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第1章
60.焔の愛し子②
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◆◆◆
(今……何が起きたの?)
額に手を当てて唖然としているアマーリエに、高らかな宣誓が響く。
『我は焔神フレイム。神官アマーリエ・ユフィー・サード。汝に我が寵を与える! この栄誉を謹んで受け取るがいい』
「――はい?」
条件反射で聞き返すと、フレイムがニッと笑った。悪戯が成功したような顔だ。同時に、周囲を熱い突風が吹き荒れた。
アマーリエの心臓がドクンと脈打ち、体全体に内側から震えが走る。自分という存在そのものが、もっと高次の何かに書き換わるような感覚。
魂が、心が、精神が高みに飛翔している。人間には決して辿り着けない境地へと。自分の中で果てしなく大きな力が生まれ、轟々と渦巻いている。
(な、何!?)
『返事をしかと受け取った。たった今述べられた応の返答を持って、ここに正式な誓約が完了した!』
「は、はい!?」
(いえ、了承ではなくて聞き返す意味ではいと言ったのであって――)
『うん、いい返事だ』
(だから了承じゃないのよ!)
内心でツッコんだことでようやく我に返ったアマーリエは、しかし、言われたことの意味を理解すると再びフリーズした。
「って……寵? 私が? ――あなたの?」
額が不思議と熱をもっている。思い返せば、フレイムの唇が触れていた気がする。
「待って、どうして私なんかが」
現実が受け入れられない。
助けを求めて視線をさ迷わせると、フルードの姿が目に入った。今の突風でよろめいたのか、片膝を付いて胸を押さえており、ラミルファが視線を注いでいた。
「だ、大神官……」
アマーリエ目が合うと、フルードはすぐに立ち上がって微笑みかけてくれる。
「……神官アマーリエ――いえ、もう聖威師アマーリエと呼んだ方が正確でしょうか。額に神紋が出ています。自分を遠視してみなさい」
「し、神紋!? 遠視? ですが、今は力が使えないのでは……」
ラミルファの神威がこの場一帯を征服し、霊威や聖威は発動できなくなっていたはずだが。
「焔神様が邪神様の支配を相殺して下さったので、もう使えます。ただし、まだ場の気が大きく揺らいでいるので、複雑な能力は使用しない方がいいでしょう。上手く発動しない可能性があります。遠視に関しては単純な技ですから、使っても問題ありません」
「は、はい」
アマーリエは力を発動させた。いつも使う霊威とは全く異なる、とてつもなく大きな力が発動し、あっさりと自分自身の姿が脳裏に映り込んだ。
訳が分からないと書いてあるような情けない顔に、風で乱れた前髪。……その隙間から覗く額にはっきりと浮かび上がった、炎のうねりのような紋様。
(ああっ!?)
「神は寵を与えたい者がいる場合、自らの意思で地上に顕現することが権利として認められています。だからこそ、アマーリエの霊威が不足していようが、邪神様のお力に満たされた場であろうが関係なく、降臨が可能になったのでしょう」
瞠目して自身に見入っているアマーリエを横目に、フルードが解説してくれる。そして穏和な眼差しをこちらに向けたまま、ノールックでシュードンに肘鉄を入れた。
悲鳴すら上げられず、白目を剥いたシュードンが仰け反る。黒い蔦に拘束されていなければ、彼方まで吹き飛んでいただろう。
シュードンを引き剥がしたフルードは、スッと背筋を伸ばすとフレイムに向き直り、右手を胸に当てると、惚れ惚れするような流麗な動作で頭を下げる。
「貴き焔神様に心よりお祝い申し上げます。この度は大変おめでとうございます」
『……ああ。大神官――偉大なる狼神様の愛し子よ。汝の祝福を嬉しく思う。……ありがとうな』
アマーリエは驚いた。フルードに応じるフレイムの顔が、息を呑むほどに温かかったからだ。同時にハッとする。
「あ……大神官、大変申し訳ありません。こちらのフレイム……様は、実は神使ではなく高位神であらせられるのです」
フルード自身がフレイムを焔神様と呼んで受け入れている以上、今更な説明ではあるが、それでも謝罪を述べる。
「私はそのことを知っていながら黙っておりました。本当に申し訳ございません」
処罰を覚悟しての申告だったが、フレイムが素早く割り込んだ。
『俺は神使選定の件で火神から密命を受け、内密に地上に降りていた。色々あってアマーリエにだけは素性を明かしたが、その時に明言したんだ。俺が降臨していることは聖威師も含めて誰にも言うなと。だからアマーリエを責めるな』
だが実際のところ、フレイム自身は内密の降臨の割に頻繁に聖威を使っていた。主にサード家の面々からアマーリエを守るために。聖威は他の神使も使っているから大丈夫、というのが彼の言い分だったが、アマーリエからすれば冷や冷やものである。
そこで、アマーリエはフレイムのことを誰にも言わない、代わりにフレイムは人前で力を使わない、という約束を取り決めた。……ただし、後者は火炎霊具爆発事件の際にあっさり破られ、聖威師たちに存在を勘付かれてしまった。
フレイムもラミルファの行き当たりばったり具合をどうこう言えないのでは……というのがアマーリエの密かな所感だ。それでも、ラミルファには真面目で効率的で合理的と評されていたので、神々の中ではまだ考えて動く方ではあるのだろう。
フルードがやんわりと微笑む。
「焔神様の仰せのままに。アマーリエ、天命が下されていたならばあなたに非はありません。処分はありませんから、安心して下さいね」
その言葉にかぶせるように、にこにこ顔のラミルファが口を挟んだ。
『新しい同胞の誕生とは実にめでたい。よし、僕もお祝いしよう。おめでとうフレイム、アマーリエ! わぁ~おっめでとぅ~~!』
『お前に祝われたって嬉しかねえわ! 何かバカにされてる気がすんだよな!』
ラミルファの祝意――従神たちの口笛と拍手とお祝いダンス付き――にジト目で噛み付き、フレイムがあしらうように手を振った。
地面に転がったシュードンは、肘鉄を食らった衝撃で意識が朦朧としているのか、虚ろな目つきでブツブツと何かを囁いている。
「そんな……こんな無能が聖威師なんて嘘だ……俺が神使にも選ばれてないなんて嘘だ……何かの間違いだ……」
『ご主人様、おめでとうございます』
『本当に良かった、我らが主よ』
霊獣たちも口々に祝意を述べる。その瞬間アマーリエは、真っ先にやらねばならないことを思い出した。
(ディモス! そうだわ、私の家族を助けてもらわないと! ああもう、そのためにフレイムを勧請したのに!)
フレイムの寵を受けるというあまりに予想外の展開で、思考が飛んでしまっていた。
「フレイム……ではなくて、焔神様! どうかディモスをお助け下さい!」
すぐさまフレイムに頼み込むと、優しさと甘さを孕んだ眼差しが返って来た。
『アマーリエ、お前は俺の寵愛を受け、神格を授かった。だから、畏まった言葉遣いをする必要はないんだ。俺の名を呼んでくれ。そして好きなだけ頼ってくれ、俺の至宝。俺だけの女神』
(ちょ、ちょっ……どうしていきなり惚気のようなことを言い出すの!)
羞恥で悶えそうになっていると、フレイムはディモスに視線を移した。腕をふわりと振るうと、煌煌と燃え上がる熱い神威がその傷を一瞬で癒す。沸騰しかけていたアマーリエの頭が即座に冷えた。
「ディモス! な、治ったのね……良かった……良かったわ! ありがとうフレイム!!」
安堵で涙を滲ませながら礼を言うと、フレイムはふっと微笑んで口を開いた。
『誇り高き霊獣たちよ。汝らを我が母、火神の神使として召し上げる』
(今……何が起きたの?)
額に手を当てて唖然としているアマーリエに、高らかな宣誓が響く。
『我は焔神フレイム。神官アマーリエ・ユフィー・サード。汝に我が寵を与える! この栄誉を謹んで受け取るがいい』
「――はい?」
条件反射で聞き返すと、フレイムがニッと笑った。悪戯が成功したような顔だ。同時に、周囲を熱い突風が吹き荒れた。
アマーリエの心臓がドクンと脈打ち、体全体に内側から震えが走る。自分という存在そのものが、もっと高次の何かに書き換わるような感覚。
魂が、心が、精神が高みに飛翔している。人間には決して辿り着けない境地へと。自分の中で果てしなく大きな力が生まれ、轟々と渦巻いている。
(な、何!?)
『返事をしかと受け取った。たった今述べられた応の返答を持って、ここに正式な誓約が完了した!』
「は、はい!?」
(いえ、了承ではなくて聞き返す意味ではいと言ったのであって――)
『うん、いい返事だ』
(だから了承じゃないのよ!)
内心でツッコんだことでようやく我に返ったアマーリエは、しかし、言われたことの意味を理解すると再びフリーズした。
「って……寵? 私が? ――あなたの?」
額が不思議と熱をもっている。思い返せば、フレイムの唇が触れていた気がする。
「待って、どうして私なんかが」
現実が受け入れられない。
助けを求めて視線をさ迷わせると、フルードの姿が目に入った。今の突風でよろめいたのか、片膝を付いて胸を押さえており、ラミルファが視線を注いでいた。
「だ、大神官……」
アマーリエ目が合うと、フルードはすぐに立ち上がって微笑みかけてくれる。
「……神官アマーリエ――いえ、もう聖威師アマーリエと呼んだ方が正確でしょうか。額に神紋が出ています。自分を遠視してみなさい」
「し、神紋!? 遠視? ですが、今は力が使えないのでは……」
ラミルファの神威がこの場一帯を征服し、霊威や聖威は発動できなくなっていたはずだが。
「焔神様が邪神様の支配を相殺して下さったので、もう使えます。ただし、まだ場の気が大きく揺らいでいるので、複雑な能力は使用しない方がいいでしょう。上手く発動しない可能性があります。遠視に関しては単純な技ですから、使っても問題ありません」
「は、はい」
アマーリエは力を発動させた。いつも使う霊威とは全く異なる、とてつもなく大きな力が発動し、あっさりと自分自身の姿が脳裏に映り込んだ。
訳が分からないと書いてあるような情けない顔に、風で乱れた前髪。……その隙間から覗く額にはっきりと浮かび上がった、炎のうねりのような紋様。
(ああっ!?)
「神は寵を与えたい者がいる場合、自らの意思で地上に顕現することが権利として認められています。だからこそ、アマーリエの霊威が不足していようが、邪神様のお力に満たされた場であろうが関係なく、降臨が可能になったのでしょう」
瞠目して自身に見入っているアマーリエを横目に、フルードが解説してくれる。そして穏和な眼差しをこちらに向けたまま、ノールックでシュードンに肘鉄を入れた。
悲鳴すら上げられず、白目を剥いたシュードンが仰け反る。黒い蔦に拘束されていなければ、彼方まで吹き飛んでいただろう。
シュードンを引き剥がしたフルードは、スッと背筋を伸ばすとフレイムに向き直り、右手を胸に当てると、惚れ惚れするような流麗な動作で頭を下げる。
「貴き焔神様に心よりお祝い申し上げます。この度は大変おめでとうございます」
『……ああ。大神官――偉大なる狼神様の愛し子よ。汝の祝福を嬉しく思う。……ありがとうな』
アマーリエは驚いた。フルードに応じるフレイムの顔が、息を呑むほどに温かかったからだ。同時にハッとする。
「あ……大神官、大変申し訳ありません。こちらのフレイム……様は、実は神使ではなく高位神であらせられるのです」
フルード自身がフレイムを焔神様と呼んで受け入れている以上、今更な説明ではあるが、それでも謝罪を述べる。
「私はそのことを知っていながら黙っておりました。本当に申し訳ございません」
処罰を覚悟しての申告だったが、フレイムが素早く割り込んだ。
『俺は神使選定の件で火神から密命を受け、内密に地上に降りていた。色々あってアマーリエにだけは素性を明かしたが、その時に明言したんだ。俺が降臨していることは聖威師も含めて誰にも言うなと。だからアマーリエを責めるな』
だが実際のところ、フレイム自身は内密の降臨の割に頻繁に聖威を使っていた。主にサード家の面々からアマーリエを守るために。聖威は他の神使も使っているから大丈夫、というのが彼の言い分だったが、アマーリエからすれば冷や冷やものである。
そこで、アマーリエはフレイムのことを誰にも言わない、代わりにフレイムは人前で力を使わない、という約束を取り決めた。……ただし、後者は火炎霊具爆発事件の際にあっさり破られ、聖威師たちに存在を勘付かれてしまった。
フレイムもラミルファの行き当たりばったり具合をどうこう言えないのでは……というのがアマーリエの密かな所感だ。それでも、ラミルファには真面目で効率的で合理的と評されていたので、神々の中ではまだ考えて動く方ではあるのだろう。
フルードがやんわりと微笑む。
「焔神様の仰せのままに。アマーリエ、天命が下されていたならばあなたに非はありません。処分はありませんから、安心して下さいね」
その言葉にかぶせるように、にこにこ顔のラミルファが口を挟んだ。
『新しい同胞の誕生とは実にめでたい。よし、僕もお祝いしよう。おめでとうフレイム、アマーリエ! わぁ~おっめでとぅ~~!』
『お前に祝われたって嬉しかねえわ! 何かバカにされてる気がすんだよな!』
ラミルファの祝意――従神たちの口笛と拍手とお祝いダンス付き――にジト目で噛み付き、フレイムがあしらうように手を振った。
地面に転がったシュードンは、肘鉄を食らった衝撃で意識が朦朧としているのか、虚ろな目つきでブツブツと何かを囁いている。
「そんな……こんな無能が聖威師なんて嘘だ……俺が神使にも選ばれてないなんて嘘だ……何かの間違いだ……」
『ご主人様、おめでとうございます』
『本当に良かった、我らが主よ』
霊獣たちも口々に祝意を述べる。その瞬間アマーリエは、真っ先にやらねばならないことを思い出した。
(ディモス! そうだわ、私の家族を助けてもらわないと! ああもう、そのためにフレイムを勧請したのに!)
フレイムの寵を受けるというあまりに予想外の展開で、思考が飛んでしまっていた。
「フレイム……ではなくて、焔神様! どうかディモスをお助け下さい!」
すぐさまフレイムに頼み込むと、優しさと甘さを孕んだ眼差しが返って来た。
『アマーリエ、お前は俺の寵愛を受け、神格を授かった。だから、畏まった言葉遣いをする必要はないんだ。俺の名を呼んでくれ。そして好きなだけ頼ってくれ、俺の至宝。俺だけの女神』
(ちょ、ちょっ……どうしていきなり惚気のようなことを言い出すの!)
羞恥で悶えそうになっていると、フレイムはディモスに視線を移した。腕をふわりと振るうと、煌煌と燃え上がる熱い神威がその傷を一瞬で癒す。沸騰しかけていたアマーリエの頭が即座に冷えた。
「ディモス! な、治ったのね……良かった……良かったわ! ありがとうフレイム!!」
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