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第1章
70.鎮静化と正常化
数珠玉が爆ぜ、閃光が炸裂する。爆光の中から、鈍色の巨大な翼竜が筋肉質な翼をはためかせて出現した。その数、実に十頭以上――おそらく数珠玉の一粒一粒が竜に変化したのだろう。
竜たちは鋭いかぎ爪を鳴らすと、硬い翼で宙を打ち据え、怒濤のように押し寄せる。余波で激しい風が吹き荒れた。
「きゃっ……!」
『大丈夫かユフィー!』
アマーリエが体を縮めると、瞬時に隣に転移して来たフレイムの腕の中に抱えられる。
「では締めの部分で正常化をお願いします」
簡潔に言い、フルードはふわりと体を反転させて光に向き直った。
『聖威を両手に集中するんだ。俺の鼓動に合わせろ』
フレイムの神威がアマーリエを優しく包む。熱い力がじんじんと染み渡る。アマーリエがその熱に身を委ねて力を抜くと、神威に呼応するように聖威が両手に凝縮されていく。
同時に、フルードの身から放たれた聖威が帯状の光と化し、斎場を縦横無尽に翔け巡り、襲来した翼竜たちを弾き飛ばした。
濁った奇声を上げて吹き飛んだ翼竜たちは虚空で身を翻すと、鈍重な体格を無視して軽やかに一回転し、体勢を立て直す。
「申し訳ありませんが、強制的に鎮めさせていただきます」
翼竜たちを見つめながら宣言したフルードがトッと地を蹴った瞬間、その体は重力から解放されたように飛翔した。
瞬く間に一頭の翼竜の脇に現れると、胴体に鋭い膝蹴りを放つ。グギャァと奇声を発した翼竜は、近くにいた他の一頭を巻き込みながら吹き飛んだ。
並行して二つの丸玉から集中砲火のごとき光線が放たれるが、聖威で創り出した剣を右手で振るい、全てをかわし斬り伏せ弾き飛ばす。
共倒れになった最初の二頭の翼竜には見向きもせず、剣を振るう勢いのまま体を反転させると、すぐ後ろに迫っていた別の一頭の顎下に突き抜けるような一閃を放った。聖威の斬撃が刃と化して放射され、被弾して真っ二つになった竜は絶叫と唾液を撒き散らして宙を舞う。
二枚に下ろされた骸を足場にしてより高く跳躍しながら追加の光線を防ぎ、上空を旋回していた一頭の胴に横殴りの左拳を食らわせ、滑り込むように襲ってきた別の竜も側頭部を蹴り飛ばして地に叩き落とす。そのまま肢体を翻し、続け様に突撃してきた一頭の鍵爪を一瞥もくれぬまま鮮やかにかわした。
そして、逆に左手でその脚を掴んで円を描くように振り回し、周囲を飛翔していた残り六頭をまとめてなぎ払った。同時に右手を閃かせると、握っていた剣を横薙ぎにし、丸玉に聖威を叩き付ける。
『ギャアァァッ!!』
凄まじい威力の打撃を受け、次々に絶叫を上げながらもんどり打った翼竜たちは揃って白目を剥き、その巨体で地面を大きく削りながら昏倒した。衝撃で剥がれ落ちた翼の鱗がヒラヒラと宙を舞う。
全ての翼竜を瞬時に沈めたフルードを挟撃するように、丸玉が左右に分かれて飛んだ。歪に膨張した力が勢い良く弾け、激しい波濤と共に大気に波紋が走った。
荒れ狂う力が、無秩序に駆け巡る稲妻のごとく暴発する。耳元で風が唸り、紙一重で避けた衝撃波に煽られた金髪が視界の端で宙になびく。
中空で旋転しながら体勢を整え、四方八方から飛び交う光線をかわし追撃を弾き、頭上で剣を回転させる。円状に放たれる聖威が場の全てを斬り飛ばし、別々の方角に浮いていた二つの丸玉がまとめて薙ぎ払われた。
宙を滑った丸玉は大きく振動してひび割れ、虚空で静止した。攻撃が止まる。
フルードは足音もなく着地し、右手で握った剣の切っ先を装飾入りの丸玉に、左手の平を無地の丸玉に向けた。
「――鎮静化!」
剣先と掌から聖威が放射された。直撃を食らった丸玉が跳ね、歪に胎動していた力が収束する。剣を投擲したフルードは瞬時に跳躍し、無地の丸玉を拳で叩き落として足下に踏み敷いた。鎮めの聖威を放ちながら、体重をかけて動きを封じる。
同時に、投げ放った剣が一直線に飛び、装飾のある丸玉を刺し貫いて近くの木に固定した。
ここまでの全てが、僅か数拍の間の出来事だった。
ほぼ時を同じくして、アマーリエの両手に集った聖威が一際強く輝いた。収束した力が脈動し、ゆっくりと色づいていく。鮮やかな炎を思わせる色だが、完全な赤ではなく、若干山吹色がかっている。
『ほぅ……我が主、あの色はなかなか……』
従神の一柱が呟き、目を眇めたラミルファが静かに頷く。
『ああ。……火神一族の色に相応しい。彼女は真にフレイムの愛し子だ』
それはアマーリエを認めた言葉だった。
初々しい聖威の欠片がはらはらと舞い上がり、虚空を踊る。ひらりひらり宙を舞う輝きを帯びたアマーリエは、まるで宝石でできた紅葉を纏っているかのように美しかった。
息一つ乱していないフルードが振り向き、紅葉色の煌めきを見つめる。そして、それを導くように寄り添う紅蓮色の神威も。
「…………」
そっと微笑み、フルードは動きと力を封じられた丸玉を指した。
「アマーリエ。あの装飾のある丸玉が、神器の最も主となる核です。弱体化と鎮静化はしましたので、正常化を」
「……は、はい!」
アマーリエは両腕を玉に向けた。フレイムがしっかりと手を添え、聖威と心身の動きを導いてくれている。ラモスとディモスは、邪魔にならないようアマーリエの後方から支えるように身を寄り添わせていた。
『もっと力を抜け。自然体でいい。大丈夫、何も恐れることはない――俺が付いてる』
「……ありがとう、フレイム……」
耳元で囁かれる甘く優しい声に、余計な強張りが解けていく。聖獣たちのふかふかな毛の感触も、暖かな安心感を与えてくれた。
アマーリエの手の平に集った聖威が力強く脈打つ。フレイムに導かれるまま、力を自然に解放するように放つと、一帯の大気が聖威と同じ色に染まった。それは周囲の者を、燃える秋山にいるかのように錯覚させる。絶景の中に佇んでいるような壮麗さに、フルードが感嘆の吐息を漏らした。
『よし、放てユフィー!』
「はい! 正常化ッ!」
掛け声と共に紅葉色の弾丸が放たれ、装飾のある丸玉に命中した。黄色みを帯びた赤い光が玉の中に吸い込まれ、歪んでいた波動を本来のものに戻していく。
光が明滅した後、丸玉に刺さったフルードの剣が消える。すっかり凪いだ神器がコロンと地面に転がった。
竜たちは鋭いかぎ爪を鳴らすと、硬い翼で宙を打ち据え、怒濤のように押し寄せる。余波で激しい風が吹き荒れた。
「きゃっ……!」
『大丈夫かユフィー!』
アマーリエが体を縮めると、瞬時に隣に転移して来たフレイムの腕の中に抱えられる。
「では締めの部分で正常化をお願いします」
簡潔に言い、フルードはふわりと体を反転させて光に向き直った。
『聖威を両手に集中するんだ。俺の鼓動に合わせろ』
フレイムの神威がアマーリエを優しく包む。熱い力がじんじんと染み渡る。アマーリエがその熱に身を委ねて力を抜くと、神威に呼応するように聖威が両手に凝縮されていく。
同時に、フルードの身から放たれた聖威が帯状の光と化し、斎場を縦横無尽に翔け巡り、襲来した翼竜たちを弾き飛ばした。
濁った奇声を上げて吹き飛んだ翼竜たちは虚空で身を翻すと、鈍重な体格を無視して軽やかに一回転し、体勢を立て直す。
「申し訳ありませんが、強制的に鎮めさせていただきます」
翼竜たちを見つめながら宣言したフルードがトッと地を蹴った瞬間、その体は重力から解放されたように飛翔した。
瞬く間に一頭の翼竜の脇に現れると、胴体に鋭い膝蹴りを放つ。グギャァと奇声を発した翼竜は、近くにいた他の一頭を巻き込みながら吹き飛んだ。
並行して二つの丸玉から集中砲火のごとき光線が放たれるが、聖威で創り出した剣を右手で振るい、全てをかわし斬り伏せ弾き飛ばす。
共倒れになった最初の二頭の翼竜には見向きもせず、剣を振るう勢いのまま体を反転させると、すぐ後ろに迫っていた別の一頭の顎下に突き抜けるような一閃を放った。聖威の斬撃が刃と化して放射され、被弾して真っ二つになった竜は絶叫と唾液を撒き散らして宙を舞う。
二枚に下ろされた骸を足場にしてより高く跳躍しながら追加の光線を防ぎ、上空を旋回していた一頭の胴に横殴りの左拳を食らわせ、滑り込むように襲ってきた別の竜も側頭部を蹴り飛ばして地に叩き落とす。そのまま肢体を翻し、続け様に突撃してきた一頭の鍵爪を一瞥もくれぬまま鮮やかにかわした。
そして、逆に左手でその脚を掴んで円を描くように振り回し、周囲を飛翔していた残り六頭をまとめてなぎ払った。同時に右手を閃かせると、握っていた剣を横薙ぎにし、丸玉に聖威を叩き付ける。
『ギャアァァッ!!』
凄まじい威力の打撃を受け、次々に絶叫を上げながらもんどり打った翼竜たちは揃って白目を剥き、その巨体で地面を大きく削りながら昏倒した。衝撃で剥がれ落ちた翼の鱗がヒラヒラと宙を舞う。
全ての翼竜を瞬時に沈めたフルードを挟撃するように、丸玉が左右に分かれて飛んだ。歪に膨張した力が勢い良く弾け、激しい波濤と共に大気に波紋が走った。
荒れ狂う力が、無秩序に駆け巡る稲妻のごとく暴発する。耳元で風が唸り、紙一重で避けた衝撃波に煽られた金髪が視界の端で宙になびく。
中空で旋転しながら体勢を整え、四方八方から飛び交う光線をかわし追撃を弾き、頭上で剣を回転させる。円状に放たれる聖威が場の全てを斬り飛ばし、別々の方角に浮いていた二つの丸玉がまとめて薙ぎ払われた。
宙を滑った丸玉は大きく振動してひび割れ、虚空で静止した。攻撃が止まる。
フルードは足音もなく着地し、右手で握った剣の切っ先を装飾入りの丸玉に、左手の平を無地の丸玉に向けた。
「――鎮静化!」
剣先と掌から聖威が放射された。直撃を食らった丸玉が跳ね、歪に胎動していた力が収束する。剣を投擲したフルードは瞬時に跳躍し、無地の丸玉を拳で叩き落として足下に踏み敷いた。鎮めの聖威を放ちながら、体重をかけて動きを封じる。
同時に、投げ放った剣が一直線に飛び、装飾のある丸玉を刺し貫いて近くの木に固定した。
ここまでの全てが、僅か数拍の間の出来事だった。
ほぼ時を同じくして、アマーリエの両手に集った聖威が一際強く輝いた。収束した力が脈動し、ゆっくりと色づいていく。鮮やかな炎を思わせる色だが、完全な赤ではなく、若干山吹色がかっている。
『ほぅ……我が主、あの色はなかなか……』
従神の一柱が呟き、目を眇めたラミルファが静かに頷く。
『ああ。……火神一族の色に相応しい。彼女は真にフレイムの愛し子だ』
それはアマーリエを認めた言葉だった。
初々しい聖威の欠片がはらはらと舞い上がり、虚空を踊る。ひらりひらり宙を舞う輝きを帯びたアマーリエは、まるで宝石でできた紅葉を纏っているかのように美しかった。
息一つ乱していないフルードが振り向き、紅葉色の煌めきを見つめる。そして、それを導くように寄り添う紅蓮色の神威も。
「…………」
そっと微笑み、フルードは動きと力を封じられた丸玉を指した。
「アマーリエ。あの装飾のある丸玉が、神器の最も主となる核です。弱体化と鎮静化はしましたので、正常化を」
「……は、はい!」
アマーリエは両腕を玉に向けた。フレイムがしっかりと手を添え、聖威と心身の動きを導いてくれている。ラモスとディモスは、邪魔にならないようアマーリエの後方から支えるように身を寄り添わせていた。
『もっと力を抜け。自然体でいい。大丈夫、何も恐れることはない――俺が付いてる』
「……ありがとう、フレイム……」
耳元で囁かれる甘く優しい声に、余計な強張りが解けていく。聖獣たちのふかふかな毛の感触も、暖かな安心感を与えてくれた。
アマーリエの手の平に集った聖威が力強く脈打つ。フレイムに導かれるまま、力を自然に解放するように放つと、一帯の大気が聖威と同じ色に染まった。それは周囲の者を、燃える秋山にいるかのように錯覚させる。絶景の中に佇んでいるような壮麗さに、フルードが感嘆の吐息を漏らした。
『よし、放てユフィー!』
「はい! 正常化ッ!」
掛け声と共に紅葉色の弾丸が放たれ、装飾のある丸玉に命中した。黄色みを帯びた赤い光が玉の中に吸い込まれ、歪んでいた波動を本来のものに戻していく。
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