神様に嫌われた神官でしたが、高位神に愛されました

土広真丘

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第7章

65.遊運命神の感知①

『そうだね。……ねぇ、シュナ。話変わる、良い?』

 キュルルンと瞳を回し、疫神は同胞を見た。悠久の昔から、この神とは幾度となく自分の遊び相手になってくれた。手合わせや模擬戦ではなく、遊戯という方法でだが。どの遊戯もとても面白かった。

『何かな、ディス様』
『アリステル、フルード、それにアマーリエのこと。皆、シュナに会いたがってた。――シュナ、引き籠もる、わざと?』
『やはりお察しか。あの子たちが私と会わぬよう、いや、会えぬよう、身を潜めておった』
『ふ~ん。やっぱり。我、何となくおかしい、思ってた。多分、アレクとかハルアとか、古い神たちも』

 ブレイズやルファリオン、魔神などを始めとする最古神たちは、確証はなくとも朧げに察していただろう。遊運命神は元からインドア気質ではあるが、今回に関しては意図的にやっているのではないかと。

『何で、そうした?』
『会ってしまえば、あるいは念話を受けてしまえば、はっきりと依頼されてしまう。レシスの血に刻んだ神罰を消して欲しいと』
『雛たちの立場、当然。今も解決してるけど、根本から消してもらう、一番』
『次期尚早だ』

 端的に答えた遊運命神に、幼い姿の神がコテッと首を傾げた。ついでに瞳がグリンと回る。

『まだ早い、どうして?』
『より良きタイミングがある。最適な時機を突けば、神罰は削除しなくても良いどころか、雛たちの助けになる。――そう、雛たちにはいずれ神罰が必要になる。5年前、天堂にて雛たちとまみえた際に閃いた』
『それ、運命神の感知能力?』
『そう思ってくれれば良い』

 神は同格以上の神が関わる未来を読み切れない。フルードやアリステル、アマーリエは遊運命神よりも格下だが、彼らと一体になるレベルで寄り添い、その未来に深く関与する主神や包翼神、家族神たちは選ばれし神だ。よって、最高位の神にもはっきりとした未来視はできない。

 だが、それでもある程度は見通せる神もいる。例えば、神の基準でさえ異次元と位置付けられるほどの直感を持つ生来の荒神であれば、来たるべき事象を本能で察知できる場合がある。また、運命や未来といった概念を司る神々も、その神格がゆえに先を感知することが得意だ。

『ピンと来た、どんな未来?』
『神罰を与えた当事者たる私がレシスを赦し、寿ことほぎを授けるというものであった。しからば、絶大な神罰はそのままの威力を持つ天恵に反転する』

 幸福の神器が不幸の神器に転化したのは、その逆パターンだ。神の意志一つで、希望も絶望も罰も褒賞も、あっさりと入れ替わる。

『ふんふん。それで?』
『その力を如何いかに用いるかまでは視えなんだが、ここに来て察した。天災等の猛威へ対処する神器と、鎮静用の神器に天の恩寵を注ぎ込めば良いのだと。さすれば、起死回生レベルの力を持つ高度かつ高性能な神器が誕生する』
『天災対処、鎮静……雛たち、開発し始めたやつ?』
『ああ』

 つい先般から、アマーリエたちが創生を開始した神器だ。500年後に滞留を終える聖威師に代わり、人類を支えることを願って。

『仮に500年後、人間が秘奥の神器を放棄する道を選び、天が回収することになろうとも、莫大な天恵を注いだ神器ならばある程度までは代替できよう』
『へぇ』
『ただし、天恵を神器に注げるのは一度きり。いったん注げば、基本的には移し替えもできぬ。ゆえ、数百年後に神器の完成が見えてから実行することになる』

 少なくとも、今はまだ無理だ。現時点では開発に着手したばかり。これから改良を重ね、場合によっては一から創り直す可能性も視野に入れながら進化させ、実用段階までこぎつけていく。そして試験運用と更なるブラッシュアップを繰り返し、ようやく完成となる。
 天恩を注ぎ入れるのは、神器が形になり完成が近付いてからだ。それまでには幾百ほどの年月を必要とする。

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