我が祖がご案じ召されております事項につきまして、こちらで調査及び対処に動いておりました。ただ今連絡がごさいましたので、この場にてご報告させていただきたく」
再度繰り返し、視線で毒神とイデナウアーに許可を求める。自分たちがいるこの神域の主はイデナウアーであり、この場で最も神格が高い神の一柱にしてイデナウアーの主神であるのが毒神だからだ。
『良いよ~、聞かせて』
『どんな内容であったのじゃ?』
二神が快諾してくれたので、アマーリエは安堵しながら口を開く。
(お願い、これで少しでも良い方に動いて――)
「私は地上にいる聖獣たちに依頼し、レシスの子孫に不幸の神器が継承されていないか調査してもらっていました」
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